カモん!
番外編05*「俺と妹」
*「番外編04*私とお秘書さん」の海雲視点
「寺置さんの愛がすごく重いんです」
買い出しでみきと寺置がいない辻森家の居間で、真剣な眼差しを向けるのはみきの双子の妹、まき。
姉と同じ綺麗な天パだが肩下までの長さで、笑顔の多いみきとは違い眉を上げている。
そんな彼女は何をトチ狂ってそうなったのか“あの”寺置の恋人だ。
しかも『寺置さんの』と言うようにヤツが妹にご執心らしく、溺愛ぶりがすごい(人の事は言えんが)。それが激しすぎるのか、顔を赤くしたり青くする妹を見ながら訊ねた。
「……重いって、どう言う意味で重いんだ?」
「えーと、所構わず色々……あっ! 色魔です!! エロ野郎って事です!!!」
握り拳を作った両手で机を叩くとカップが揺れた。
妹はアワアワしているが、色々と鬱憤がある証拠かと、コーヒーを飲みながら腐れ縁男を浮かべる。
「寺置は……妹以外に今は興味ないから、色欲と言うよりは性欲魔だ」
「どっちも一緒ですから……と言うかあの人、昔そんなにしてたんですか?」
「まあ……来る者は拒まず、去る者は追わず……だったな」
「サイっテー」
つい口走ってしまった過去に妹の低い声が響き、無意識に肩が跳ねた。寺置並みに怖い……みきが恐れるのもわかるが、一応フォローのため手を横に振った。
「昔の話だ……それに、あいつが隣に許した女は妹だけだぞ」
「…………………………本当?」
机に置いた両腕に顎を乗せた彼女の視線は“みき”で、不覚にもドキリとする。
さすが双子。妙な仕草や表情が似ていると感心しながら顔を青褪めた。恋人と間違えた上、おっそろしい男に殺されるかもしれないからだ。すると、口篭った声で妹が問う。
「男の人って……すぐキスしたくなるもんなんですか……?」
「…………まあ、好きな女ならそうだろうな。俺もみきによくするし」
今日は一回しかしていないが、ニ人っきりならそれ以上やる。
みきもだが、女性は自分からするのは苦手なんだろうか。それが恥ずかしいという意味なら妹も寺置にしたいんじゃ……と思ったが『一度するとヤツはしつこい』と言われ同意した。
確かに寺置は俺と違って何回もしたりと場所弁えずよく人前で……それは俺もだったと、過去空港や初詣でした事を思い出す。反省するかのように妹に頭を下げた。
「なんて言うか……可愛いと思った瞬間に勝手に身体が動くんだ」
「可愛いって……あの姉に? どの部分で?」
「笑顔」
満面笑顔を向けられた時は若干違うが、基本笑顔を見ると俺はキスをしたくなる。そんな恋人を浮かべただけで両頬が赤くなり、それを隠すように『妹は寺置のどこが好きなんだ』と訊ねてみた。
腕を組んだ妹は考え込むこと数分。
「さあ?」
「…………………………もう少し、愛してやってくれ」
両手を横に首を傾げた妹に、大きな溜め息をつく。
さすがに寺置に同情する回答だが、これが寺置が好きになり、一緒にやっていける女だとも納得した。そして無性にみきに会いたくなるのは、愛していると言いたいからかもしれない。
すると、同情に似た視線を向けられる。
首を傾げると『姉さんと一緒にいると疲れません?』と問われ、みきを浮かべた。
「……まあ、行動力ありすぎる点では心臓が幾つあっても足りないが……ベッドの上だと素直だしな」
「ベ、ベッドって……お兄さんも結構する……んですか?」
ちょこまかと動き回るみきの行動力は物凄い。
逆に何をしでかすかわからないのが怖いが、東京まで会いにきてくれたりと嬉しい事をしてくれるし、ベッドの上では気持ち良い声を漏らす姿は可愛いと思う。
頷いていると妹から湯気が出はじめている気がするが『疲れる』の部分に思い当る節があり、考え込む。
「けど……たまに小悪魔化するのが問題だな」
「小悪魔? それボ……私も寺置さんに言われた事ありますけど、どういう意味ですか?」
自分の事を“ボク”と言いそうになる妹だが、すぐ“私”に訂正する。
みきに『まきたんはボクっ子です』とか、寺置に『ツンデレ可愛いボクっ子です』と意味不明な事を言われるが、訳せば妹の一人称は“ボク”って事……だよな?
