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番外編*新年の不審者

「はひ、新年あけましておめでとうございます」
「今年もよろしくお願いします……てことで、さっそく踏んであああ゛ぁぁ!」
「春冬、行儀良くなさい!」

 

 新年早々、母の叱責よりも幼馴染の羽交い締めに悦んだ。

 


* * *

 


 年も明けた元旦。牛島家は毎年、荒澤家の集まりに出席する。
 つまるところ政治家の集まりで、眼鏡を外した俺も前髪を上げ、スーツを着ていた。

 

 二十畳ほどの和室には豪勢な料理とお酒が並び、テレビで観るおっさん達が談笑している。だが、千風のお父さんは変わらず淡々としていて、ウチの父さんが立ち回っていた。母さんも料理の手伝いしてるし、知り合いもいないし、今の内に帰ろうかな。歩いて五分だし。

 

(同じこと考えてるのがいますね)
「え……あ!」

 

 くすりと笑う冬の視線の先を捉えると、後を追うように廊下に出た。

 

「ちぃ、どこ行くの?」
「っ!?」

 

 弾んだ問いかけに、抜き足差し足だった背中がビクリと跳ねた。
 それからゆっくりと振り向いた千風はピンク地に牡丹柄のある着物。うなじ辺りでお団子にした髪も簪で留められ、薄く化粧もしている。
 いつもと違う彼女にゾクゾクしていると、頬を膨らませたままそっぽを向かれた。

 

「……部屋に戻るだけです」
「まあ、つまんないからね。ちゃんと誰かに言って出た?」
「今、春ちゃんに言いました」
「えー、じゃあお願いしますって踏んで?」
「お願いしまーす」
「放置っ! 最っ高!!」

 

 棒読みで言った千風は背中を向けると歩き出し、歓喜に震えた俺も後ろに続く。不機嫌そうな目を向けられた。

 

「なんでついてくるんですか」
「だって俺、護衛だも……あ、待ってよ!」

 

 逃げるように早歩きされ、負けじと追い駆ける。笑顔で。
 廊下は走らない、すれ違う人には挨拶するを守りながら俺との距離を離す千風だが、チラチラと後ろを伺うのが最高に可愛くて堪らない。卑しい目で見るおっさんにガンを飛ばすのが先だが。

 

 次第に賑やかな声が遠退き、千風の自室へとたどり着く。
 なんでもない俺とは違い、千風は息を切らしていた。

 

「も、もう……はあ、いいでしょ」
「ダメですよ。まだ室内に不審者がいる可能性がありますからね……“ふぅ”?」

 

 小首を傾げる“僕”に、ふぅは口を結んだまま睨む。
 耳を澄ましていた僕は、少しだけ戸を開くと室内を窺う。静寂さに足を入れると、押し入れなどを確認。誰もいないことに、ふぅは不満気に腕を組んだ。

 

「いないならいいでしょ。早く出て」
「いえ、いました」
「えっ!?」

 

 予想外のことに、ビクリと跳ねたふぅは慌てて辺りを見渡す。
 そんな彼女の手を笑いながら引っ張ると、部屋の中に、腕の中に捕らえた。真ん丸な瞳に口角を上げる。

 

「僕達ですよ」
「あ……んっ!」

 

 しまったという顔が見えたが、口付けですぐ見えなくなる。
 後頭部を押さえる手で簪を解くと、さらりと髪が落ち、優しく撫でながら深く口付けた。

 

「ふ、ん……冬ぅ」
「ん……僕達から逃げた千風が悪いんですよ」

 

 逃げれば逃げるほど捕まえたくなる。征服したくなる。
 やっと自分のモノになったと実感するように、思い知らせるように、歯列を割った舌で口内を蹂躙する。そのまま着物の上前と下前を跳ね除けると、露になった脚を撫でた。

 

「すべすべですね。朝、風呂に入りました?」
「は……あ、知らな……っ」

 

 いつもより強い石鹸とシャンプーの匂いにそそられ、首筋に吸いつきながら帯を解く。緩くなる胸元のように脚が開き、股に差し込んだ手でショーツを撫でた。

 

「あ、あ……バカ……誰かに撮られんっ!」
「“撮”られていたら捻り潰してあげますけど、“録”られているなら……これが正解ですよね?」

 

 片手で口を塞ぐと、耳元で意地悪く囁く。
 真っ赤にした顔で睨むのは、ふぅ。そう、彼女になっているということは、監視機器がある証拠。でも、室内に入った今もふぅのまま。つまり盗聴系だ。

 近くで話し込んでいる議員がいたから、その内の誰かが高性能な物を使っているのだろう。敏感すぎる幼馴染に呆れ感心するが、今は好都合だと、ショーツの中に手を入れた。

「んんっ……!」

 

