家性婦
18話*「先生と生徒」
「あ、あの、やっぱりこれ……」
「何を恥ずかしがっているんですか。ついこの間まで着ていたでしょう」
窓から差し込む太陽や暖房より熱を発している身体。
もじもじしながら立っている私とは違い、ソファに座る人は愉しそうに手招きした。反射で足は進むが迷いはある。
「で、でも、慶二さん……」
「“先生”……でしょ?」
「セ、センセー……」
指摘に訂正すれば、目の前にある口元がくすりと笑う。
伸ばされた優しい手に頬を撫でられると顔を寄せ合い、よくできましたと唇が重なった。角度を変えては重ね、舌を絡ませる。
学校だから『先生』で間違いない。
慶二さんはいつも通りスーツに白衣。だが、私は胸元がV字になっている白のブラウス。襟とスカートは紺色で、リボンタイは赤。生地が薄いことからコスプレ用だとわかるセーラー服を着ている。
元凶は三弥さん。
慶二さんにと持ってきたダンボールに入っていた制服一式(これ)を着て、学校セックスの感想をくれというのだ。数年前まで高校生だったとはいえ、二十歳超えて着るのは恥ずかしいし、それ以上の問題がある。
「こんなの、リアル学校でしたら危ないですって! 教師の道が解雇の道になりますよ!?」
「そう言いながら着たのは零花さんですよ。三弥くんと二人で私を陥れ、無職にさせようとしてるんじゃないんですか?」
「昨日の感動を返して!」
家で兄弟四人に見られ撮られるのと、大学(ここ)で慶二さんに犯されるのどっちか選べと言われたら後者がマシだった。でもそれは、バレた場合を考えていなかったからだ。
まだ朝の八時で春休み。
人は少ないといっても同じ階の先生やゼミの人が来ないという保証はない。鍵も掛けてないし、誰かに見られたら揃って終わりだ。
なのに慶二さんは呑気にブラウス越しに胸を、スカート越しにお尻を揉む。
「もうっ……制服ってだけで何も変わらないでしょ?」
「私もそう思ったんですが……案外イいですよ。背徳感あります」
「でしょうね!」
学科も違うし、家性婦になってから名前呼びだったので忘れていたが、リアル先生と生徒なのだ。
まさにここで出会い、第一関門を受けた時は先生だと意識したが、今は別の意味で緊張している。
「そんなに嫌なら早く終わらせましょう。兄妹ごっこをしたように、成りきって誘うのは零花さんの得意分野でしょ?」
「あっ……」
首筋を舐められると吐息が零れ、目と目が合う。
その奥に見える期待と欲情に身体が疼いた私はテーブルに座ると、捲ったブラウスを口で持ち、下着をズラした。赤い実が二つ顔を出した双丘に彼の両手を乗せると、恥じらいながらお願いする。
「ちゃんと触ってください……センセー」
「っ……イけない生徒ですね」
頬を赤めた先生は床で膝立ちになると、大きな手で掬い出した乳房を揉む。最初はゆっくり、次第に荒く揉んでは揺らし、指先で先端の回りに円を描くと、ふっと息を吹きかけた。
「ひゃっ! もう、焦らさないで……」
「でも、赤い実がぷっくり膨らみましたよ……さて味は……んっ」
「あんっ!」
先端にキスされると唇で食み、舌先で舐められる。
反対の先端も指先で摘ままれては回され、口に含んだ先端と一緒に引っ張られた。
「ああぁっ!」
「んっ……イいですね。胸を寄せてください。あと、脚を開いて」
「っ……はいぃンっ!」
両腕で胸を寄せると、先生は眼鏡があるにも構わず谷間に顔を埋める。そして、開いたスカートから覗くショーツの底を、乳房と先端を舐める舌と同じぐらい速く擦った。気持ち良い証拠の染みが広がる。
「ひゃああ……」
「おや、こんなに濡らしてるなんて……佐々木さんは真面目な生徒じゃなかったんですか?」
「ああぁあ……だって……大好きなセンセーにっん、触られるの……嬉しくて」
「なら……もっと触れてあげましょう」
