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懐中時計

​番外編*2月29日*零花誕生日

「レイちゃん……誕生日おめでとう」
「だんだん……」

 まだ目覚めない頭とボヤけた視界に飛び込んできた長い金茶髪と灰色の瞳の美丈夫の笑顔に方言と笑顔を返す。と、優しい手に頬を包まれ、柔らかな唇が重なった。乾きを潤すように舌先で舐めては挿し込まれる。

 

「んふっ、んっ……」
「んっ……今日はいつも以上に愛(セック)スね」
「なんか字が違っ……って、ちょっ、はじめさん待って! 今日は平日で会しゃ「No」

 

 覚醒と共に制止するが、満面笑顔で遮るどころか手早く私のパジャマズボンもショーツも下ろした全裸の恋人は前戯もなく挿入した。

 

 文句も喘ぎもすべて掻き消す愛が宣言通り多いのは、カレンダーやテレビでは三月一日と記されていても昨日二月二十八日との間に存在する日付──二月二十九日が私の誕生日だからだ。

 

 

 

 


「Oh、フレアスカートもイいね~!」

 

 着衣室を出て早々、立ち上がったシロウさんに抱きしめられる。店員さんもいるため私は慌てるが、気にすることなく次の服を渡された。

 

 迎えにきてくれたシロウさんと訪れたのは洋服専門店。
 体型的に合う服が少ない私だが、さすがモデルで事情を知っているシロウさんは事前に予約とサイズを話し、個室に用意してもらっていた。つまるとこ、お高い店なのだ。

 

「レイカへのBirthday presentなんだから、気にせず好きなの選んでいいんだよ」
「その前にシロウさんが買ってるじゃないですか……」
「Ya。全部Prettyなんだもん!」

 

 笑顔に脱力してしまうのは、試着を終えた服を全部シロウさんが店員さんに包んでもらっているからだ。服だらけの寝室に納得しながら肌質の良い、お洒落なワンピースに袖を通す。が。

 

「シロウさん、これ入らないです」
「Seriously(ホントに)?」
「ちょ、勝手に入って……」

 

 堂々とカーテンを開けたシロウさんが着衣室に入ってくる。
 幸い店員さんが席を外していること、長身の彼が入っても狭くないことに文句を控えると、長い両手が肩に乗った。姿見に小首を傾げるのが映る。

 

「Oh、見た目は大丈夫そうだけどキツイ?」
「肩や腰回りは良いんですけど……」
「……Oh! こっちのことか」
「あんっ!」

 

 察したシロウさんに乳房を掴まれた。
 揉まれる度に形を変え、強調される胸に恥ずかしくなるが、互いに興奮しているのが鏡越しでもわかる。顔を寄せた彼の頬は熱く、ワンピースどころかショーツに手を潜らせると秘部に指を挿し込まれた。

 

「あっ……シロウさ……」
「So good……“家性婦ちゃん”とはじめてシた時を思い出すよ」
「もう……」

 

 服、着衣室。そして、久し振りに聞く呼び方。
 幽霊だと思っていたのが人間で四男だった出会いを話すとシロウさんは笑い、私もつられるように頬を緩めた。そして、あの頃の不安もなければお尻に当たるモノも理解している両手を鏡に着けると、お尻を突き出す。
 目を丸くした恋人に、吐息を零しながら願いを口にした。

 

「また……服だけじゃなく、下着も買ってくださいよ?」
「……Sure(もちろん)」

 

 満面笑顔で口付けられる。
 瞬間、私のショーツも自身のズボンも下着も下ろすと挿入された。必死に声を抑えても悦び求める姿を映す鏡を真っ白に染めるまで止まることはない。

 

 とんでもない量の服や下着に頭を悩ませるのも、もう少し後の話しだ。


 

* * *

 


「はい。レイちゃん、あ~ん」
「あ~ん!」
「はい、アウトー」
「んんん゛ん゛っ!!?」

 

 ジューシーに焼けたステーキを『肉Love』と書かれたTシャツを着ているはじめさんに食べさせてもらう。が、口に入れた瞬間、反対隣に座る三弥さんにスイッチを押され、身体が跳ねた。原因は胸と秘部を刺激するローター。

 

 誕生日だからと晩御飯は個室のステーキ屋『Nari牛』に連れてきてもらったのだが、あまりの美味しさとはじめさんの甘やかしに食べ過ぎてしまい、制御も兼ねて三弥さんに取り付けられてしまった。
 さほど強い刺激ではないが、敏感なところに付いているため疼きが蓄積されていく。的確すぎる“お兄ちゃん”に頬を膨らませると意地の悪い笑みを返された。

 

「なんだ、“妹”? 嫌なら食べなきゃいいだけだろ」
「そう言われて「はい、あ~ん」

 