 抵抗なのか、秘芽を擦られているせいか身体をぴくぴく揺らしている。さらに指を一本からニ本に増やすと、くちゅくちゅと卑猥な音が木霊した。

 

「厭らしい音が鳴ってますね……これも録音されてたらどうします?」
「んんっ!」
「大丈夫、あとで父さんに言って取り上げてもらいますから」
「っ!」

 

 ぎょっとされるのは、その先の意味を理解しているからだろう。
 くすくす笑いながら指を三本に増やすと、秘芽どころかナカを荒々しく突いた。当然、水音はさっきよりも大きい。

 

「ふ、んんんんっ!」
「ああ、良い音ですね……ナカもこんなに熱くて濡らして……どうしました?」

 

 塞いでいた手を離すと、息を荒げるふぅが涙目で見上げる。

 

「ひゃ……ひゃめんんっ」

 

 下唇から零れている唾液を舐め、口付ける。
 そして手を取ると、ズボン越しに膨れ上がっているモノの上に置いた。耳朶に口付けると囁く。

 

「やめてほしかったら扱いてください……高ぶらせたのは貴女なんですから」

 

 そう微笑むと、ふぅは眉を顰めた。
 けれど、負けず嫌いなのか、早く終わらせたいと思ったのか、震える手でズボンを下ろすと、肉棒を取り出した。別にナマでしなくても良かったのに、なんてことは言わない。
 代わりに指をニ本にしてあげると肉棒を扱きはじめた。

 

「ちょ、大きいんだけど……」
「自分のせいでしょ……っ」

 

 互いに文句を言いながら手を進める。
 くちゅくちゅと似ているようで似ていない音と吐息が混ざり合い、快楽を強める力に指を勢いよく引っこ抜いた。

 

「ああっ、ちょ、か……!?」

 

 突然のことに驚いたふぅは両手を離す。
 その隙に壁に背を押し付けると片手で腰を支え、片手は彼女の片足を持ち上げた。濡れる秘部に宛がうのは、自分で持つ必要もないほど聳り立った肉棒。

 

「ちょ、やめるって……」
「高ぶらせすぎた貴女が悪い……っ!」
「ふあああんんんぅっ!」

 

 先端を食い込ませると、一気に押し込む。
 悲鳴は口付けで止め、ヌルヌルするナカを突き進むが、狭くて締めつけられる。だが、それはそれで気持ち良く、帯を落とすと着物も肌着も開いた。和装ブラもしていない白い乳房と、主張するように尖った赤い実が露になる。
 実のひとつは摘み、ひとつは口付けて吸い上げた。

 

「ひゃあああぁぁ!」

 

 三点同時の刺激に身体が仰け反り、結合部から蜜が零れる。
 そのまま力を失くしたように落ちる身体を支えると、畳の上に座らせた。まだ繋がったままなのもあり、畳に蜜が染みるが、構わず腰を小さく動かしながら柔らかい乳房を揉み込む。

 

「はあ……あん、あ……」
「ん……気持ち良いんだね、“ちぃ”」
「春ちゃ……あああぁぁ!」

 

 笑みを浮かべた“俺”は、勃ち上がった胸の先端をしゃぶる。
 甘い嬌声と一緒にナカを締めつけられると肯定されているようで嬉しくなる。反対の先端もしゃぶり終えると、繋がったままちぃを四つん這いにさせた。

 

 肌着から零れる乳房、先端には唾液、乱す息と汗。
 そして、俺を見つめる目に高揚感が増す。

 

「ああ……ゾクゾクするよ、ちぃ」
「ひゃああぁ!」

 ナカで大きくなった肉棒に声を上げたちぃを後ろから抱きしめる。そのまま勢いよく腰を動かせば、早くも絞り取るほどに締めつけられた。

 

「ああ、最っ高……ちぃ可愛い、もっと締めつけて、ナカに出させて……!」
「やああ……ダメ……ああ、乳首もダメぇ……!」

 

 激しい律動を繰り返しながら胸の先端を弄る。
 いっそうキツくなった締めつけに耳をしゃぶると囁いた。

 

「千風……大好き」

 

 想いと欲望は熱い飛沫へと変わり、伝わるように支配するように奥へと注ぎ込んだ。甘さと切なさを含んだ絶頂の声と共に──。

 

 

 


 その声がさすがに大きかったのか、バッチリとおっさんから取り上げた機器に録音されていた。確認した父さんが卒倒したのはいうまでもなく、母さんの説教と千風の百連打パンチを食らう。

 

 新年から羽交い絞めにエッチに百パンチって最っ高だよね────。

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