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​モん!

シェル
   番外編03*「拍手小話」

*過去拍手のお礼に載せていたSS集です

(「姉の恋人秘書とボク」のキャラが登場しているのもあります)

(たくさんのペンギンが『拍手ありがと~』と言っている画像※掲載不可のため文字のみです)

 

みき*拍手ありがとうございます!

海雲*(ペコリ)

みき*海雲さん、ちゃんとお礼は言葉で言わないとダメですよ! ほら、後ろのペンギンちゃん達のように!!

海雲*…………………………ありがとう(絶対後ろの画像面白がって選んだだろ!)

みき*これからも「カモん!」と、まきたんとお秘書さんの「姉の恋人秘書とボク」よろしくお願いします

海雲*…………あのニ人、何かあったのか?

みき*カンペに書いてあるんです

海雲*…………よろしく

 

 

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*風邪を引いて~みき編~*

 

 ある日のこと。私、辻森みきは風邪を引きました。

 近所の公園で子供達と水鉄砲してたせいでしょうか。真冬に。今日はせっかく海雲さんのお仕事がお休みでデートだったのに……車に乗った途端ふらふらしてベッド戻りです。しくしく。

 

 何か食べないと薬は飲めないので、優しい海雲さんは『何か作る』と台所へと向かい……ん? そう言えば海雲さんって料理できたっけ?

 そんなことを思い出していると、台所から何かが落ちる音が盛大に響いた。

 

「っ!!?」

 

 お皿が割れる音もしたせいか、私は勢いよくベッドを抜け出した。が、ドアの前で海雲さんとぶつかる。表情はいつもと変わらないように見えるけど……。

 

「あのー……海雲さん。先ほど大きな「なんでもない」

 

 ドキッパリ言い切った。

 間がない時は嘘偽りないと知ってますが、即答は怪しいというもの。そろ~りと隙間から後ろを伺う。こういう時の身長差は助かります。

 見ると、床には無残に割れたお皿さんと野菜さん達。どうしてああなったかは不明ですが、不安になってきた。

 

「やっぱり自分で作りまっ!」

 

 勢いよくおでこに『冷え冷えぴと~んくん』を貼られた。

 ひえーっ! 寒っ!! 一気に白熊さんとヤッホー!!!

 身体が一気に冷え、カタカタ震えながらベッドに潜り直す。すると、顔を覗かせた海雲さんのキスがそっと瞼に落ちた。次いで優しい『待ってろ』の声に眠りにつく。

 

 数分後。起こされて出てきたのは御粥。

 水分多くてお米さんが水泳してるけど……多分。そして海雲さんはへにゃへにゃになった野菜炒めを食べている。

 

 

 翌日、少し元気になった私が見たのは、やたら三角コーナーに野菜の皮があり、底が真っ黒くろすけな鍋もどき。うん、風邪を引いても自分で作ろう! と言うか海雲さん一人暮らしむいてない! なんで一人暮らしはじめたの!!?

 

 そんな決心と疑問が風邪を引いてわかりました────。

 