 返事の口にステーキを突っ込まれる。
 ワザとではなく純粋にはじめさんの好意なのだが、三弥さんは利用するようにスイッチを押した。上下からの振動にステーキのではない汁が唇から垂れると扉が開く。顔を出したのは席を外していたシロウさんだ。

 

「ニイ兄が着いたみたいだから、オレ迎えに行ってくるね」
「あ、僕も行きた~い」
「Ok!」

 

 立ち上がったはじめさんと手を繋いだシロウさんに手を振ると扉が閉まる。二人っきりに安堵していると、横から伸びてきた舌先に垂れていた汁を舐められた。

 

「ひゃうっ!」
「なに安心してんだ。淫乱ドM妹」
「ちょっ、変な言い方しなっ……!」

 

 跳ねてすぐ違和感を覚える。というのも、秘部のローターが外されたからだ。
 愛液を落とすローターを見せられた私は後退るが、なんでもないように三弥さんはローターを舐める。卑猥なのに自分が舐められている感覚に陥り、股間が震えた。

 

「んっ……こんなに濡らしやがって……で、なんで震えてんだ妹」
「お、お兄ちゃんこそ……!」
「っあ!」

 

 ローターをしゃぶる三弥さんを横目に手を伸ばす。掴んだのは彼の股間で、はち切れそうなズボンから巨根を取り出した。
 手の中で脈を打っているのが嬉しくて視線を上げれば、甘苦の表情を見せる三弥さん。直後、彼の唾液と自分の愛液にまみれたローターを見せられた。高鳴る動悸と疼きに、先ほどまでの羞恥も消えた私は躊躇いもなくローターを舐めながら巨根を扱く。

 

「っああ……さすが妹……もっと上手にできたら……誕生日プレゼントやるよ」
「んふっ、んっ……お兄ちゃんチ〇ポ……ほひぃ」

 

 共にローターを舐めながら視線を合わせると口付けを交わす。
 口内で暴れる舌先に負けないよう巨根を扱けば熱々の白濁が飛び散り、ステーキ以上の絶品デザートという名のプレゼントをいただいた。

 

 当然、他兄弟に見つかるが、恋人一の巨根(美味しさ)に勝てるはずがない。


 

* * * 

 


「ほう……三弥くんのチ〇ポは……んっ、そんなに美味しかったんですか?」
「お、美味しかったですけど……んっ、口ではシてんぐうううぅぅっ!」

 

 冷ややかな声に反論するが、喉奥まで突っ込まれた肉棒に塞がれる。
 ベッドに寝転がる全裸慶二さんの顔には私の股間、同じく全裸の私の顔には慶二さんの股間があり、互いに肉棒と秘部を舐め合っていた。背後では、ガラス張りの先にあるお風呂ではしゃぐ他三人。ちなみに、すべり台付きというラブホだ。

 

 まさかの場所に絶句したが、掃除をしなくていいし、ルームサービスもあるし、お風呂もあるし、広いし、セックスし放題と好都合すぎて、ぐうの音も出ない。が、それ以上に不機嫌な慶二さんの機嫌取りが先だった。先のステーキ屋で大好きなフェラを弟に取られたのではと勘違いしているからだ。

 

「勘違いなんてしてませんよ……ただ、もっと美味しいのをプレゼントしなければと……ねっ」
「あああぁあぁぁっ!!!」

 

 愛液を零す秘部をしゃぶられ、肉棒を離してしまう。
 舐める荒々しさと拡げた指先で膣内を掻き回す激しさに『不機嫌』は変わらない。だが、快楽が勝り、彼の誕生日を思い出した私は乳房で肉棒を挟むと勢いよくしゃぶりついた。

 

「っく……零花さ……っ」

 

 冷ややかさが熱に変わり、情欲を秘めた目と目が合う。それだけで嬉しい私は乳房で扱きながら先走りを滲ませる亀頭を舐めた。

 

「んふっ、んっ、んんん……やっひゃり……んっ、いひゃまち〇ぽは慶二しゃんのが一番です」
「まったく……誕生日なのに奉仕好きですね……とても愛らしいですが……っ!」
「んんん゛ン゛ン゛っ~!!!」

 

 長い両脚で頭を固定され、喉奥まで肉棒を押し込まれると熱い白濁が放出された。同様に私も潮を噴くが、シャワーを浴びるかのように慶二さんは受け止め、眼鏡を外す。そのまま肉棒を引っこ抜かれた私を抱き寄せられると、互いの顔に付いた白濁や愛液を舐め取り合った。

 

「んっ、誕生日……おめでとうございます、零花さん……」
「んんっ……だんだん」

 

