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花のフィールド

​幕間2*「I Love you」

 優しくて暖かい何かが身体を弄る。
 眠くてもそれが手だと知っている私は『No』と、まだ力ない手で叩いた。すると、くすくす笑う声と一緒に手を捕まれ、何かを握らされる。

 バナナのような容(かたち)と長さ。でも熱く、何度か握っていると硬くなってきた。馴染みがあるが、ふと気付いたように重い瞼と唇を開く。

 

「あえ……シローしゃんのじゃ……なぃ」
「ふふっ……You got it(正解)」

 

 応えてくれたのは英語なのに、声も笑い方も違う。
 何よりいつも背後からなのに前から抱きしめられていることに顔を上げると、ぼんやりと明るい寝室の布団に寝転がる私と抱き枕なーくん。ではなく、笑顔で見下ろす、はじめさん。

 

「はっ!? えっ、んんっ!」

 

 予想外に目が覚めると口付けられる。
 乾いた唇を潤すように深く重なり、舌先で舐められた。

 

「んっ……おはよ、レイちゃん」
「な、なんではじめさんが、んっ」
「ちょっと覗いただけ……なんだけど、可愛くてついね」

 

 長い前髪から灰色の瞳を覗かせるはじめさんは笑いながら頬や首筋に口付ける。当然彼は全裸なので、私が握っているのも肉棒。咄嗟に離すも、パジャマズボン越しに素股された。

 

「あうっ、あん」
「ふふっ、こうやって……いつもシロくんにシてもらってるの? 確かに……クセになるね」
「ひゃうっ!」

 

 上のパジャマを捲られ、下着をしていない乳房を揉まれながら素股の速度も上がる。が、いつもと違うとわかっている身体が別の意味で震えた。
 察したように腰を止めたはじめさんは苦笑する。

 

「ごめんね……やっぱりシロくんのがイいよね……今夜、間に合うとイいんだけど」

 

 頭を撫でる手に、はっと顔を上げる。
 はじめさんは目を瞬かせるが、すぐ笑みを浮かべた。

 

「覚えてるよ……今日がシロくんの誕生日だって」

 

 その言葉に私も笑顔になると抱きつく。
 はじめさんは驚くが、くすりと笑うと私のズボンをショーツごと下ろした。

 

「だから……今の内に犯しておくね?」
「ちょっ、なんでそうなるんですか! ね、じゃなあああぁぁっ!!」

 

 喜んだのも束の間。
 知っている肉棒が濡れた秘部に挿入された。目覚めにしては熱すぎるほどのモノが。

 


* * *

 


「ああ……そういえば今日……でしたね」

 

 洗顔したとは思えないほど眠そうな顔でキッチンに現れたのは、Tシャツにズボンの慶二さん。
 前髪も下りていて眼鏡もズレているが、朝御飯とは別の料理に察したようだ。

 

「今朝シロウさんから『必ず終わらせる!』ってメッセージが入っていたので」
「あの利かん坊がねー……」

 

 髪を掻きながらシロウさんが出ているテレビCMを流し観すると、出来立ての玉子焼きをお皿に乗せる私に溜め息をついた。

 

「早く帰れるよう努力しましょうかね」
「はい、待ってます!」
「ところで……なぜ起こしてくださらなかったんですか?」
「は……んっ!」

 

 語尾が落ちたことに玉子焼き機を置くと振り向く。と、伸びた手に顎を掴まれ口付けられた。重ねるだけだったが、目前には少し意地悪な笑み。
 時間が被らない日以外は起こしに行くのもあって御冠の様子に嫌な予感がする。

 

「そ、それは……あの、なぜか起きたらはじめさんが一緒に寝てて……寝坊を……」
「寝込みを襲うのが好きな兄弟ですね……私なんて、シてないのに疑われたのに」
「忘れてください!」

 

 時任家に来たばかりの頃。夜な夜なシロウさんに寝込みを襲われていたことで慶二さんを疑ったのは認めるが、未だに言われるのは恥ずかしい。すると、くすくす笑いながら耳元で囁かれる。

 

「ええ、もうすぐ一年……なら、何をシてもらいたいかも、おわかりですね?」

 

 意地悪な声に意図を察した。
 頬を膨らませたまま見上げるが余裕の笑みしかない。ホント、学校では絶対見れない表情に膝立ちになると、彼のズボンを下着ごと下ろした。弾んで出てきたのは雄々しく勃った肉棒。
 はじめさんとは容も大きさも違うモノを両手で扱きながら眉を寄せる。

 