特に気に留めないが、彼女も『小悪魔』と呼ばれている事に溜め息ついた。
すると、妹は不快そうに眉を上げる。みきでは滅多に見れない表情に苦笑しながら言った。
「いや……その辺は双子だと思ってな……小悪魔ってのは……まあ積極的って意味だ」
「ああ、受けだと思ったら攻めだったみたいな?」
あのニ人のように意味不明な言葉に何度か瞬きすると、妹は慌てて首を横に振った。
「おおお男の人が女に負けちゃダメですよ! 寺置さんみたいに両方OKな人は別ですけど!!」
「あいつ、積極なのが好きなのか?」
まさかの情報に目を見開く。
俺も別に積極なのが嫌いなわけじゃないが、さっきも言ったように何をしでかすかわからない……しかし、寺置が積極好きとは驚いた。どう見て考えてもあいつ黒だろ。好きな女なら違うのか?
だが頷いている妹に嘘じゃない可能性を持つと、コーヒーを飲み干す。
それだけ寺置も惚れ込んでいるのかと思うと不意に口元が緩んだ。空になったカップを置き、困っていると言った妹に目を移す。
「まあ……あいつが何しても言いって言うならそれだけ妹が好きって意味だろ。愛情表現がデカイとは思うが、まあまあ受け止めてやってくれ」
「……お兄さんもファイト」
なんとも言えない応援を互いにするのが妙に可笑しくて苦笑した。
二十年来の付き合いの男は俺が何を言っても聞かないだろうが『優しくしてやれ』とは言っておくか。
しかし妹の『ファイト』はどう言う意味だ──。
*
*
*
あの『ファイト』がコレではない事を願いたい。
寺置が余計な事を吹き込んだせいで“小悪魔化”と言う名の積極みきに今、押し負けていた。
壁に背を預け、床に座る俺。
股の間に潜るみきはズボンから取り出した肉棒を咥え、舌先で舐めながら袋を擦っている。その気持ち良さに荒い息を吐くと同時に限界が駆け上り、みきの頭と尻を押さえた。
「みきっ……出る……」
「ふぁ……んんんんっっ!!!」
我慢出来ず、みきの口内で白液を噴出す。
数ヶ月前は『苦い』と言っていたが、今では呑み込み、口からも垂らす姿はエロい。だが、まだ亀頭から出ている白液に舌を伸ばし舐める行為に、慌てて押さえ込むように彼女の背中に上体を乗せる。下から声が聞こえた。
「ふぁいうんしゃん……?」
「ちょ、今……喋るな……」
舐めながら話されると射精したばかりなのにすぐ勃ちそうだ。
それを止めるかのように彼女の頭をいつもより荒く撫でたが、思いっ切り先端に食いつかれた。
「ぐっ!!!」
まるで『わかりました!』の合図に聞こえたのは、俺が『喋るな』と言ったせいか。
快楽で頭の回転が鈍くなり落ちそうになるが『おおお男の人が女に負けちゃダメですよ!』と言っていた妹を思い出す。瞬間、どっかのネジが飛んだかのようにスカートに手を潜らせると、膣内に指を挿し込み、交ぜた。
「ぁぁあぁんっ!」
「……………………今日はいつも以上に……小悪魔化してるらしいな……なら……」
荒く奥で搔き回す刺激にみきが跳ねるが、押さえ込まれているのもあって身動きが取れないようだ。慌てて顔を上げた彼女は固まる。中身真っ黒な寺置ではないが、自分でも珍しい笑みと言う名の笑顔を向ける時は不思議と──啼かしたくなる。
そんなスイッチがONになった俺は冷や汗をかく彼女の頬を撫でた。
「俺も……いつも以上に小悪魔みきを愛でてやる」
「お、お手柔らかに…………ああぁんっ!」
お手柔らかってなんだったかと頭の隅に追いやると、膣内に入れていた指を勢いよく抜く。
大きな声と愛液を溢したみきから上体を退かす。
「かっ、海雲さ……ん」
「場所変わるだけだ……ほら、後ろ向きのまま壁に両手付けて……」
「あうぅ……っ」
