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​モん!

シェル
   番外編04*「私とお秘書さん」

*最終話前で、みきと寺置の話ですが、途中でみきと海雲になります。みき攻めの回。

 休日の夕方。

 家族連れが賑わうデパートに、私は晩御飯の買出しに来ました。隣には私服で買い物かごを持つ──お秘書さん。

 残念! 海雲さんではありません!! 今日も笑顔全開お秘書さんでした!!!

 

「ふふふ、私とではご不満でしたか?」

「ととととんでもないです! お秘書さんとニ人だなんて、彦星さんと織星さんが出会える確率ですよ!! 嬉しいな~!!!」

「一年に一回で充分だと聞こえますが、スルーしておきましょう」

 

 変わらない笑みを向けられ私も笑顔を返す。冷や汗だらだらですが。

 今日は私と妹まきも海雲さん達もお休みで、二人が家に遊びにきてくれました。母は実家に泊まるらしいので外食も考えましたが、外が寒く、寒がりな妹がNG。なら晩御飯を作ろうと、料理の出来る私とお秘書さんの組み合わせで買い出しに来たのです。海雲さんとまきたんは出来ないのでお留守番。

 

「残してきて大丈夫でしたかね? ニ人共ちょっと人見知りなところあるんですが……」

「ドヘタレとツンデレなだけですよ」

「へ?」

 

 首を傾げる私を他所に、お秘書さんはくすくす笑いながらお肉をかごへ入れる。

 そんなお秘書さんと妹まきは私が入院した日。はじめて顔を合わせた時から何やら進展があったらしく、いつの間にか恋人になっていました。お姉ちゃんビックリ。

 詳しい事はまきたんが頑なに拒否するので聞けてませんが、やっぱり気になるのでお秘書さんに聞いてみましょう。

 

「まきたんのどこを好きになったんですか?」

「突っ掛かってくるところとツンデレなところです」

「お~、ツンデレ好きだったんですか~」

「まき様限定ですけどね」

 

 海雲さんとは違い、お秘書さんはアニメも漫画も大丈夫で気軽に話せます。コミケで脅された事もありましたが……それは、はい。

 お肉から野菜売り場に移りながら私は話を続けた。

 

「でも、デレにさせるの難しくないですか? 私が言うのもなんですが、まきたんいっつもムッスリ顔ですよ」

「そのデレをどう出すかが私の腕の見せ所ですよ」

「おお~! さすが“ドS変態腹黒鬼畜俺様魔王”さんは違いますね!!」

 

 笑顔で言うと周りの人達が静まり返り、一斉に私達を見た。

 お秘書さんも笑顔のまま固まっ……あれ? まきたんが愚痴りながら言ってた気がするのに。

 そんなことを考えていると大きな手が頭に乗り、髪を掻き混ぜられた。

 

「わわわわわわ!」

「困ったお子様ですね。学校で習ってきたんですか? いけませんね~」

「おおおおお秘書さん! 私は子供じゃあああ!!」

 

 爽やか笑顔なのに眼鏡の奥が怖い! 背景が黒い!! 本当に魔王……あわわ、ごめんなさい!!!

 急いで野菜をかごに入れると、彼の背中を押してその場を去る。主婦の方々が何か言っている気がしましたが、お秘書さんの爽やか笑顔(黒いのは見えないよう)に頬を赤めていた。イケメンさんですからね!

「海雲様よりですか?」

「はい! 一位は海雲さんです!! お秘書さんはニ位です!!!」

「気持ち良いぐらいの即答ですが、中身が残念堅物優しさしかないドヘタレ海雲でも?」

「はいっ!!!」

 

 ドッキパリと言い切った私にお秘書さんは瞬きを数度するとくすくす笑う。

 本人目の前にやってしまったと動悸が嫌な音を鳴らし、視線を逸らすが、お秘書さんは気にすることなく歩きはじめた。

「彼に負けるのは癪ですが、恋人なら仕方ないですね」

「す、すみません……」

「いいえ。ところで彼、ベッドの上でも真面目で優しいんでしょうか?」

「へ?」

 お秘書さんは変わらない声で苺をひとパック取るとレジに向かう。

 その後ろで考える。えーと……ベッドの上……ベッド……ああ!

