カモん!
番外編06*「旅行」
ふわふわと気持ち良い世界に優しい声が聞こえる。
いっそう気持ち良く甘美の海へ沈めようとするが、何故か真上から豚バラが落ちてきた。お腹がきゅるきゅる言う私は目を輝かせると豚バラをパクリっ──!
「…………………………みき」
「しゅみましぇん……かふぃんひゃん」
駐車した車内で目を覚ました私。
目の前には髪をアップにした海雲さんが呆れた眼差しを向けていた。
そんな私は彼の人差し指を咥え“ちゅっちゅっ”と音を鳴らす。
しばらくして“ちゅっぽん”と抜かれると、反対の手で頬を撫でられた。口元に弧を描いた海雲さんは耳にキスを落とした。
「……ぐっすり寝た分、朝まで楽しませろよ……奥さん」
「は、はいぃぃっ! だ、旦那様っっ!!」
夢以上に甘美な声に私の顔は真っ赤になり、笑う声に誘われるように車を降りた。
五月に入り、まだ明るい午後六時。目の前には木造二階建てで古風ある老舗旅館。青々と茂った石畳と行灯に照らされた歩道を手を繋いで歩く私達の左手薬指にはお揃いの結婚指輪。
そう、辻森みきから藤色みきに名を変えた私は新婚旅行に来たのです!
* * *
三月に『カモん』で式を挙げました。
その後、婚姻届も出したのですが、海雲さんは支社創設で忙しく、しばらくは前と変わらない生活。
それも一段落した頃、新居にマンションも購入されまして(私また点目で見てるだけでした)お引越しも終わると新婚旅行の話が出たのです。が、二十五年間日本を出た事ない=パスポート持っていない私に合わせ、近県旅行三泊四日になりました。
謝る私に、海外だと迷子&何かに巻き込まれそうだと呟いた海雲さん。なぜ?
チェックインを済ませた私達が泊まるのは離れの部屋。
内風呂の他、外には岩の露天風呂付き! さっき歩いて砂山を作った海まで見えます!! お値段は知りません!!!
お値段関係は絶対教えてくれない海雲さんなのでビクビクですが、御礼を言うと『夫婦でそれは違うだろ』とツッコまれた。『夫婦』に顔が熱くなるのはまだ実感がないからでしょうか。
「まあ……前と特に変わったところもないせいだろ」
浴衣に着替え、大変美味しい海の幸の夕食を終えると縁側でくつろぐ。
気持ち良い夜風に海と月。とても綺麗ですが、前髪を下ろした着物海雲さんの方が上な気がします。
見慣れない姿とカッコ良さにシャッターチャンスと言いますか、ともかく写メって『男性浴衣』をかえでんに送ってあげたいです。あと、旅館の背景も。でも今は『変わったこと』を考える。
「そうですね……あ、海雲さんと一緒にいる時間が増えました!」
「なのに帰ってきたら、みきではなく『バイトです!』って置き手紙と冷えたご飯が迎えるのは何故だ」
「それは……私のバイトが夜……だからで」
間も空けず、黒い何かを出す海雲さんに顔を逸らした。
そう、私は結婚してもバイトしています。いえ、さすがに新居から『カモん』へは通えないので新しいところですよ。また居酒屋ですけど。
慣れって怖いですよね、全然お昼のバイトなんて浮かびませんでした。
それを聞いて大きく転けた海雲さんに『辞めてこい』と即行言われましたが、支社が安定するまでと許可貰いました。が、やはり不満なのか機嫌が悪そうです。だって夜もちょこまかしてないと変な感じで……と、考えていたら睨まれてしまった。
内心謝りながら片腕に寄りかかると、大きな腕に抱きしめられる。
夜風で冷えていた身体がすぐ熱くなり、肩に顔を埋めた海雲さんは襟元から見える首筋に吸い付いた。
「あっ……んっ」
「ちょこまかなら……俺の腕の中でしてるだろ」
「そ、それは……ん」
別の意味です!、の言葉が喘ぎに変わる。
赤い花弁が付けられると、片手で顔を固定され口付けられた。たった数ヶ月で何度もした口付けは抵抗する事無く彼の舌を招き入れ、自分の小さな舌と絡ませると唾液を飲み込む。
「ふん、あっ……んん」
「んっ……もっと……だ」
さっきまでの不機嫌とは一変。