 

~~~~*~~~~*~~~~*~~~~

 

 

*風邪の友~海雲編~*

 

「まさかの……風邪か……」

 

 目覚めると頭がガンガンして寒気がする。仕事と寺置とみきからくる疲労か?

 みきは俺にとって癒しではあるが、たまに心労が絶えないのも事実だ。東京に来ているせいか、今日は友達と会ってくると言っていない。ひとまず、メールしておくか。

 

 数時間後、インターホンの嵐が鳴り響く。

 うるさい……この鳴らし方は御袋か?

 だが、携帯に手を伸ばすと、不在着信とメールが何件もあった。

 

『From*みき*海雲さん、開けてくださ~~~い(。゜≫Д≪゜。)』

 

 ……あ、しまった。みきの合鍵作ってなかった。寺置から奪い返しとくか。

 そんなことを考えながら覚束無い足で玄関に向かうが、開けるのと同時に床に倒れてしまった。その衝撃に、みきの悲鳴が上がる。

 

「ひゃああああっ! 海雲さん大丈夫ですか!? 救急車って、えっと、113番だっけ115番だっけ!!?」

 

 おいおい113番って、電話より自分の頭が故障中だろ。第一、115番ってなんの電報送るんだよ。俺へのお悔やみじゃないだろな。

 そんな大慌てをしている恋人に『大丈夫……』と言いながらも肩を借り……られず(身長差で)、最後の力を振り絞るようにソファに寝転がった。すると、布団を持って、てこてこやってくる物体。可愛いが、全身覆われていて、布団だけが動いているように見える様は一種の不思議体験だ。

 『御粥を作ってくる』と言うみきを抱きしめるが、ペシペシ叩かれる。

 

「このままが一番良い気がするんだがな……」

「体内の悪魔さんやっつけないとダメですよ。取り合えずコレをお友達だと思って……」

 

 そう言って渡されたのは──ネギ。

 

 ツッコむ気力すら奪われた俺は、友となったネギを振りながらみきを見送る。

 数分後、起こされた俺の手にネギはなく、美味しそうな御粥が目の前にあった。ただ、御粥に浮かんでるネギは……深く追求するのはやめよう。

 

 友の力のおかげか、今朝方にはスッカリ良くなった────。

 

 

~~~~*~~~~*~~~~*~~~~

 

 

*お正月~みき&海雲~*

 

みき*2014年あけましておめでとうございます!

海雲*……おめでとう

みき*なんだか本編で年を迎えたせいか変な感じですね

海雲*じゃ……帰ってベッドに入るか

みき*いえいえいえ! ちゃんとご挨拶は大事ですよ!!

海雲*今、しただろ(爽やか笑顔)

みき*そそそそそうです……ね……(抱っこされる)

海雲*それじゃ……番外編までの間ベッドに篭る。今年もよろしく

 

 

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*カモん!&姉の恋人秘書とボク~Wデート~*

※第三者視点

 

 寒い寒い。そんな冬が苦手な辻森みきとまき姉妹。

 ある日の午後。ニ人はお揃いのコートにみきはスカート、まきは短パンに厚めのレギンスとブーツを履いている。それ+みきは毛糸帽子を被り、まきはオレンジのマフラーを巻き、アパートの駐車場で手を繋いでいた。

 

「寒いね~まきた~ん」

「じゃあ『デート』自体なくせばいいと思うんだ」

 

 そう、ニ人は今日『デート』の約束をしているのだ。

 何しろ自分らではないが、同じ会社に勤める男達も大概一緒にいる上、休みも同じ。必然的にWデートになる。

 

 すると、見慣れた車がやってくるのが見え、手を振るみきの頭をまきが叩いた。停車した車から現れたのは、変わらず長身でイケメンの顔立ちにスーツを着た海雲と寺置。

 

「海雲さ~ん! おっはよう……こんにちは~!!」

「ああ……こんにちは」

「なんで今日もスーツなわけ?」

「午前中に急用が出来まして。あ、みっちゃん様、まき様と手を離してくださいね」

 

 微笑みながら寺置は繋いでいたニ人の手をチョップで外す。

 みきは悲鳴を上げ、まきは怒り、海雲は呆れていた。

 

 

 近所のデパートに来た四人だったが、なぜか海雲、みき、まき、寺置の順で横並び。しかも全員が手を繋いで歩いていた。ツッコミを入れたのはまき。

 

「なんでこうなった!?」

「まき様がみっちゃん様と手を離せば良いと思います」

「みんなで繋いだ方が楽しいですよ~」

「みき……デパートで横並びは邪魔だと思うぞ」

「はっ! それもそうですね!! 縦になりましょう!!!」

 

 海雲の後ろに回ったみきは、後ろに並び、手を前の人の肩に乗せるよう言った。

 

 それにより出来た姿は──電車ごっこ。

 

