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24話*「交互」

 なんでですかね。食べてと言っておきながら、全力で逃げたくなるのは。
 これが壁ドンなら屈んで脱出することも出来たかもしれませんが、抱えられたままドアに押し付けられるという新技に逃げ場なし。これは抱(かか)ドン? 

「俺の質問無視して何考えてんだ」
「はひっん!」

 

 現実逃避していると、濡れきった秘部に指が勢いよく入れられた。
 容赦なく奥を突いては掻き混ぜる指はさっき以上に刺激が強く、身体が跳ねる。止まることを知らない愛液もまた零れ、帝王様は笑った。

 

「くくっ、これは気持ち良すぎて出てんのか?」
「あっ……あぁあっ」
「それとも処女喪失相手がバレて動揺してんのか?」
「なっ……なんの話しでしょう……かっ」

 

 とぼけに回す手が止まり、息を荒げたまま見上げる。が、見なければよかった。いつもの意地の悪い笑みに、黒いオーラが付け足されていてとても怖い。そんな顔を横目に呟いた。

 

「アレハ避ケラレナイ事故デシタ」
「ほう、事故ねー」
「その名も有無言わせない事故っだ!」
「無理やりじゃねぇか」

 

 チョップが落ちると膣内で止められていた指がまた動く。
 激しくとは反対、ゆっくりゆっくりした動き。嫌な動悸のせいか、はたもや濡らしすぎたせいか、身体に伝わる刺激は然程ない。そのせいか、幼馴染である春ちゃんに奪われた初エッチのことを思い出す。

 

 いえ、単純に家庭事情で離れることになったことを怒られそのまま。それもあって『ごめんなさい』したのですが、まさかチクられるとは。次に会ったら踏んで……悦ぶだけですかね。
 そんなことを思っていると顔を青褪めたふーちゃんが指を指しているのに気付く。その先を見れば眉を上げ、ジと目で見る帝王様。

 

「はひ……もしかして私……」
「……てめぇならツルっと口を滑らせるかと思ったが、見事に独白しやがったな」
「ま、まさか……ゆったり指はワザと……ああっ!」

 

 理解すると指が膣内で暴れだす。
 一本だけなのに、喘ぎよりも水音が響いている気がした。

 

「あっ、ああっ……んっ!」
「バカ正直に話すのはちーの長所ではあるが、時と場合と相手を選ぶことだな。現に俺は優しくする気をなくした」
「も、元々ないじゃ……ないでっ、ふゅっ! 」

 

 指摘と同時に勢いよく指を抜かれると、愛液の付いた指を咥え込まされる。
 味わうことのない自分のモノが舌に付けられ、前後に動かされると卑猥な音が出た。羞恥に顔を赤くし、息を荒げる私を帝王様は楽しそうに見ながら耳元で囁く。

 

「最初ぐれぇは優しくする気はあったぜ。けど、襲った相手と戯れた上に、解す必要もねぇほど濡らしてる女は加減なく虐めて喰っては啼かすだけだ」
「しょ、しょれは勘弁してくだ……んっ」

 

 指が口内から出ていくと口付けられるが、すぐ離れる。
 笑みを浮かべる帝王様は抱え直すように抱き上げると、大股で廊下とリビングを通り過ぎ、寝室に足を入れた。開いたカーテンの先には綺麗な夜景が見えたが一瞬でベッドに押し倒され、パンプスを脱がされる。

 

「ちょ……ん!」

 

 焦る私のショールとネックレスと一緒に自身のジャケットを放り投げた帝王様は跨る。
 笑みを浮かべたまま顔を近付ける男性に動悸は激しく鳴りながらも気持ちは高ぶるばかりで、求めるように唇を重ねた。何度しても足りない。だからもっともっと。

 味という名の彼が私達を満たしていくと、唇を離した帝王様は自身のシャツボタンを外しはじめた。隠れていた厚い胸板が現れ、乱れていた息など忘れ凝視する。
 その間に背中に回った手にドレスの肩紐とファスナーを下ろされた。さらに胸元を引き下げられ、私の乳房が露になる。慌てて手で隠そうとしても、見つめる視線に身体は動こうとはしない。

 

「なんだ、えらくココ強調して」
「え……きゃんっ!」

 

 くすくす笑いながら大きな両手で乳房を掴んだ帝王様は人差し指で胸の先端をツンと突いた。それだけで跳ねた身体に、彼は面白がるように先端ではなく乳輪をなぞる。決して先端には触れないように。

 

「あぁ、帝王さ……まぁ」
「くくっ、下どころかこっちまでツンツンに勃ちやがって。Mだったか?」
「いえ……フツーぅあっ!」

 

 訂正するよりも先に勃ち上がった片方の先端に吸い付かれ、反対の先端は摘まれた。突然の刺激にお腹の奥からゾクリとしたものが沸き、下腹部を濡らす。隠そうと両手を伸ばすが、帝王様の手に捕まってしまった。胸をしゃぶりながら彼は笑う。

 