設定にノると先生は意地悪く笑う。と、両手で胸を揉みながら股間に顔を埋め、ショーツの底を舐めた。
「ああぁっ!」
「んっ、ん……ショーツ越しでも美味しいですね」
「ああん……ダメぇ……ちゃんと舐めてえぇ」
震える手でショーツの底をズラす。
先生の眼鏡には秘芽と蜜が映り、長い舌先を伸ばすと舐め上げた。
「ひゃっ!」
刺激に先生の頭を抱き込む。
同じように私のお尻に両手を回した先生は大きく口を開くと、勢いよく秘部にしゃぶりついた。
「ああぁあ……センっセえぇああぁっ!」
熱い舌先で舐められるどころか、秘芽を食み引っ張られる。
動く身体は大きな両手にガッシリと捕まれ、新しい蜜も逃がさないと吸い上げられた。
「あああぁっ……ダメ……イっちゃ……センセっイっちゃああああぁぁ!」
駆け上ってきた絶頂に身体がのけ反ると潮を噴き出す。
力を失くした身体が落ちるが、受け留めてくれた手にゆっくりとテーブルへ寝転がされた。痙攣していても秘部からは蜜が零れ、白衣が濡れた先生が朧気に見える。
「すごい量ですね……そんなに先生(私)が好きなんですか?」
「あうっ……!」
笑い声を響かせながら、秘部に指が挿し込まれる。
掻き回される度に浮く腰に合わせ蜜と嬌声を零す私に、先生は引っこ抜いた指に付いた蜜を舐めた。とても嬉しそうに厭らしく。
動悸が早鐘を打ち、出したばかりのナカが疼く。
何を欲しがっているかわかっている身体は自然と屈曲させた両脚を持ち上げ、息を切らしながらねだった。
「好きです……慶二センセーが大好き……センセーので犯してください」
「…………淫乱生徒ですね」
息を呑むのと、チャックを下ろす音。
その顔が高揚感に溢れていて嬉しくなると、新しい蜜を零す秘部に雄々しく勃ったモノが宛がわれる。それだけで浮いた腰を引き寄せた先生は上体を屈めると顔を寄せた。
「そんな娘(こ)には……お仕置きをしましょう。奥まで」
「はぃ……んっ!」
頭を起こすと口付ける。
軽く重ねるだけでも気持ち良く、同時に挿入されたモノがいっそう快楽へと招いた。
「ああっあぁ……センセーの……大きっ、もっとシて……ンンっ!」
「お仕置きすら好むなんて、ドMですね……っ!」
「ひゃっ、あっ、あぁぁん!」
腰を大きく振られ、熱い先端が奥を突く。
結合部からは蜜が噴き、テーブルにも床にも蜜溜まりができる。それを広げるように激しく腰を打ちつけられた。
「ふああぁっ! センセっ、そこはっ……ああぁ」
「ココですか? じゃあ、たっぷり可愛がってあげますね」
「ああぁンン!」
片脚を持ち上げた先生はイいところを重点的に的確に突き、また昇ってくる絶頂を響かせる。
「あああぁぁぁ……気持ひ……イっちゃああぁンンンっ!」
ぐっと押し込まれる肉棒と締め付けに頭が真っ白になると、勢いよく引っこ抜かれた亀頭から飛び出た白濁が胸やスカートに散った。
肩で息をする私に跨った先生は白濁と蜜に濡れた肉棒を胸の谷間に置く。そして、両手で乳房を寄せては自身のモノを包んで捏ね、上下に動かした。
「あぁ……センセぇ」
「ほら、口を開けて……あーん」
「あー……んんっ」
息を切らしながら笑みを浮かべる彼に私も笑顔で口を開けると亀頭をしゃぶる。まだ熱くて脈を打っていて、舌先で舐めては吸い上げた。
「っあぁ……パイズリフェラもイいですね……少々胸が足りなかった誰かさんではできませんでしたし……ね?」
悦びが冷ややかになったことに気付く。
同じく冷淡な視線が別にあることに出入口を見ると、昨日会った元家性婦の女性が愕然と立ち尽くしていた。仰天する私とは違い、慶二さんは胸で扱く手と腰を止めることなく続ける。
「本当にしつこいですね……私はもう貴女のフェラには興味ないので、さっさと消えてください」