「一緒に寝ると温かいです!」

「人肌ですからね。あ、一括でお願いします」

 カードで支払うお秘書さんに礼を言うと、袋に詰め駐車場へと向かう。

 そこでやっとのこと彼の言うベッドの意味がわかり、助手席に座ると真っ赤にした顔を下げた。隣でくすくす笑う声が響くと車が動き出し、私はごにょごにょ。

「えっと……普段は優しいんですが……なんか……俺様な部分が……」

「おや、俺様海雲は嫌いですか?」

「い、いえ! 激しいってだけで……ギャップと言うか……」

 いつも抱く手も口付けも優しい。

 けど、ベッドの上で服を脱ぎ、跨られると……思い出すだけで茹でダコになる。そんな私をお秘書さんは楽しそうに見ているが、もしかして彼も……。

 

「お、お秘書さんもベッドだと俺様になるんですか!?」

「いえ、私はあまり変わらないですよ」

 

 アッサリと否定され脱力した。

 でも変わらないってなんだろ? 敬語攻め? あ、それはそれで萌えますね。そんな彼に愛される妹はベッドの上だとどんな感じなんだろと、好奇心から訊ねてみた。お返事は。

 

「全力で逃亡及び回避」

「へ?」

「を、繰り返して捕まります。無駄だとわかっていても止めないところが可愛いですよね」

 

 赤信号で停まった彼の表情は爽やか笑顔。

 爽やかに……見えるけど……黒い……。

 突然の事に妹の危機を感じた私は青信号に替わり、車を進める彼に慌てて言った。

 

「や、優しくしてくださいね! 嫌だって言ったら止めてくださいね!! お秘書さん!!!」

 

 微笑んだまま何も言わないお秘書さん。

 顔を青褪めた私は運転中だというのに彼の肩を揺らした。

 

「まきたんはお秘書さんの恋人ですけど私の大事な妹ですからね! 海雲さんとは別ですからね!! 無理やりしたら怒りますよ!!!」

 

 声を荒げながら涙目で言う私に視線が移る。

 その目を見つめていると、溜め息をつかれた。珍しい表情に揺すっていた手が止まる。

 

「……わかりました。努力はしましょう」

「お秘書さん……!」

「ただし」

 

 はじめて勝てた気がして笑みを浮かべるが、すぐ彼も笑顔になる。

 その笑顔に固まっていると、車を近所のパーキングに停めたお秘書さんはシートベルトを外し、端正な顔を近付けた。海雲さん並みのイケメンさんで笑顔全開なのに、顔が引き攣るのはなんでかな。

 

 冷や汗をかく私の目の前には眼鏡の奥にある目を細めた──魔王さん。

 

 

* * *

 

 

「まきた~ん~!!!」

「うわっ!!!」

 

 帰宅して早々、こたつで温まっていた妹まきに飛びつく。

 向かいでは海雲さんが瞬きしながら後ろから来たお秘書さんを見るが、構わずぎゅーぎゅー抱きしめた。

「帰ってくるなり何さ!? 寺置さん、なんかしたの!!?」

「失礼な。されたのは私……海雲様まで」

 

 眉を上げた海雲さんとまきがお秘書さんを睨む中、私は抱きしめたまま叫んだ。

 

「お秘書さんに優しくされて優しくしてね!」

「何アホなこと言ってんの?」

 

 冷たい視線を浴びてしまった。おおうっ、まきたん、ちゃんとお秘書さんのこと愛してるよね? よね……?

 妹の本心が珍しくわからないでいると海雲さんが立ち上がり、私を手招きする。妹を離した私は海雲さんの元に向かう──と、屈んだ彼に口付けられた。

「ふゅっ!?」

 

 突然の事に心臓と肩が大きく跳ねたが、唇はすぐ離れた。

 顔を赤めたまま硬直していると、海雲さんの大きな手が私の頭を優しく撫でる。そのまま振り向いた彼は、笑顔で立っているお秘書さんの隣で私と同じように顔が赤いまきを見た。

 

「妹……やっぱり無理のようだ」

「みたい……ですね」

「おや、海雲様となんのお話をされていたんですか。ま・き」

「ぴぃっ!!!」

 

 お秘書さんの冷たい声にまきはこたつに身を隠した。

 慌てて私は口の形だけで『や・さ・し・く!』とお秘書さんに伝える。それが伝わったのか、彼は口元を押さえたまま腰を下ろすと、ちょっこり出ているまきの頭を小さく突いた。

 よっしと頷いていると、私も海雲さんに頭を突かれ、居間を後にする。ドアを閉めると、壁に背を預けた海雲さんが片眉を上げた。

 

「…………今のなんだ?」

「え? まきたんに優しくしてくださいねってお願いしただけですよ。海雲さんこそまきたんと何……と言うか、さっきのキスは?」

「…………俺の方は『男の人ってすぐキスしたくなるもんなんですか』て……妹に聞かれただけだ。実際みき見たらしたくなったが……」

 

 いない間にニ人も何か恥ずかしい話をしていたようです。

 そこでお秘書さんとの話を思い出した私は頬を赤めたまま顔を伏せた。そして、呟きを漏らす。

 

「お、男の人……だけじゃなくて……私もキスは……したくなり……ます……よ」

「…………あまり自分からはしてこない気がするが?」

「じゃ、じゃあ……していいですか……?」

 

 苦笑していた海雲さんの目が丸くなる。

 私の顔はいっそう真っ赤になっている気がするが、しゃがんでと両手を上下に動かす。しばらくすると海雲さんは屈むどころか床に座り、私の頬を撫でながら笑みを向けた。

 

