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懐中時計

​番外編*3月8日*三弥誕生日

*三弥視点

 三月八日は俺の誕生日。
 名前に似ていて覚えやすいが、俺自身は覚えていないことが多い。自分に無関心なのもあるが一番は──。

 

 


「ミツくーん、誕生日おめ「Thank you!」

 

 0時すぎ。長兄からの祝詞を最後まで聞くことなく遮る。
 申し訳なくも有難くも思うが、今は目前の原稿を上げることに手一杯だった。

 

 漫画家に休日はない。
 それなりに自由にできる職業ではあるが、締切が近付くにつれ連日徹夜も当たり前。動けるのは秒のトイレぐらいで、あとは机にかじりついて永遠と描く仕事。
 俺の怠慢が招いた部分もあるため自業自得だが、締切まで残り十ニ時間。誕生日と言われても余裕がない。

 

「Oh……修羅場ってヤツだね」
「仕事をいただけるのは良いことなんでしょうが……」
「ミツくん……」
「終わってからお祝いしましょうか」

 

 扉のない出入口を塞いでいた四つの影が音を立てないよう、気遣うよう、ゆっくりと下がる。理解のある家族で助かるが、廊下でセックスをはじめたようでヘッドフォンを着けた。

 

 締切前ほど扉を直すか考える。

 


 

 


「……ん……さ……ん……三弥さん!」
「っ!? 原稿っだ!」

 

 大きな呼び声に飛び起きる。が、柔らかいモノに弾かれ再び沈んだ。額を押さえ唸る俺の睨みに、大きな胸を揺らす女が顔を覗かせる。

 

「原稿なら無事に終わったじゃないですか。爆睡コースも良いですけど、水分補給はしてくださいね」

 

 眼鏡をしていなくとも笑顔が映る。
 ベッドから上体を起こし、ペットボトルを受け取った俺は飲みながら視線だけ移した。点けっぱなしだったパソコンは消え、太陽が差し込んでいた外は暗く、壁時計は十一を指している。
 カレンダーの今日の日付には『Birthday』とは別に花丸で『Congratulations(おめでとう)!』と、はじ兄の字で書かれてあり、稿を上げたのだと実感がわいてきた。

 

「誕生日会は明日になりましたけど、なにか食べます? それともお風呂? あ、編集部さんからお花とプレゼントが届きましたよ」

 

 出入口に置かれていた小包と小さな花束を受け取る。
 そこでやっと誕生日だったのを思い出し、花束を女に頼むと小包を開いた。『ミツ先生、誕生日おめでとう』のメッセージカードと一緒に入っていたのは『Nariチョコ』のお菓子──そして。

 

「……おい、妹」
「なんですか、お兄ちゃん?」

 

 慣れた設定と呼び方に、床に散らばった資料や空のペットボトルを片しながら女が振り向く。瞬間、その場に固まると持っていた物をすべて落とした。
 普段なら怒るところだが、口角を上げた俺は小包から取り出した服。否、胸元が大きくV字型に開いたスリングショットの水着を見せる。女は後退るが、今日だけの特別な呪文を口にした。

 

「“誕生日プレゼント”に“着て”くれるよな?」

 

 ひと眠りのおかげで冴えた頭と笑みに、女は唾を呑み込む。
 だが、少しの間を置いて溜め息をつくと『Yes……』と、渋々受け取った。その場で服も下着も脱ぎ、ほぼ布の面積がない紐水着に戸惑いながら足を入れる。
 くすくす笑いながら眼鏡を掛けた俺も携帯を動画モードにし、玩具箱を漁った。

 

「お、お兄ちゃん……」
「お、似合うじゃん。さすが妹」

 

 か細い声に顔を上げれば、恥ずかしそうに腰をくねらせながらも紐水着を着た妹。巨乳を際立たせるように胸と股間には隙間ができ、紐越しに尖った先端が浮き出ていた。

 

「もう……なんで編集者さんがこんなのを送ってくるんですか」
「夏用の資料も兼ねてだろ。高倉さん、お前のこと気に入ってたし」

 

 俺の担当女性を思い出したのか、固定した携帯に頬が膨らむのが映る。その隙に取り出した二本の電マを乳房に宛がうと電源を入れた。

 

「ちょっ!」

 

 突然の振動に胸を隠そうとするが、俺の視線に止まる。さらに電マを一本渡せば、素直なドM妹は自分から乳房どころか先端に押し付けた。

 

「ああぁっ……振動すごいぃ……」
「ホント……イいプレゼントだな」
「ぁンンっ!」

 

 興奮が伝染(うつ)ったのか、舌舐めずりすると俺の電マを小刻みに震えている股間に突っ込んだ。秘部と胸に与える刺激に妹は左右に揺れ、太股に蜜が伝う。

 

「ひゃあああぁ……お兄ひゃんダメええぇっ……」
「ぐちょぐちょのマ〇コ汁を垂らしてるくせになに言ってんだ……よっ!」
「あああ゛あ゛ぁぁぁっ!!!」

 