頬を緩めた海雲さんが見えると、両手を首に回し、深い口付けを何度も交わす。それがどのぐらい続いたかはわからないが、唇はふやけて息も荒い。それでも甘い味と気持ち良い快楽に満たされている。
「はあ、はあん……海雲さ……ん、あっ」
「熱く……なってきたんだろ?」
帯をゆっくり解かれると、襟の隙間に大きな手が潜る。
下着をしていないため、簡単に柔らかな膨らみへと到達した。それを片方掬い上げられると、親指と人差し指で捏ねられ身体が跳ねる。
「ゃあん! あ……んっ」
「何度しても慣れないな……ま、何度も可愛い反応見れて……良いが」
「あっあ……あん」
くすくす笑いながら着物を上半身まで脱がされると、ささやかな膨らみの乳房が露になる。
恥ずかしくて両手で隠そうとするが、視線を向けられると止まり、夜風に当たっているはずなのに全身が熱い。そのまま顔を胸元に寄せた彼は、冷気と熱さで突起した乳首に舌を伸ばし、口に含んだ。
「あっあああっ……ンンっ」
「んっ……ツンツン尖って……食べがいがある」
「た、食べがいって……ああっ」
乳首を舐める刺激に身体が跳ねる。
同時に下腹部からゾクゾクした快感が上りはじめ、“ちゅっぱ”と吸われると頂上まで到達した。
「ひゃああぁんっ!」
「なんだ……胸だけでイったか?」
「あぅ……すみま……せ……」
「いいさ……何度イっても……“新婚旅行”だからな」
そう言って笑みを浮かべる海雲さんですが、キラキラ背景が見えるので降臨されている気がします。でも、そんなツッコミも出来ないほど気持ち良くされた私は、両手を彼の首に回した。
それから首元に吸い付き、耳朶を舐めると囁く。
「いっぱい……イかせて……ください……旦那様」
「ああ……いいぞ……奥さん」
「ああっん……あぁ」
私がしたように耳朶を舐め囁いた海雲さんは、私の左手を取ると指輪に口付けた。
さらに着物もショーツも脱がされ、ドロリと濡れた秘部に指を絡められながら横抱きされる。バスタオルを持って向かうのは露天風呂。
湯煙が夜空に舞う露天の前に着くと、片手で器用に自身の着物を脱いでいく海雲さん。内心拍手! 相変わらずご立派な身体されてますね!! ひゃうっ!!!
「まだまだ元気だな」
「そ、そんな事は……あんんっ……」
指を二本に増やされ身じろぐと、私を抱えたままお湯をかける。
突然の熱いお湯にしがみ付くと笑われるが、お湯に浸かると冷えた身体が温かくなった。が、彼の腰に跨り抱きついている格好のせいか、股の間に大きなモノが……ちょいっと上に身体を浮かすと両くびれを突かれ、ズリ落ちる。肉棒の先端が秘部に当たった。
「あんっ……!」
「みきは刺激あった方が好きだからな……」
「それ……はんんっ」
抱きしめられたまま肩や首に口付けが落ち、両手で乳房を掴まれると谷間に舌を這わされる。その、ひとつひとつの刺激に身体が跳ねる度に肉棒が当たり、お湯の中だというのに愛液が零れた気がした。
それに気付いているのか、私の顎を持ち上げた海雲さんは口付ける。
「んっ、あん……」
「我慢せず……ん……たくさんねだれ」
「それ……はぁん……海雲さんも、です……ょああぁぁんっ!!!」
言い終えるよりも先に身体が浮いたと思ったら、すぐに腰を落とされ、真下にあった肉棒に貫かれた。ズブズブとお湯と一緒に入ってくるモノに膣内も脳も混乱するが、海雲さんは嬉しそう。
「そうっ、だな……欲しい時は俺も……っ」
「あ、あ、ああぁっ……ん」
「なら……言うか」
お湯と汗にまみれた海雲さんは綺麗な笑みを浮かべる。
その表情に心臓が高鳴ると何度も口付けを交わし、荒い息を吐きながら耳元で囁いた。
「みきを……めちゃくちゃにしたい 」
「ひゃうぅぅっ!!!」
そんなカッコイイ台詞は反則です!、と叫びたいが、快楽に溺れている今は別のことを言った。
「もう……全部……海雲さんの、なんですから……好きに……めちゃくちゃにして……ください」
「…………おねだり上手になったな」
互いの指輪が光る中、また口付けると肉棒を抜かれた。
小さな喘ぎと同時に荒い息を吐いていると露天風呂から上がり、岩縁に座らされる。けれど開脚され、秘部が露になった。
