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番外編*おねだりハロウィン

 出勤すると、ママの挨拶がはじまる。
 が、今夜は煌びやかなドレスや着物ではなく、悪魔耳と尻尾が生えた赤のミニドレスを着ていた。キャスト全員で目を瞬かせていると、スーツの上から襟の立った黒マントを羽織った黒服達がキャスター付きクローゼットを運んでくる。中には多種多様の仮装服。

「今日はハロウィン。ということで、みんなも素敵に仮装して『トリックオアトリート』。たくさんお客様におねだりしましょうねー」

 

 いつもより真っ赤に塗られた唇が綺麗な弧を描く。
 その微笑に併せるように動く黒い羽が本物に見えた私は、ゆっくりと首を傾げた。

 

「はひ……?」

 


* * *

 


「帝王様~、ご指名ありがとうござっだ!」
「誰だお前」

 

 監視カメラがOFFのVIP室に入ると同時にチョップが落とされた。
 頭に被っていた物を取ると、涙目で訴える。

 

「何するんですか!」
「ホステスがふざけた格好してんじゃねぇよ」
「ふざけてません! 立派なお化けコスじゃないですか!?」
「俺には布切れを被ってるようにしか見えねぇけどな」

 

 私の被っていた物を取った帝王様は訝しむように見つめる。
 それは確かに白布だが、大きなギョロ目がひとつ描かれた定番のお化け。着替えるのが面倒だった私にはちょうど良かったのですが、やはり帝王様には不評らしい。そこで思いついた。

 

「帝王様が被っひゃ!」

 

 最後まで言うことなく頭から布を被らされる。
 突然視界が真っ暗になり慌てて取ろうとするが、背中を押され倒れ込んだ。幸いソファの上だったらしく、安堵すると振り向く。

 

「もうっ、帝王さっきゃ!」
「なんだ? お化けって喋るのか」

 

 くっくっと喉を鳴らすのが頭上から聞こえる。
 布を取りたくても背中に感じる逞しい身体とソファに挟まれていて身動きが取れない。文句を言おうとするが、布越しに耳を舐められた。

 

「はひっ!?」
「喋れるどころか感度まであんのか? ああ、そういや足もあるな」
「ひゃっ!」

 

 耳元で囁かれながら、ふくら脛から太腿までを大きな手がなぞる。
 見えなくても覚えのある手に身体は不快ではない、歓喜に揺れるが、我慢するようにソファにしがみついた。それを笑うような声が聞こえると、ミニドレスを捲られ、ショーツの隙間に手が入り込む。

 

「はひっ!」
「柔らかさも人間と同じぐらい……だが、ココはフツーの人間より濡れてんな」

 

 意地悪く笑っているであろう声と共に、大きな指がニ本ヌプリと秘部に挿し込まれた。最初は浅くゆっくり、次第に深く速く抜き挿しされる。

 

「あっ、あっん、っは、あああっ!」
「お化けってのも案外淫乱だな。ドロっドロに濡れてんぞ」
「言わないでえっああん!」

 

 ぐちゅぐちゅと卑猥な音を鳴らしながら愛液が零れるのを感じた。
 果てたくなるも、容赦なく三本の指を挿し込まれ、内側を、弱いところを激しく突かれる。

 

「はっひ、っんあ、あああぁ!」
「まだ出てくんのか。床がびしゃびしゃになってきたぞ」
「やああぁ……ダメぇ」
「ダメって言いながらまた増えたな……けど、これ以上びしゃびしゃにされても堪んねぇし、栓をしてやるか。撮りながら」
「はひ……っやああぁやめてええぇ!!!」

 

 指を抜かれた“あたし”は羞恥の悲鳴を上げる。
 布を被っていても背後から撮られているのも、秘部から愛液が零れているのもわかる。裏でおあずけを食らっている時よりも恥ずかしくて布を深く被るが、腰を持たれると同時に硬いモノが宛がわれた。それが何かわかると、慌てて布を取る。

 

「ちょっ、総一ろああぁぁぁ!」

 

 一瞬だけ見えた男の笑みに胸とお腹の奥が疼くと、躊躇いもない肉棒が挿入された。蜜を出しすぎたせいで詰まることなく進み、最奥を突かれる。

 

「あああんっ、は、ああぁっ……んんんぅ!」
「お化けのナカってのも……っ、気持ち良いじゃねぇか」
「いつまでバカん、言ってああぁぁダメダメえぇぇ!」

 

 キっと涙目で睨むが、抱き上げられると繋がりが深くなった。
 ずっと布を被っていたせいで新鮮な空気が美味しい。でも、口付けの方がもっと美味しくて気持ち良くて、唾液や愛液など構わず何度も口付けた。
 次第に頭が真っ白になってくると、虚ろの先に良く知る笑みが見える。

 

「なんだお化け、素顔の方が可愛いじゃねぇか」
「うっさい……です……んあっ」

 

 意識が遠退いたふぅちゃんから“私”に替わると口付けられる。
 身体よりも頬が熱いのはドキドキしている証拠。でも疼きはあり、腰をくねらすと喉を鳴らすのが聞こえた。

 

「くくっ、こっちのお化けの方が我侭のようだな」
「はひ……くれなきゃイタズラしますよ?」

 

 同じような笑みを返すと、帝王様の目が一瞬だけ丸くなる。
 けれどすぐ口元は弧を描き、私を背後から抱きしめたままソファに座った。

 

「ああぁん!」

 

 当然繋がったままなので、衝撃は倍以上。
 それすらも面白そうに笑う帝王様は胸元のドレスを下着ごと引き下ろすと乳房を掬い出した。大きな両手に揉まれ、ぷっくりと勃ち上がった乳首を摘まれる。

 

「っああぁんんっ!」
「っあ、締めてく(イタズラす)んな……欲しいのはコレだろ」
「は、あああぁ……!」

 両乳首を引っ張られながら腰が振られる。
 ぎゅっと締まっていた膣内を抉じ開けるように突く肉棒はいつしか最奥に到達し、私を持ち上げた帝王様は激しく突き上げた。

 

「あああっ……だめぇ……イっちゃ……イっちゃううぅ!」
「そりゃ良かった……な!」
「っ~~~~!!!」

 

 勝者の笑みを見ると同時に頭の中で何かが弾ける。
 真っ白な世界に流れ込んでくる快楽は甘くて甘くてはにかんでしまった──。


 でも、売り上げがほぼ最下位だったことに顔は真っ青。
 おねだり向いてないかもしれません────はひ。

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