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花のフィールド

​32話*「魔法の言葉」

 四人の口元には笑みがあるが、とても意地悪く見える。
 対して、見下ろす目に映る私は真っ赤のような真っ青のような顔。原因である録音機からは“あの夜”の吐露が再生される。

『っはぁ……もう、シーツもシロウさんの服もびしょ濡「やめてやがあああぁぁ!!!」
「Noです」

 

 耐えきれず手を伸ばすが、機器を持つ慶二さんはひらりとかわす。暴れる身体は笑う三人に押さえ付けられ、耳元で荒い息遣いと懇願が再生された。

 

『でも足りない……みんなのせい……はじめさ……慶二さ……ん……三弥さん……シロウさ』

 

 熱と哀切が篭った声が切られる。
 だが今は悲しみも苦しみもない。ただただ耳まで真っ赤になるほど恥ずかしくて、涙どころか愛液も零れた。それを指に絡めたシロウさんは口に含む。

 

「so good……ねえ、“その日”に使ったオレの服どれ? コレと同じ、レイカシロップがたっぷり付いた服」
「レイちゃんに染まった……僕の筆は?」
「お前の上と下の口を犯した俺の玩具は?」
「蜜溜まりを作った私のシーツは?」
「知らんやがあああぁぁ!!!」

 

 羞恥爆発で泣き叫ぶも『方言の時はウソだな』『綺麗に洗ってあるのを探しましょう』と癖がバレており、ぐうの音も出ない。対して私の両脚を屈曲させたシロウさんは笑顔だ。

 

「でも、ナマのシロップには敵わないよね」
「ナマ……っああぁ!」

 

 股間に顔を寄せた彼は零れる愛液を舐め上げる。
 久し振りの舌触りと息遣いに身体が跳ねていると、顔を持ち上げたはじめさんに口付けられた。大学の時とは違い深く、挿し込まれた舌が口内を荒々しく蹂躙する。それだけで愛液とシロウさんの興奮が増した。

 

「Ya……やっぱりレイカのシロップ美味しい……もっとちょうだい」
「っん、んんっ!」

 

 高揚の目に映る秘部に、シロウさんの長い指が二本挿し込まれた。容赦なく膣壁を擦っては回し、気持ち良いところを攻める。
 矯声は唇で塞がれ、突かれる度に腰が浮くと、揺れる乳房を違う手が片方ずつ掴んだ。

 

「お、相変わらずデカくて柔いな」
「ええ。食べてとも主張してますし……いただきましょうか」

 

 掴んだ胸に頬を寄せた慶二さんと三弥さんは荒々しく揉み込んでは乳輪を舐める。そして、ツンと尖った先端に吸い付いた。のけ反り浮いた腰を抱き寄せたシロウさんも指を抜いた秘部にしゃぶり付く。

 

「んんんん゛ん゛っ!」

 

 四方からの異なる刺激と快楽に声が零れ、卑猥な吸引音が同時に響くと限界だった。

 

「っひゃあああ、あっ、あっ……ダメっあ、イっひゃんんんっ!」
「Oh!」

 

 離れた唇から我慢できない嬌声。そして潮が噴き出し、シロウさんに掛かる。が、嬉しそうに自身に付いたのを舐め、息を荒げる私の唇から垂れる涎を指先で拭ったはじめさんも口に含んだ。

 

「んっ、イいね……レイちゃんの味だ」
「声も胸の弾力も……」
「やっぱ、お前じゃねぇとな」
「Ya……興奮しぱなっしだよ」

 

 犯されているのは私なのに同じぐらい四人は汗を落とし、呼吸も速い。肌に触れる硬くて熱いモノ。“愛してる”と言っていた証拠から既に滲み出ている白濁と混ざり合う自分の汗に動悸や疼き。それ以上に“好き”が増す私は──偽るのをやめた。

 

「もう……みなさんでしかイけない身体になったんですから……責任……取ってくださいよ?」

 

 熱くなる頬と共にはにかむと目を丸くされる。けれど、見合った兄弟もまた同じ顔をすると、高揚の目で私を捉えた。

 