お湯に浸かったままの海雲さんは両太腿を持つと股に顔を埋め、秘部を舐める。
「ああぁ……はあぁぁんっ!」
「んっ……暖かい汁が出てるな……我慢せず……ん、もっと出せ」
「はあぁ……ん……」
愛液と一緒に秘芽も舐められるとゾクゾクは止まらず、新しい蜜が零れる。それを落とすまいと舐め取っては吸い取られ、外に出ているはずなのに全身が熱い。
そして早く早くと願うように舐める彼を見下ろした。
「ん、どうした……物欲しそうな顔して……」
「んんっ、あぁ…」
「ほら……我慢するなって言っただろ」
「ああぁ、はああぁんっ……も、もう……中に……あぁっ!」
恥ずかしくなりながらも懸命に声を出そうとするが、膣内に指を入れられ遮られた。
それがワザとなのも『続きは?』と促されているのも、笑みを浮かべる顔を見たらわかる。蜜を吸い取る音に喘ぎを増しながら願いを……欲しいものを声にした。
「な……中に……あぁ……入れて……私の中で……海雲さんの全部……ひゃぁ……出してぇえっん!!!」
羞恥の声と同時に膣内の奥まで指を入れられ潮を噴き出す。
一瞬真っ白になり倒れそうになるが、大きな腕に支えられ、岩の上に敷いたバスタオルに転がされた。息を荒げていると足元から順に舌を這わせる海雲さんが見える。
太腿も潮を噴いた秘部も丹念に舐め取られ、臍、手、腕、胸、肩と、お湯から出た彼の舌によって彼色に染められていく。気付けば目の前には月よりも綺麗な愛する人が跨り、笑みを浮かべていた。
「せっかく良い声でねだったんだ……最後までヤらないとな……それに」
「あぁんっ!」
頬に鼻に瞼に唇に口付けると両脚を屈曲させ、大きくなった肉棒の先端を秘部に挿し込む。そして上体を屈めまた口付けると甘美な声で囁いた。
「朝まで楽しませろって言っただろ……みきっ!」
「ああああぁぁぁーーーーっ!!!」
声と色気のある表情に動悸も激しく鳴り出すと、奥底まで挿入された。
最初はまったく入らなかった大きな存在は今では簡単に入り、私の膣内を全身を包みながら快楽の海へと溺れさせていく。海雲さんは嬉しそうに腰を打ち続けては肌に吸い付き、私はもっととねだる。
「はあ、ああぁぁんっ……もっと奥で……」
「ああっ……奥で……気持ち良いの出して……やる」
「ひゃああぁああーーーーっっ!!!」
言葉通り膣内の奥で白液を噴出され、いっそう声を響かせると引っこ抜かれる。
もうちょっとでイけそうだったのにと涙を浮かべていると笑みを向けられた。そのまま身体を反転され四つん這いにされると、間も置かず後ろから挿入される。
「あ、ああああぁぁーーーーンンっっ!」
前からとは違う刺激に犯されながらも、気持ち良い快楽は止まらない。
むしろ抱きしめられると、熱さではない温かさに包まれる。また膣内には熱い白液を噴出されるが、また体位を変えたりと止まる事はなかった──。
目覚めても布団の上で裸体は恥ずかしすぎます。
外はまだ暗く、真上には跨った海雲さんが私の髪や頬を撫でながら口付けていた。その愛を受け取りながら下を見ると、ムクムクと大きくなっているモノ。顔が真っ赤になりながら聞いてみる。
「ま……まだまだ……いっぱい……ヤるん……ですよね」
「なんだ、したくないのか?」
「そ、そんな事はないです……けど」
「なら、いいだろ……頑張れば頑張るほど嬉しいのも舞い降りるかもしれないぞ」
「舞い降り……あぁっん!」
首を傾げると同時に勃った肉棒を秘部に宛がわれる。
身じろいでも既に身体は痛さで動かず、抵抗する事もなく彼を呑み込んだ。愛情たっぷりと言えば聞こえは良いですが、緩やかにしてもらわないと私がもちそうにありません。
だって旅行はまだあるんですからーーーーっっ!!!
楽しい旅行は昼は寝て、夜は啼かされるだけで終わった気がします。
それだけ旦那様が溜まっていたのを思うとバイトは辞めた方が良いなと察しました。
辞めても変わらないのを知るのはまだまだ先ですが、“舞い降りる”の意味はすぐ知る事になりました────。