「……時間ないですから、すぐシますよ?」
「ええ、”喉奥”までお願いします」

 

 朝から鬼畜だと思うより先に、大きく開いた口で咥える。

 

「っ!」

 

 勢いよく食いついたせいか呻きが聞こえた。
 構わず袋を擦りながら握った肉棒と口を動かし、吸い上げる。卑猥な吸引音と刺激に腰を震わせた慶二さんは息を堪えながら両手を流し台に乗せた。私もまた背中を台に預け、しゃぶる。と。

 

「あれ……ケイくん、おはよー」
「「っ!?」」

 

 はじめさんの声に互いの身体が跳ねる。
 だが、慶二さんの手に頭だけでなく、肉棒も押し込まれた。

 

「おはよ……ございます……兄さん、今朝は零花さんと……っ、お楽しみだったそうですね」
「うん……気持ち良かった」
「そうですか……!」

 

 屈んでいるせいか、はじめさんから私は見えていないようで話が続く。
 それをいいことに慶二さんは容赦なく喉奥を突き、口から零れる多様な汁がエプロンどころか床を汚した。苦しさから涙目になるが、高揚に満ちた目に彼の腰へ抱きつくと根元まで押し込む。

 

「っぐ……兄さ……早く手洗い……すまして……」
「あ……そだね」

 

 立ち去る音と同時に肉棒を引っこ抜かれ、顔に白濁が射出された。

 

「っあぁ……はあ……慶二しゃ……っ朝から酷い」
「っはあ……そう言いながら受け止め……ぐしゃぐしゃになった零花さんもイいですし、勃ちましたので犯します」
「Noooああぁっ!」

 

 顔のモノを舐め取りながらの発言に拒否するも、屈んだ慶二さんは私の片足を持ち上げる。そして、躊躇いなく挿入した。 
 当然はじめさんにはバレたし、慶二さんの玉子焼きは没収。

 


* * *

 


「ケイ兄、意外と変態だな」
「人のこと言えまっ……!」

 

 反論より先に股間を締める。
 丸くなる私の肩を叩く三弥さんはくすくす笑った。

 

「どした? 早くノッポのケーキ買おうぜ」

 

 とても愉しそうな顔を涙目で睨むが、気にした様子もなく腕を引っ張られる。
 訪れたのはデパートに入っているケーキ屋。さすがにケーキを作る自信はなく予約しようと思ったが、当日にお祝いできると知ったのが昨夜だったため急いで買いに来たのだ。
 慶二さんが仕事のため、三弥さんが車を出してくれたのはありがたい。ありがたい、が。

 

「確か前、この店のを買ってきたよな」
「ああ……そうっ、ん、いえばっ」
「んー、普通にショートかタルト系か……どうする? おい?」

 

 問いに私は答えない。否、聞こえていない。
 ぎゅっとお腹辺りのワンピースを握り震えているのは、不規則に動いては止まってナカを刺激する玩具=ローターを秘部に挿し込まれているからだ。

 

 言うまでもなく、これが車を出す条件。
 平日の昼とはいえ買い物客はいるし、リモコンは三弥さんが持っているので強弱の差で声が出そうになる……でも。

 

「どした? バイブ(いつも)よりは平気だろ」
「だからです……んっ、よ」

 

 小声で訊ねる彼は笑い、私は眉を寄せる。
 そう、いつもより刺激はないし浅い。だからこそ足りないのだ。激しくて気持ち良い刺激に慣れすぎた身体には焦れったくて余計に欲しくなる。

 

「み、三弥さ……んっ」

 

 震える手で彼の服を握ると胸に顔を埋める。
 周囲の目より、見下ろす彼にねだるのが先だった。

 

「も……無理です……っん、大きいの欲しっ」
「兄貴たちにいっぱい貰ったんだ……っ!」

 

 意地悪返しするように、ズボン越しに彼のモノを握る。強く。
 そのまま息を切らしながら見上げると舌舐めずりされた。そして、豪華なホールケーキが並んだショーケースを指す。

 

「シてもらいたいなら早く選べ。ノッポの好みなんか知らねぇから、お前が好きなのでイいよ」
「じゃ、じゃあ……っ!」

 

 目を移した瞬間、三弥さんの手が股間を、ローターを擦る。
 さらに奥に挿し込んだばかりか威力も強にされ、腰が大きく跳ねると蜜が太股に垂れるのを感じた。また胸に顔を埋める私の耳元に囁きが落ちる。

 

「イったな? これよりでけぇの欲しいなら……」

 

 催促するのは私か彼かはわからない。
 けれど、漠然とした頭でも欲しいのは変わらず、震える指でケーキを指した。くすりと笑うのが聞こえたが頭を撫でられる。 

 

「床は濡らすなよ」
「しません!」

 

 買いに行く背に大声を上げてしまい、咄嗟に手で口を塞ぐ。が、『いらっしゃいなり~』『なんがします?』の注文と同時にローターの刺激が増し、慌てて股間を締め我慢する。

 

 当然、立体駐車場で比べ物にならないほど大きなモノを挿入され、声を堪えながらも歓喜の潮で濡らしてしまった。床ではない……はず!