「そーいや、ちーはMじゃねぇな。Mは“向こう”か」
「は……っ!?」

 

 放り投げたジャケットに手を伸ばした帝王様は携帯を取り出す。
 当然私は身じろぐが、両手は捕まり身体も両足に挟まれて身動きが取れない。顔を青褪める私とは反対に、極上の悪い笑みを向けた帝王様はスイッチ“ON”。同時に叫んだ。

 

「“あたし”はMじゃない!」
「宣言するヤツほどMなんだぜ、ふー」

 

 喉を鳴らす総一郎は携帯を範囲内に置くとドレスを脱がす。
 すべてを曝け出したかのように身体は火照るが、まだショーツが残っている。けど、総一郎が指で突いたショーツは既に濡れきっていた。

 

「くくっ、こんなに濡らした恥ずかしいヤツは一体誰だろうな」
「ち、ちーでしょ……ああっ!」
「“千風”だろ」

 

 秘部に濡れたショーツを押し付けられると秘芽に当たってヒリヒリする。
 それを知ってか知らずか、それともあたしの表情からか、笑みを浮かべる総一郎はショーツごと奥に入れたり上下左右に動かし、身じろぐあたしを楽しんでいる。

 

「あんっ、あ……ひゃっ」
「気持ち良いか? ドMふー」
「ち、違っ……ああっ」

 

 突きながら胸の先端も弄る男に腹が立つが、同じ刺激を受けた脳内ちーが余裕に見えるのは気のせい?
 跳ねまくるあたしとは違い、コロコロ転がるだけのちーに眉を顰めていると弄る指が止まった。

 

「ふー、その変顔でイきてぇのか?」
「変顔って何!? じゃなくて、あたしよりちーイかせてよ!!!」
「ああ? ちーイかせたら、てめぇがイけねぇだろ」
「裏に伝わる刺激は表よりないから、表だけが意識飛ばしたら強制交替するだけ。逆に両方意識飛ぶほどなら同時にイく」

 

 総一郎と車内でヤった時は二人でイってしまったが、今の状態を考えるとちーの方がイジメがいがあるはず。まあ、総一郎の性格を考えるとあたしも一緒にイきそうだが、裏に篭れば羞恥の顔を見せなくて済む。ぶっちゃけソコが利点。
 そんな目論見は当然ちーにバレていて、慌てて起き上がって何かを叫んでいるが知らんぷり。総一郎は呆れた眼差しを向けた。

 

「てめぇ、ちーに対してSか?」
「いえ、フツーです」
「そうか、ちー以上に馬鹿なだけか」
「は?」

 

 目を見開くと総一郎はシャツを脱ぐ。
 割れた腹筋と引き締まった身体。無骨な指に付いた愛液を舐め取る男の姿に魅入っていると抱きしめられ口付けが落ちる。胸板に胸の先端が当たっても優しい口付けと頬を撫でる手が気持ち良い。

 

「んっ……はふ、ん」
「つまり……ん、先にふーをイかせたら良いわけだ」
「は?」

 

 なぜあたし。と、気持ち良さがどこかに飛ぶと、総一郎はあたしの両手を片手だけで捕える。そのままあたしの両手を新しい愛液で濡れたショーツに当てた。

 

「あっ!」
「ちーよりふーの方がイきやすいってことだろ? なら先にてめぇをイかせて、イってる間にちーをイかせて、また起きたてめぇをイかせる」
「ちょっ、なにその交互っ……あん!」

 

 捕われた両手を動かされ、ショーツを擦る。
 勝手に動かされているとはいえ、自分で自分のショーツを擦るなんて恥ずかしすぎる。なのに愛液が零れ、またショーツを濡らしたのが指先の感覚でわかった。胸の先端を舐めながら視線を下腹部に向けていた男は楽しそうに笑う。

 

「やっぱ、ふーはMだな」
「ち、違う……あっ、あ」
「ほら、今度は直で触れ」

 

 首筋を舐めながら濡れきったショーツを剥がした総一郎は、捕えたあたしの手を何も纏っていない秘部に宛てた。トロリとした生暖かいモノが指先に付く。それが疼いた自分から出たものだと考えるだけで変な気持ちが全身を襲う。

 

 息を荒げるあたしの両手は上下に動き、秘部や秘芽を刺激させる。
 その手を動かしているのが自分なのか総一郎なのかはわからない。

 

「気持ち良さそうな顔しやがって“蓮火様”は自慰だけでイけんのか?」
「そ、そんな……あああぁっ!」

 

 “蓮火”の名に動かす手が止まったが、すぐ総一郎の指が二本入る。
 太く長い指が二本も入った膣内はギチギチ。それでも掻き回されると痛みとは別に気持ち良いと感じてしまう。達してしまいそうだ。
 違うと言いながら否定出来ない身体で総一郎に抱きつくと手を取られ、指に付いた愛液を舐められる。気持ち良さが増幅する。

 

「ああっ……ダメっ……あ」
「くくっ、指だけでイくほどのMに俺のを挿れたらどんなになるだろうな」
「は……ひんっ!」

 