「Sure(もちろん)」
「開き直りやがって。てめぇこそ、俺らを虜にした責任取れよ」
「合格祝いという名の契約を書面ではなく身体に刻んであげますから」
「契約……んっ」

 

 シロウさん、三弥さん、慶二さんに口付けられ、長い両手に頬を包まれる。視線を移せば、火照っている自分を映すはじめさんと目が合い、柔らかな唇が動いた。

 

「そう……家性婦としてじゃなくて“零花”として……僕たちの全部を受け止め、愛し愛する契約」

 

 甘美な声に全身が歓喜で震え蜜も零れる。
 まだ完全に実家のことが片付いてない、整理もついていない、せめてお風呂に入りたい。そんな気持ちも掻き消すほど四人の目には私と同じ愛欲が映っていた。否、満たしてくれるのは彼等しかいないし、満たしてあげたい我儘で傲慢な欲しかない。
 ただ彼等を愛し愛されたい私ははじめさんに口付けると微笑んだ。

 


「……Yes」

 


 魔法の言葉に抑制が壊れる。
 瞬く間にはじめさんに口付けられ、跨った慶二さんの肉棒を胸に挟み込まれ、三弥さんの巨根を握らされ、シロウさんに挿入される。

 

「んんんっ!」

 

 一瞬の行動と快楽に早くもイってしまう。
 それはナカを犯すモノも同じのようで、抽迭を繰り返すシロウさんの上擦った声が聞こえた。

 

「ああっ……レイカのナカだ……すごいっ、もう出ちゃいそう……ねぇ、ナカに出してイいんだよね? ね?」

 

 激しいピストンを繰り返しながら慶二さんの背後からシロウさんが顔を出す。笑顔の問いに三人の視線も落ちるが、だらしなく涎を零しながら巨根を扱き、谷間から出てくる先端を舐める私は笑顔だけを返した。
 満面笑顔になったシロウさんは腰を持ち上げると最奥を突く。

 

「ああああぁんっ!」
「まったく……シロウくんは自分勝手ですね」
「ハレンチ女がいなくなってからも女遊びしてねぇし、ノッポにしちゃ我慢した方じゃねぇの?」
「ふふっ……今は無理そうだけど」

 

 前のめりになった慶二さんは身体を支えるように布団に手を着け、溜め息まじりに眼鏡を上げる。と、笑うはじめさんが揺れる乳房を掴み、間にある弟の肉棒ごと揉み込んだ。突然の扱きに慶二さんは色めく。

 

「っあ、ちょ……兄さっ!」
「Oh……も……出るぅっ……!」
「ふあああぁぁっ!」

 

 三つの声が重なると、熱い滾りがナカと顔に射出される。
 久し振りに感じる熱と独特の匂い。そして、自分のナカから出てくる白濁。苦しかったあの日を掻き消すほど幸せで酔いしれている私は屈曲させた両脚を広げた。ドロリと白濁を零す秘部に固まる兄弟にねだる。

 

「もっと……ください」
「煽りやがった」
「可愛いね……あ」

 

 笑うはじめさんと三弥さんとは違い、顔に跨った慶二さんに頭を掴まれると根本まで肉棒を咥え込まされる。さらに膝立ちになったシロウさんは両脚を掴み、再び挿入した。

 

「ふんんんん゛ん゛っっ!!!」
「ああっ……この口ですよ零花さんっ……素晴らしい」
「もうっ……レイカ、カワイイ……いっぱいいっぱいナカで出して、孕ませてあげるね」

 

 加減なく喉奥と子宮を突かれ、涙が零れる。
 それは反射の涙で、興奮が最高潮に達している二人のように私も破顔していた。次第に脈を打ち、膨れ上がった肉棒から真新しい白濁が噴き出す。

 

「ンん゛ん゛んんっ!!!」

 

 今までならすぐ抜いてくれたが、口からも秘部からも孕ませるように、最後の一滴まで注ぐように奥へと押し込まれる。達するどころか昇天しそうなほどに。

 