* * *


「「「「Happy Birthday~」」」」
「Thanks, everyone(みんなありがとう)!」

 夜十一時前。シロウさんの誕生日会がはじまる。
 残念ながらジューンさんと五郎さんはアメリカに戻ってしまったが、プレゼントにと高級ワインが何本も届いた。パンダケーキを選んだ自分が恥ずかしい。

 

「Oh、パンダ! オニギリと同じ!!」
「同じじゃねぇよ。つーか、誕生日におにぎりって……」
「このトゲトゲボール……ケイくんが握ったんだっけ?」
「おにぎりです」
「個性出てますよね」

 

 シロウさんの好きな物ということで、あまり誕生日では見ないであろうおにぎりが並んでいる。形も三角、俵、丸と様々なのは、兄三人がプレゼント代わりに握ったからだ。

 

 初体験を見ているのも楽しかったし、ケーキも会話のひとつになって嬉しい。
 最初は兄弟が顔を合わすことは殆どないと慶二さんは言っていたけど、一年で変わったし、一緒にお祝いできて幸せだ。

 

「Ya~、Happyはイいこと~」
「イ~こと~ですね~」
「出来上がってますね」
「ハレンチ女がな。ノッポは素だ」
「ふふっ、楽しそうだね」

 

 乾杯して一時間。
 気付けば上半身裸のシロウさんとリビングで手を取り合い踊る私の顔はお酒の力で真っ赤。それを兄二人は呆れ、一人は笑いながらお酒を飲むが、構わず私はシロウさんに抱きついた。

 

「誕生日おめでと~」
「Thanks、レイカ!」

 

 何度目かのお祝いに軽々と抱き上げられると唇が重なる。
 深い口付けに気持ち良さが増し、舌を伸ばすとすぐ絡み返された。さらにワンピースどころかショーツに手を潜らせたシロウさんは秘部に指を挿し込み、リップ音と蜜音を鳴らす。

 

「んっ、ふぁ、ああぁ……」
「ん……カワイイ……好きだよ、レイカ」
「はいはい、私もれすよ~」

 

 流行りの『好き』に笑顔でシロウさんの頭を撫でる。
 苦笑する彼はソファの背もたれに座ると私を反転。兄たちへ向けるとワンピースを胸元まで捲り、ブラホックを外す。いつもなら怒るが今日は解放感が勝ち、両脚をM字にするとショーツも下ろしてもらった。
 蜜を零す秘部をシロウさんの手に撫でられると、噴き出す音や咳払い、口笛が響く。

 

「げほっ……おいっ、調子に乗ってきたぞ」
「零花さんがノリノリとも言いますね」
「Ya。だって、プレゼントはレイカがイいってオレ言ったもん」
「Wow……」

 

 また口笛が響くと、そういえばと思い出す。
 ひとまず笑顔のシロウさんに笑顔を返すと、彼の手に手を掴まれ、自分の股間に乗せられる。言われる前に自分で秘部を擦ると、乳房を揉み込むシロウさんに口付けられた。

 

「んっ、さっすがレイカ……誰に仕込まれたの?」
「はぅ……三弥さんっ」
「じゃあ、ニイ兄は何を?」
「んあ……喉奥まで咥へるこんっふ」
「イチ兄は?」
「ジっとひてる……ことん」

 

 問いに答える度に秘部を擦る手を速める。
 さらに長い指を口に二本咥え込まされ、首筋から肩を舐めたシロウさんは持ち上げた乳房にしゃぶりついた。様々な刺激に身体を震わせる私を頬を赤めた三人が不満のような羞恥のような楽しそうな顔で凝視している。
 涎も蜜も増していると、口から乳房を離したシロウさんに囁かれる。

 

「じゃあ……オレは?」
「……っ、後ひょから犯しゅ」
「You got it(正解)」

 

 今朝とは違うアクセントと共に口から指を抜かれると身体を持ち上げられる。そして、手早く取り出したモノが挿入された。

 