 頬を寄せ合うと口付けを交わす。
 優しい舌遣いに早くも愛液が零れ、気付いた慶二さんの手が伸びる。が。

 

「STOP! ニイ兄、独り占めはそこまでだよ」
「見え見えなんだって……早くシようぜ」
「レイちゃ~ん、ケイく~ん。すべり台、楽しいよ~」

 

 不貞腐れている三男と四男の間から見えるのは満面笑顔ですべり台を楽しむ長男。呆れはするが、なにも纏っていない下腹部を見れば求められているのがわかる。それは溜め息をつく次男も同じで、苦笑を零すと口付け抱えられた。

 

 向かうのは、愛し、愛してくれる恋人たちのもと。

 

 

 

 


「んふっ、んっ、んんっ……ンンンっ!?」
「ああ゛ぁっ! ちょ……はじ兄、ローター挿《い》れんなって……締まるっ」
「ふふっ……だって可愛い穴が開いてたんだ」
「Ya。挿入(いれ)たくなっちゃうよね」
「歯を立てず……偉いですよ、零花さん」

 

 家の布団よりも何倍もあるベッドに四つん這いになった私の口に肉棒を押し込む慶ニさん、後ろから巨根を挿入した三弥さん、小さなお尻にローターを挿し込んだはじめさん、懐に潜り乳房を堪能するシロウさん。
 四人と四本にお風呂に入った身体は早くも汁にまみれ、四方から多様の液が噴出される。

 

「んんん゛ん゛ンンっぱあ……はあ、はあっ……!」
「ふふっ、レイちゃんすっごい厭らしい顔してカワイイ」
「サン兄、代わって代わってー!」
「っはあはあ……ちょっと待てって……ケイ兄、フェラは?」
「……イラマじゃなければ許します」

 

 顔に慶ニさんの白濁を受けた私は突っ伏し、頭上で会話していた兄弟が場所を替わる。息つく暇もなく長い両手に起こされると目が合ったシロウさんと口付けを交わし、彼の胸板の上に仰向けで寝転がった。

 三弥さんの白濁を零す秘部には下からシロウさんが挿入し、両手にははじめさんと三弥さんの肉棒を握らされる。さらに跨った慶ニさんの肉棒が乳房に挟まれると、いっせいに動かされた。

 

「っは、あ、ああぁぁっ……あああぁん!」
「So good! サン兄の後だから挿入りやすいし、ヌルヌルしてて気持ちイいっ」
「っはあ……パイズリもお上手で……さすがです」
「ふふっ、ちゃんと扱いてもくれるしね……」
「褒美にっあ……ローターも最大にしてやるよっ」
「ああああぁぁっ! お兄ひゃん、ひょれはひゃめええぇンンッ!!」

 

 お尻に挿し込まれたままだったローターの最大出力にのけ反るが、シロウさんと慶ニさんに押さえ込まれているため喘ぐだけ。その喘ぎも三弥さんの巨根で塞がれ、真下から激しい突き上げをうける。

 

「んぐっ、ふっ、んんんっ!」
「んっ……レイちゃんは涙も美味しいね」
「Oh! イチ兄っ、笑いながらローター奥に挿れるのやめっああぁ……レイカっそんな絞り取らないでええぇ気持ちイいよっ……!」
「オレら、はじ兄にイかされてるのかも……あっ」
「ですね……っ!」

 

 はじめさんがさらに奥へローターを挿入したせいで締め上げた膣内にシロウさんのが、三弥さんの巨根を抜いた慶ニさんのが口に、胸には三弥さんの白濁が散らされる。
 あまりの激しさに痙攣し、意識朦朧となるが、構わず股間に座り込んだはじめさんに挿入された。

 

「あふっ、あっ、もっ……ひゃめ……イっひゃって」
「ん、イいんだよ……僕たちはイってるレイちゃんも大好き」
「イってもらうのが……っはあ、一番……嬉しいですからね」
「Ya……だからレイカは」
「全部受け止めりゃイいんだよ……俺たちの愛を」

 

 慶ニさん、三弥さん、シロウさんに顔を舐められる間から見えるのは腰を振るはじめさん。イくだけで良いのかと心配していた気持ちも不安も吹き飛ばす笑顔と快楽に涙が零れると、か細くても確かな返事を返す。

 


「Yes……!」

 


 一言だけでも充分効力がある魔法の呪文。
 唱えれば数え切れないほどの囁きや愛撫、白濁が注がれ世界が真っ白になるが、絶頂の先にも愛する恋人たちがいた。それだけで四年に一度なんて関係ない、幸せで満たされた私だけの誕生日だ──。

 

 服に下着にステーキ屋にホテル。
 すべての支払い金額が何十万以上にもなり、平然と払った兄弟に別の意味で真っ白になったのは別の話しやが……────。

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