「ケイくん、レイちゃんが窒息死しちゃうよ」
「ノッポも連続で出してんじゃねぇよ!」
「Nooo!」
「うぇほっ、えほっ、っはぁはぁ……」

 

 我に返った慶二さんと蹴られたシロウさんの肉棒が引っこ抜かれる。
 咳き込む口と秘部からは止まることない白濁が零れるが、構わず抱き寄せる慶二さんと唇を重ねた。自身の精液も唾液も舌先で喉奥へ送られる。

 

「んっ……零花さん……愛してます」
「慶二しゃ……んっ」

 

 窮状の別れを払拭する優しくて甘美な口付け。
 繋がった白糸が切れ、お尻を突き出す俯せにされると、早くも勃っている肉棒を挿入された。

 

「ああああぁぁっ!」
「まさかケイ兄が我慢できねぇとは」
「ふふっ、一番落ちこんでたもんね」
「Boo! オレもするー」

 

 ヌメったナカと肉棒に痛みはない。
 むしろ突かれる度に快楽が増し、自分から腰を動かす。と、寝転がったはじめさんとシロウさんが揺れる乳房を揉んでは舐め、口に含んだまま引っ張った。

 

「ひゃああああっ!」
「んっ……レイちゃんのおっぱい美味しい」
「Ya。早くミルク出ないかな……いっぱい搾って飲みたい」
「そんなすぐできなああぁっ!」

 

 赤ちゃんのように、ちゅっちゅっと音を鳴らしながら吸引される。後ろからの刺激とは違う快楽に二人の髪を撫でていると頬に何かがあたった。見上げると、顔の半分が隠れるほど大きな肉棒。

 

「おら、俺のも悦ばせろ」

 

 意地悪く笑う三弥さんのモノはやはり大きくて息を呑む。だが、亀頭から滲み出ている汁に高揚感が増すと咥え込んだ。

 

「っあ……こんのっ……チ〇ポ大好き女め……ああー、フェラだから怒んなよ」

 

 三弥さんの腰に両腕を回ししゃぶっていると、背後から不穏な空気。
 それが慶二さんから発せられているのが会話と挿迭の速度でわかった。頭を荒々しく撫でてくれる三弥さんは苦笑しているが、ナカを突くモノは暴君ぶりを発揮する。

 

「あ、あ、ああぁぁぁんんンンンっ!」

 

 最奥を抉じ開けられると同時に、はじめさんは胸を、シロウさんは首筋を食み、頭を掴んだ三弥さんに巨根を捩じ込まれる。再び子宮と喉奥に流し込まれた大量の白濁に力を失くした身体がよろけるが、慶二さんの腕に包まれた。

 

「っはあ……はあ、はあ……んぐっ」
「ほら、ちゃんと口を開けて……三弥くんの吐いてください」
「ふふっ、嫉妬だね」
「俺もノッポの出すわ」
「It’s terrible!(酷いよ)」

 

 仰向けの私を抱き寄せた慶二さんは息を切らしながら口内に残る白濁を指で掻き出す。三弥さんも秘部を弄るが、顔を顰めると立ち上がる。そして私の両脚を持ち上げた。

 

「よく考えれば俺のが一番でけぇんだから、一番奥で出した方が早ぇな」
「えっ!? ちょ、待っあぁああんっ!」

 

 制止など無視した巨根が挿入され、のけ反り達する。
 二本も挿入った後なのに、腰を動かされる度に非ではない凶暴な楔が全身を支配していく。

 

「あっ、あっ、ああぁっ……ダメぇ」
「何がダメだ……“お兄ちゃん”のチ〇ポが一番好きな“妹”のくせに」

 

 舌舐めずりしながら見下ろす目に映るのは破顔の自分。
 次第に身体が思い出すように受け入れはじめ、私もまた成りきって吐露した。

 

「ふあ……あっ……好きっ……お兄ちゃんのチ〇ポ気持ひいいぃ……もっとおおぉ」
「ふふっ、レイちゃんの目がハートだ」
「Oh、オレにもお兄ちゃんって言って? 好きって言って?」
「シロウくん年下でしょ。そもそも妹でいいんですか?」
「ケイ兄って妙なとこ気にするよな……っ!」
「ひゃあああぁぁ!!!」