 紐水着を引っ張り、直で電マを秘部に宛がう。
 威力も最大にすれば、動マを落とした妹はのけ反り潮を噴き出した。はしたなく愛らしい愛液が床もベッドも濡らし、妹は立ったまま痙攣を起こす。その度に新しい蜜が真下にできた蜜池に落ちる様を撮影しながら手招きした。

「イい子だ……ほら妹、兄ちゃんが褒美やるからこい」
「ごひょーび……」

 

 既に達している妹は呂律が回っていないが、俺の股間を見るなり嬉しそうにやってくる。歓迎も込めて抱きしめると涎まみれの唇に口付けた。

 

「んふっ、んっ、お兄ひゃん……」
「んっ……へーへー、ご褒美な」
「ん……あん! もう、意地悪ひないでえぇ……」

 

 股間に座る妹の秘部に曝け出していた巨根を挿し込む。が、ナカではなく素股だ。当然不満気な妹は自分で挿入(い)れようとするが、玩具箱から取り出した手錠を掛ける。同時に柔くてデカい乳房を揉み込みながら腰を動かした。

 

「あああぁぁンっ……気持ひイけど……あんっ……ナカがイいっ」
「俺の誕生日なんだから、俺が好き勝手すんだよ……んっ」
「いつもじゃないへすか……んんっ」

 

 濡れた秘部を肉棒で擦り、ビンビンに尖っている乳首をしゃぶる。
 吸い上げながら片手に持っている電マを差し出せば、自身の愛液が付いているのにも構わず妹は舐めた。

 

 卑猥な息と蜜音、匂いに頭がくらくらするのは睡眠不足だからじゃない。淫れる女が可愛く愛しく、もっと啼かせてやりたくなるからだ。
 応えるように肉棒も硬くなると、乳首をしゃぶりながら妹の腰を上げ、巨根を挿し込む。

 

「あっ、ああ、ああぁぁぁっ!!!」

 

 待ち望んでいたモノが予想以上に大きかったのか妹は激しくのけ反った。
 その身体を押せば背中からベッドに沈み、玩具箱から取り出したローター付きのニップルクリップで両乳首を挟んで電源を入れる。同時に抽迭を再開した。

 

「ひゃあああぁあぁぁ! ひゃめえぇ……こへ、気持ひしゅぎる……イっひゃう……もうイっひゃ……あああぁ抜かないでええぇっ」
「どっちだよ、ったく」
「ぁぁあんっ!」

 

 『ダメ』と言われる度に肉棒を抜くがすぐ涙目で求められ挿入の繰り返し。
 我儘に溜め息が零れるが、はにかみながら犯されている女に高揚感が、膣内で肉棒が膨張した。

 

「っああぁぁ……お兄ひゃんの大きいチ〇ポがもっと大きく……ナカに挿入(はい)りゃないい」
「押し込むに……決まってんだろっ!」
「あ、あああぁぁーー!」

 

 中腰になった俺は女の腰を持ち上げると真上から勢いよく挿入する。
 巨根を、俺自身の容を覚えさせるように何度も押し込み、子宮を突いた。乳首のローターも最大にすればナカが唸り、嬌声がいっそう響く。

 

「ああっ……はげひっ……おっひなチ〇ポ好きっ……三弥しゃあああ゛あ゛ぁぁぁっ!」

 

 意識が混濁しているのか、素の女に全身が熱くなると根元まで押し込む。そのまま抱きしめると最奥で滾りを放出した。ドクドクとナカで脈を打ち、大量の白濁が子宮に散らしているのを感じると口付ける。
 角度を変えては何度も口付け、繋がった白糸を舌先で切った。

 

「っはああぁ……最高だな」

 

 汗を落としながら舌舐めずりする。
 息を切らす女は虚ろな目で見上げるが、はにかむ俺が映っていた。女もはにかむと、まだ聞いてなかった一言を口にする。

 

「三弥しゃ……誕生日……おめへとー」
「……おう、Thank you」
「ひゃうっ!」

 

 感謝を込めて抽迭を再開する。
 既に限界だと女は泣き叫ぶが、このぐらいで達する女でもなければ互いに求めているのがわかり、果てるまで最愛の女を犯し続けた。

 

 稿明けって最高──。

「Oh~、サン兄ズルいよ~。オレもシたい~」
「口はダメですよ。舐めてもらう分はギリセーフですが」
「あ、ミツくん。レイちゃんのマ〇コもっと見せて見せて!」
「~~っだあああうっせええええぇぇ!!!」
「もう……見世物小屋やが……」

 


 ──だったが、扉がないせいで覗き込んでは口を挟む兄弟に結局最後は全員で犯すこととなった。嫌ではないが、やはり一人で犯したいのも事実で、明日ホームセンターに行くか悩む。

 

 扉って幾らぐらいするんだ────?

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