「ひゃああぁっ!」
「んっ、久々レイカのナカ……イいっ」
「あああぁあ……ひゃうっ!」

 

 お腹と屈曲させた両脚に回った腕に揺すられる。腰の打ちつけも強く、頭の中が真っ白になってきた。

 

「やっぱり……っはあ、兄ズは……っ怒らないね」

 

 喘ぐ私の頬を舐めながら汗を落とすシロウさんが顔を上げる。誘われるように視線を移せば、兄たちが見合っていた。

 

「んー……僕は別に。弟に愛されてるレイちゃん見るのも好き」
「同じく、犯されてる零花さんも好きなので」
「ハレンチ女だしな」
「中出しは?」
「「「get mad(怒る)」」」

 

 ハモりに私も肘を入れる。
 シロウさんは口を尖らせるが、すぐ苦笑すると私に口付け、抽迭を再開させた。先ほどのが前戯と思えるほど速くて激しく、蜜音も嬌声も止まらない。

 

「ああぁう……ひゃめっ、激しっ、イっちゃ」
「イいよ……兄ズの前でいっぱい啼いて……オレを悦ばせて、レイカ」
「っ──!」

 

 甘い声に許しを貰えた気がして、最奥を突かれ引っこ抜かれると潮を噴き出した。床に蜜溜まりを作ることより、ジっと見据える三人の目に早くも身体が疼く。と、一斉に立ち上がった。

 

「さて、0時過ぎましたね」
「ノッポの誕生日終了ー!」
「ふふっ……意外と勃っちゃった」

 

 溜め息、背伸び、笑い声。仕草は違うのに三人は息を切らしながら蜜溜まりに座る私の元へやってくる。大きな肉棒を向けて。

 

「さ、レイカ。今度は兄ズを悦ばせよう……もちろんオレも入るけど」
「てめぇはシたばっかだから後。あー、俺も誕生日に独り占めすりゃよかった」
「ふふっ……僕ら全員過ぎちゃったからね」
「そういえば、零花さんの誕生日は?」
「過ぎました~」

 

 四人に囲まれるが、笑顔の私に対して眉を落としていた。背後からシロウさんに抱きしめられる。

 

「Oh,sorry……大事なレイカのBirthdayを忘れるなんて」
「忘れるつーか、知らないだけだけどな」
「過ぎたってことは、私たちと同じ早生まれですか」
「ふふっ、来年は絶対にお祝いしなきゃね」
「来年は~ないです~」
「「「「What?」」」」

 

 ハモった四人は丸くした目を瞬かせるが、変わらず笑顔で答えた。

 

「私~、二月二十九日ですもん~」
「Wow!」
「まさかの閏年かよ……」
「ふふっ、四年に一度の大イベントと同じなんだね……今年は消えちゃったけど」
「兄さん、それを言ってはいけません」

 

 驚きと戸惑いを感じるも、顔を見合わせた四人は一息つくと笑みを浮かべる。
 笑顔のまま首を傾げると、大きさも長さも容も違う四本の肉棒が鼻に、両頬に、後ろ頭に宛てがわれた。見上げればどこを向いても期待と欲情に満ちた目と目が合う。

 

「Ok。お祝いできなかった分、今からいっぱいシよう!」
「てめぇが意識飛ばしてもやめねぇぞ」
「それが私たちからのプレゼントですからね」
「来年もその次も……いつもより激しいのあげる」

 

 宣言に全身が熱くなるどころか動悸も激しい。
 四年に一度しかカレンダーに載らない誕生日。覚えやすいけど、寂しさもある誕生日。今年はあったけど、過去お祝いされたことなかったから言わなくていいやって思っていた誕生日。
 でも兄弟は過ぎてもと言ってくれた。そればかりか私だけを映し、艶やかな声を重ねる。

 


「「「「I Love you」」」」


 

 この流行りはなんなのか。状況と合ってないと思うところはたくさんあるのに、はにかむ自分が映っていて、歓喜の熱が全身を支配した。
 気付けば背後の肉棒に寄り掛かり、両頬の二本を握り、鼻先にあった肉棒をしゃぶる。

 

 応えたい、ウソでももっと言ってもらいたい。
 反対の気持ちを持ちながらも快楽を与え与えてくれる兄弟に身体は動く。たくさんの愛撫も白濁も言葉も楔も喜々として受け入れる。返した時の笑みが嬉しくて愛しいから、家性婦という仕事を忘れて溺れた。

 

 一本の電話を取るまでは────。

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