 周りの視線が刺さる。しかし、恥ずかしいと感じたのはニ人だけ。海雲の肩に届かないみきは背中を“ぎゅー”と抱きしめ楽しそうだ。海雲は頬が緩むが、まきがガックリと肩を落としているのが気になり、止めるよう言う。が、寺置が『嫌です』と即答した、

 

「いや……寺置には聞いてないんだが……大丈夫か、妹?」

「お、お兄さん……やっぱり優しいね……」

 

 潤んだ目に『さすが双子、似ている』と、海雲は不覚にもドキリとしたが『さすが寺置、怖い』と冷徹な微笑みも見た。すると寺置はまきの肩を強く握り、彼女の耳元で囁いた。

 

「それ以上、海雲と喋ると──襲うぞ?」

「ぴっ!!?」

「うひゃあ! 何、まきたん!?」

 

 背筋に悪寒がしたまきは、目先の姉に抱きつく。

 それを見た寺置はみきに笑みを向けるが、珍しく危険と悟ったみきがまきを護るように庇い、まきも寺置を睨む。が、姉妹は冷や汗、足もカタカタ震えていた。

 周りがハラハラと見ているのに気付いた海雲は溜め息をつくと、寺置を宥め、双子の頭を撫でた。

 

 そしてWデートはやめようと誓った────。

 

 

~~~~*~~~~*~~~~*~~~~

 

 

*カモん!&姉の恋人秘書とボク~節分~*

※第三者視点

 

 今日はニ月三日。

 夕暮れの公園に集まった辻森姉妹と海雲と寺置。みきはスーパーの袋から“ある物”を取り出した。

 

「じゃじゃ~ん! 豆まきセット~!!」

「するの!?」

「こ、このメンツ……でか?」

「まあ、もう夕方ですし、子供に恥ずかしい大人と見られるか、大人に見て見ぬフリされるかですね」

 

 どっちも嫌だなと海雲とまきは思うが、みきは『行事に恥ずかしいのなんてありませんよ~』と笑う。そんな彼女から溜め息混じりで豆を受け取った海雲とまき。そして配り終えたみきは後ろに下がって豆を構えた。

 

 目の前には──寺置《鬼》。

 

「おかしくありません?」

「「「全然っ」」」

 

 三人の声がハモり、寺置は溜め息をつく。

 周りから見れば一人省かれ、三人が苛めているように見えるが、寺置はすぐ笑みを向けた。

 

「私に当てられるのならどう」

「お~! お秘書さん余裕ですね!!」

「はっら立つ~~!」

「同感……だ」

 

 みきはともかく、残りニ人の背景は何やら黒い。

 だが、目の前の男の方が……そんな空気は読めず、元気なみきが言った。

 

 

「鬼は~「コミケ、仕事、浮気」

 

 

 が、遮った男の台詞に一同固まり、豆を落とす。

 その隙に笑顔の寺置が三人に豆を当てた。

 

「そと~福は~うち~。はい、終了」

 

 冷たい風が公園を包む。

 覗き見していた方からすれば『何があった!!?』という惨事だ。一VS三だったのが形勢逆転。顔を青褪めた三人の脳内会話が聞こえる。

 

(かかか海雲さん、なんで止まったんですか!?)

(い、いや……ヤツに“仕事”と言われるとロクなもんがないせいか……)

(姉さんこそなんでコミケで止まるんだよ!?)

(いやああぁっ! まきたん言わないで!! まきたんこそ浮気って何!!?)

(はっ!? ボクが“仕事”で“浮気”は藤色のお兄さんのことじゃないの!!?)

(ちょっと待て妹。誤解を招くようなことは言わないでくれないか)

「御三方、楽しそうですね」

 

 寺置は笑顔のまま残った豆を食べ、節分が終わった。

 

 夜、恵方巻きを食べようとしたが、またしても寺置に乗せられ敗北。

 豆を落とした時から、今年も彼にからかわれるのかと三人は膝を折った────。

​                          番外編 /

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