「そっ、そんなこと言っていいのかしら? 教師と生徒がセックスしてたって言いふらしたら」
「幼稚な脅しですね。脅しというのは貴女がこの三年間で私に付き合ってくれと何百もの電話やメールを送った記録や、兄弟の中傷をネットに書き込んだスクショを提示することですよ」
「なっ……!?」
息巻いていた女性は顔を青褪め、眼鏡のブリッジを上げた慶二さんは大きな息を吐く。
「電話やメールをブロックしなかった理由がわかりますか? 気があると勘違いして証拠を握らせる貴(アホ)女を自滅させるためです」
「……っ!」
今まで見たことも聞いたこともないほど冷酷で無情な彼に女性は震え慄(おのの)く。
だが、私には一切その冷たさが感じ取れない。それはきっと兄弟も護っていることが彼らしくて嬉しいからだが、パイズリフェラしながら言う台詞ではないと亀頭にしゃぶりつく。
「っあ……ちょ、零花さん……何を」
「いへ、兄弟想いなのは良いへしゅけど、フェラで家性婦を選ぶ慶二しゃんもどうかにゃって」
違う会話に女性は困惑しているが、慶二さんは舌で弄られているのを悦ぶようにまた腰を動かした。
「っぁ……選ぶからには自分の性癖優先でしょ……フェラほど技術の差が出るのはないと……っ、思ってますから」
「でも……んっ、慶二しゃんが一番好きなプレイ……フェラじゃないでしょ」
指摘に『え』と、女性は驚く。
同じように慶二さんも目を丸くするが、真っ直ぐ見上げる私に口角を上げた。
「ええ。今までの家性婦でできる人はいませんでしたが零花さんなら……小さいお口に見えて余裕で入りますよね……喉奥まで」
「Yesっンン゛ン゛!」
頬を赤めた笑顔で返事をすると、肉棒を咥え込まされる。さらに慶二さんは持ち上げた私の頭と自身の腰を同時に振った。
「ふゅっ、んっ、んぐっ、ンンンっ!」
「ああっ……イいっ……やはりフェラより奥を突く……っ、イラマが……!」
興奮した様子で腰を速められ、長い肉棒が喉奥を突く。
反射で嘔吐くどころか潮が噴き出し『ひっ!』と、女性の悲鳴が聞こえた。胸とブラウスは唾液、スカートとテーブルは蜜で汚れるが、見上げれば第一関門時以上の破顔がある。自分の醜さよりも嬉しい表情に自然と彼の腰に抱きついた。
「っあ゛ぁ……零花さ……それはちょ……!」
私の顔に馬乗りになった慶二さんは呻くが、いっそう深くなったことに腰を突き落とす。
「んん゛ん゛っ、んんんんっ~~!!!」
根元まで押し込まれた肉棒が引っこ抜かれ、大量の唾液と白濁を吐き出した。顔も服もテーブルも床も多種多様の液にまみれ咳き込むが、息を切らしながら微笑む彼に手を伸ばすと抱き上げられる。
「はぁ……やはり零花さんはイいですね……イラマ(これ)を悦んで受けてくださるんですから」
私の顔に付いたモノを舐めながら口付けた慶二さんは視線を上げた。完全に血の気が引いている女性は慌てて出て行き、昨日と同じようにブーツ音が遠ざかる。
「いいんで……すか?」
「構いませんよ。未成年相手でもなければ合意有ですし、言いふらされても証拠はありません。いざとなれば運動部にいる恋人に、ストーカー内容をバラします」
「……慶二さんって鬼畜ですよね」
教師より弁護士が良いのではと思うも、眼鏡を取った彼はしばし考え込むと不敵な笑みを浮かべた。悪寒がした私は逃げようとするも後ろから抱きしめられる。
「その鬼畜を受け止めてくださるのは零花さんだけなので、ぜひもう一度イラ……じゃなかった、セックスしましょう」
「イラマしたいだけじゃないですか! 苦しいからもう今日は嫌です!!」
「では、明日で……ひとまず掃除しながらセックスを」
「もう、この先生最低──っ!?」
この場に導かれ家性婦になったのは偶然ではなく彼の手によるものではと思うほど優しい手が徐々に変わる。
時任家次男の鬼畜で快楽な手によって────。