「……どういうお誘いだ……?」

「さ、誘ったのは……海雲さん……ですよ」

「最初に誘ったのはみ──んっ」

 

 彼の間に両膝を折って入ると、両手を首に回し、口付ける。

 唇を求めるように何度も吸っては舌を入れて混ぜ、角度を変えては堪能する私。普段恥ずかしくて自分からは出来ない事をしている事にニ人で驚く。

「ん、今日は……積極的……だな……んっ」

「したい……から……ぁあっ」

 後ろ頭を固定されたまま口付けを続けていたが、彼のもう片方の手がお尻を撫でると指を伸ばし、ショーツ越しに割れ目を擦る。既に濡れていた。

 

「したいのは……ん……キスだけ……か?」

「はあ……んんっ!」

 

 指をショーツと一緒に膣内に入れられ、喘ぎが激しくなると、口の端から唾液が垂れだす。唇を離した海雲さんも汗をかいているが、笑みを向けると唾液を首元を舐めては吸い、赤い花弁を付けていく。

 

「はぁっ、ああっ……」

「急に……大人しくなったな……さっきまでの勢い……どうした?」

「んんっ!」

 

 強く首元を吸われ、気持ち良さに蕩けはじめる。

 でも今日なら……と、彼の肩に顔を埋めると、同じように首元に強く吸い付いた。

 

「っあ……!」

 

 海雲さんの呻きに顔を離すと、赤い花弁が付いているのがわかる。

 それが嬉しくて彼のシャツボタンを外し、大きな胸板が露になると、四つん這いになって吸い付いた。

 

「待てっ、みき……あ゛っ」

「ん……したいから……して……あぁんっ!」

 

 胸板や乳首を舐め吸っていると、タイツとショーツを下げられ、直に秘部を指で撫でられる。既に濡れている秘部は簡単に指を膣内へと招き入れ、卑猥な音を響かせた。

 

「なら俺も……したいことするだけだ」

「は、激しい……で……ひゃあぁっ」

 

 指で掻き混ぜられたと思ったら突然抜かれる。

 そのまま腰を持ち上げられると、大きく前屈みになった海雲さんの顔がお尻に、秘部に近付き、舌でチロリと舐められた。秘芽と愛液を舐める卑猥な水音を聞きながら矯声を上げる。

 

 それでも彼のズボンに手を伸ばし、ファスナーを下ろした。

 目前には大きく上を向いている肉棒。それを両手で握ると硬くなっているのがわかり、下から上へゆっくりと舐める。秘部から海雲さんの唇が離れた。

 

「っあ……今日は本当どうし……た」

「ふゃって……お秘書しゃんが……したい時はすにゃおに……してくれた方が……男は喜ぶって……んっ」

「あいつ゛っ……!」

 

 息が荒い海雲さんに構わず『ただし、女性もヤりたい時は素直に言ったり攻めてくださいね』と言っていたお秘書さんの言葉に、肉棒を口に含む。

 私もキス以上はしたい。でも思うだけでいつもしてもらうばかり。だから今日は攻めてみようと決めた。口内に入れたまま舌先で亀頭を舐めながら袋を擦ると、彼の大きな手が私の頭とお尻を掴み、限界を伝えた。

 

「みきっ……出る……」

「ふぁ……んんんんっっ!!!」

 

 口内で白液が噴出し、喉の奥に流れながら口からも垂れる。

 肉棒を離すが、その亀頭からまだ出ている白液に舌を伸ばし舐めた。私の背中に海雲さんの上体が乗る。

 

「ふぁいうんしゃん……?」

「ちょ、今……喋るな……」

 

 頭を撫でられるが、いつもより荒い。

 その声に『わかりました!』と応えるかのように亀頭に食いつくと『ぐっ!』と大きく呻るのが聞こえた。途端に長く太い指が膣内に入り込む。

 

「ぁぁあぁんっ!」

「……………………今日はいつも以上に……小悪魔化してるらしいな……なら……」

 

 交ぜ方もさっきと違い荒く、奥まで挿し込みながら大きく搔き回す。

 その刺激に身体が跳ねるが、彼の身体に押さえ込まれ身動きが取れない。肉棒から口を離すと、海雲さんを見……それは意地の悪い笑みという名のキラッキラ笑顔。

 おおっと! これはマズいですね!! この笑みはマズいですよ!!!

 冷や汗を流しながら固まっていると、キラッキラ笑顔=俺様スイッチONになった彼の口が開く。

 

 

「俺も……いつも以上に小悪魔みきを愛でてやる」

「お、お手柔らかに…………!」

 

 

 その瞬間、家なのも、まきたんとお秘書さんが居るのも忘れ、俺様全開になった海雲さんに啼かされイかされた。もう私が攻めに回る事はないでしょう。

 

 ひとつ言える事は、魔王さんは一人ではなかったあああぁぁーーーーっっ!!!────です。

​                          番外編 /

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