 

 半分呆れていた三弥さんは、ぐっと肉棒を押し込む。
 結合部からは蜜と白濁が噴き出すが、まだまだと言うように挿迭を繰り返した。

 

「ひゃああぁ! だめええぇイっひゃううぅ!! 壊れひゃうううぅ!!!」
「おうっ……壊れるとこ見せろよ……零花っ!」

 

 あまりの衝撃に自然と涙が溢れ踠くが、微苦笑の三人に押さえ付けられるどころか秘部を大きく拡げられる。受け入れられた巨根は勢いよく最奥を突き、呻きと共に滾りを放出した。

 

「あっ、あっ、あああぁぁ──!」

 

 大きくのけ反った身体から楔が引っこ抜かれ、収まりきれなかった白濁がお腹や股間に掛かる。既に痙攣し、意識朦朧となるが、涎を零す唇に三弥さんの唇が重なった。
 先ほどまでの獰猛さなどない優しい口付けに舌を絡めていると、はじめさんに股間を拡げられる。大量の白濁と蜜が流れ落ちる様に口笛が響き渡った。

 

「すごいね。みんなの愛がたっぷりだ……」
「No。愛っていうなら何百回でも出すよ」
「けどっ、はあはあ……その前に」
「兄さんが残ってますね」

 

 シロウさん、慶二さんとも口付けると、ぼやけた目で弟たちの精液が溜まる秘部を指で拡げては舐める長兄を見下ろす。長い前髪から覗く灰色の瞳と目が合い、微笑と共に伸びてきた両手に頬を包まれると唇が重なった。

 角度を変えては唇を重ね、唾液を行き来させ、リップ音と共に白糸を繋げる。切れた時には背中に回った腕に抱え上げられ、雄々しく勃った先端が弟たちに犯された秘部を擦った。喘ぎながら彼の首に腕を回すと耳元で甘美な囁きが響く。

 

「おかえり、レイちゃん……」
「っ……!」
「これからもずっと大好きで……愛してるよ」

 

 温柔な声だけで涙が滲む。
 振り向けば慶二さんも三弥さんもシロウさんも微笑み、秘部に挿し込まれるモノとは違う意味で震えると、しゃくり上げながら答えた。

 


「ただいまですっ……私も……あんっ、愛してますぅンンンっ!」

 


 知ってると言うように、勢いよく最奥を突かれた。
 激しく揺さぶられながら口付けを受けると、背後から伸びてきたシロウさんの手に乳房を揉まれ先端を引っ張られる。反射でのけ反れば三弥さんの巨根を握らされ、慶二さんの肉棒を咥え込まされた。
 既に限界のはずなのに、手や口が勝手に扱いては吸い上げ、ナカを犯すモノを刺激する。それが愛し愛してくれる確かな人たちだと理解しているからだ。

 

 膨れ上がった白濁を何度も散らしては愛を囁き満たしていくモノに契約書も署名もいらない。
 これからも彼等だけを愛し、愛してくれると身体と心に刻まれたのだから。

 


 

 

 


 翌朝。ぼんやりとした目を擦りながら目覚めると裸体のオンパレード。
 室内は独特な匂いが充満し、呑気に寝息を立てる兄弟も私も精液まみれ。それどころか布団の意味がないほど蜜溜まりができ、畳にも染みている。

 

 大きな溜め息をつくが満足そうに眠る兄弟。
 そして、出て行った時と変わらないテーブルや箪笥。置いていった洋服やナーくん。私が居た証、これからも居て良い証に涙を拭き取ると元気な声を張り上げた。

 


「よーっし、掃除するぞー!」

 


 予想より掠れていた声と腰の痛み。
 さらに伸びてきた四つの手にまた啼かされるわけだが性分は治らず、炊事洗濯たまにセックスと家性婦として恋人として笑顔の毎日に戻るのだった────。

*次で最終話です

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