荒い息を吐きながら、言われるがまま覚束無い足で立ち上がり、背を向けるみき。後ろに回った俺は膝立ちすると彼女の両脚を掴み、脚に垂れ落ちて来る愛液を舐めた。
「ひゃうっ!」
「ん、あんま大きな声出すと……寺置達に聞こえるぞ」
「はいぃ……っんんん」
実際は居間からも喘ぎが聞こえる。
だが、気持ち良くなりはじめているみきには聞こえていないらしく、必死に手で口元を押さえていた。苦笑しながら股の間に顔を寄せると、秘部を舐めながら両手を伸ばす。上着の隙間を通り、ブラ越しに胸を揉みしだいた。
「んんんぁっ……あぁ」
上下の刺激に声を漏らさないよう耐えているが、余計に“啼かしたい”思いに狩られた。
秘部から口を離す代わりに指をニ本入れながら立ち上がる。指を交互に入れては抜き、長く綺麗な髪を横に流すと、うなじを舐めながら耳元で囁いた。
「みき……気持ち良いか?」
「やっ、あぁぁ……っ!」
「“イヤ”って……まあ、まだそんなに気持ち良くはないか」
「ち、違っん」
口付けながら片手は胸を、片手は膣内を弄ると、手の平に愛液が溜まる。
そんな指を抜くと『ああぁん!』と寂しそうな声を出されるが、付いた愛液を舐めるとみきにも舐めさせた。
「んっ……はぁあっ……ん」
「下はこんなに濡れているぞ……そろそろ欲しくなってきたか?」
「ああっ……大きいの……あたっ……て」
胸の先端を摘みながら愛液で濡れた手で肉棒を取り出すと、秘部に宛がう。だが、膣内に入れる事はせず、手で秘部を混ぜる。
「やああぁ……指じゃなくて……んんっ」
「なんだ……違うのか……なら何が欲しい?」
首元に吸い付き、証を付けながら視線を向ける。
顔を真っ赤にさせた彼女はさっきまでの“小悪魔”はなくなったのか、いつも通りワタワタしているように見えた。それが可愛く、口付ける。
下腹部で鳴らす水音に負けないよう口内も舌で搔き回した。
「はあぁっ、あん……ああぁっ……」
「ほら……ん……何が欲しいか……言ってみろ」
「ああっ……ん……海雲さんの……大きの……中に入れて……くださいぃんっ!」
「…………良い子だ」
可愛くねだった褒美をやるかのように上着を咥えさせると、指を膣内から抜き、腰に腕を回す。そのまま抱きしめると、充分勃起した肉棒を膣内へ──突き挿した。
「んんん゛ん゛ん゛ーーーーーっっ!!!」
「お望みのは……これでいいか……?」
口を塞いでいるみきに意地悪する言い方だが、応えるように腰を動かす彼女にゾクゾクと快楽が襲いはじめる。それが肉棒にも伝わったのか膣内で大きくなるのを感じた。
「ふぁやあぁぁっ……も……ダめぇ……」
「こら……」
そんな良いところで足がもうガクガクなみきは壁に頬と両手を付け座ろうとする。だが繋がったまま両脚を持ち上げ開かせると、そのまま上下に揺す振った。
「はああぁぁんっ……ああぁっ!!!」
「ああっ……そんな締め付けて……気持ち良いのか……」
「あ、ああぁ……気持ち良い……ですぅぅっ!!!」
「んっ……あぁっ!」
「ああ、あああ゛あ゛ぁっっーーーー!!!」
揺するのを速くする度に締め付ける快楽に、膨れ上がった理性も肉棒も弾けた。既に声も他に誰がいたのかも忘れ、白液が床に落ちてもみきの意識が飛ぶまでヤった──。
* * *
「まあ、結局私達も人間ですから理性という名の本能に勝てるわけがありませんよね」
「お前が言うと説得力あるが、反省する気まったくないだろ」
「反省ってなんでしょう?」
向き合って座る寺置は満面笑顔で酒を手に持ち、俺は溜め息をつく。
そんな俺達の膝にはぐったりとイった恋人達が寝ている。もっとも寺置のところは既に魂ごと逝った気がするが。
また起きたら妹に謝っておこうと思いながら『ごひゃ……ん』と呟く恋人の頬を撫でた────。