 気持ち良さに普段言わない口癖を呟くと、耳朶を甘噛みされながら片脚を持ち上げられる。同時にズボン越しの総一郎のモノが秘部に宛てがわれた。
 久々に感じる男のモノに恥ずかしくなっていると、止まっていた指が再び動き出す。それはさっき以上に激しく、上下に動かしては何度も掻き回され、胸も揉みしだかれる。もう身体を揺らしながら喘ぐことしか出来ない。

 

「ああっ、あっ……あああっ!」
「Mにはまだ挿れてやんねぇよ」
「やああぁ……意地悪っああ!」
「褒め言葉だな。また後で淫乱な蜜を噴出させてやるから、今はイっとけ」
「あ、あああぁーーーーっ!!!」

 

 耳元の囁きと共に膣内の指が奥を突く。
 激しさと気持ち良さに声を上げながら白い飛沫を散らし、世界が真っ白になった。

 

 ぐったりしていると膣内から指が抜かれる。
 息を整える頬を撫でる手に顎を持ち上げられた。笑みを浮かべた人の口が開く。

 

「やっぱ、ちーはイかなかったな」
「充分……はあ……イけ、んっ」

 

 “私”に強制交替したのを確認した帝王様は携帯を停めると口付ける。
 小さく開いた唇の間に舌を入れ、舌と絡ませるが、既に体力のない私は絡め返せない。唇を離した帝王様は首筋に吸い付く。

 

「ふーは、一時離脱か」
「はひ……まさか……ん、ふーちゃんが……あんな……その、あっ」
「淫乱だとは思わなかった?」

 

 目を合わせながら胸の先端を舐められ顔が赤くなる。
 脳内では達したふーちゃんが『おやすみ』と白旗に書いて倒れているが、私は寸止めされている気分だ。訴えの目を向けていると帝王様は笑いながら私の両脚を広げ、股間に顔を入れる。彼の目にはドロドロ零れる愛液。

 

「あっ、帝王様……」
「くくっ、ちーはふー以上のMだからイけなかったとか言わねぇよな?」
「そ、そんなはずは……」
「どっちにしろ、足りねぇってことだろ」
「ああっ!」

 

 舌を伸ばされ、愛液を舐め取られるどころか吸われる。
 あまりの激しさに身体を動かすが、太腿を両手で掴まれ逃げることが出来ない。責め立てる音が響く。

 

「あっああン……ああっ」
「んっ……また出はじめたぞ……ホント、前戯がいらない女だな」
「そんなこと……言って……あん、してるじゃない……ですか」
「楽しむために決まってんだろ」
「意地悪ぅっ……ああっン!」

 

 秘芽に勢いよく吸いつかれ、舌先で何度も舐められる。
 声を上げる私も限界なのか、くねらせることしか出来ない。まるで早くと、ねだるように。

 

 すると、秘部から顔を離した帝王様がズボンを脱ぎはじめるのが見えた。
 揺れる瞳でも、出てくるモノを捉えてしまい息を呑む。覆い被さるように跨った帝王様は自身のを持ち、先端を秘部に押し付けた。

 

「ひゃっ!」
「ヌルヌルだな……ゆっくり挿れるなんてバカはしねぇぜ」
「はひ……」

 

 わかりきった言葉よりも嬉しさで胸がいっぱいになると、両手を伸ばす。
 身体も簡単に浮き上がり、彼の首にしがみつくと口付けた。何度か口付けを繰り返している間に片脚を持ち上げられ、大きな肉棒が濡れきった膣内に押し入ってくる。

 

「っああ……あぁ……」
「淫乱で良かったな……滑るように入る……ぞ!」
「い、言わないで……あああぁっ!」

 

 解されていたとはいえ、想像よりも大きな肉棒に膣内はギチギチで目尻から涙が零れる。その涙を帝王様は舐め取ってくれるが、抱きしめたまま腰を動かし、また涙を零させた。

 

「い、意地悪ぅうっあ、あぁっ!」
「何度目の……褒め言葉か……っあ!」
「やぁっん!」

 

 無意識に膣内を締めつけると、汗を流す帝王様の声が一瞬聞こえた。
 でもすぐに快楽に襲われ、私も声を上げると両手を離しベッドに沈む。帝王様も両手で私の腰を持つといっそう動きを早めた。

 

「ひゃあああ゛あ゛ぁ……ダメ……もう…っ!!!」
「ああ……イっちまへ……ちー」
「あああぁああ゛あ゛ーーーーっっ!!!」

 

 奥深くまで征服するかのように突き上げる肉棒と声に私も絶頂の声を響かせる。
 今までと比べ物にならないほどの刺激と快感に頭の中で火花が散り、薄っすらと開いた目には変わらない笑みのまま口付ける帝王様。優しい口付けに意識が遠のきはじめると耳元で囁かれる。

 


「どっちが起きてもすぐ啼かしてやるからな……さっき以上に」

 


 嬉しいはずなのに不吉だと思うのはなぜでしょうか────。

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