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​モん!

32話*「エンドレスリターン」

 リビングに行くと、みなさんお揃いで海雲さんの隣に座る。

 目の前にはビーフシチューにバケットにチキンサラダにアジのカルパッチョ。食事も荒木さんのお手製らしいですが、この人数を一人でとは!

 

「荒木さんすごいです! 美味しそうです!! お母さんです!!!」

「こら、ちんちくりん。お母さんはあ・た・し」

「かな様は料理は得意ではないとお聞きしましたけど」

「海雲~席を代わりなさ~~い」

 

 かな様の黒いオーラに海雲さんが冷や汗をかいている。

 以前も思いましたが海雲さんのキラキラ笑顔ってかな様に似ていると思います。そんな事を考えつつ全員で『いただきます』をし、私は笑顔で食べる……が。

 

「あのー……海雲さん?」

「……なんだ」

「会話がないんですけど……」

「……いつものことだ」

 

 料理は美味しい。とっても美味しい。お高いお肉さんですね。

 しかし会話がない。これぽっちもない。するのは食器音だけ。さてさてみなさん、私の性格を思い出してみましょう。

 

「もうムリーーーーっ!!!」

 

 大声で泣き叫んだ私に全員が驚き、食事の音が止まる。

 両手で顔を覆うと慌てて海雲さんが『どうした!?』と言うが、勢いよく彼の肩を掴んだ私は上下に揺さぶった。

 

「私の沈黙忍耐は十分って言いましたよね!? なんですか、さっきの睨み合いと何も変わりませんよ!! エンドレスリターンですか!!? どんだけ無駄な文章を打たせる気ですか!!!!」

「…………最後のは関係ないと思うんだが」

 

 そういうことではありません。普通ご飯というのは笑顔で楽しく食べる物! こんなに静かでは美味しい料理も美味しくない!! 荒木さんに失礼すぎます!!!

 そんな発狂中の私を妙な目でかな様と淑女さんが見る。

 

「ちんちくりんとこはそんなに騒いで食べるの?」

「騒ぐほどはありませんが、それでも今日のこととか会話するでしょう!?」

「食事は静かに、話は終わってからするものです」

「御通夜な食事は御免です! どうせ終わってもみなさん解散して話しなんてしないんでしょ!!」

 

 そう泣き叫ぶと、海雲さん、かえでん、仁くんが頷いた。

 どうやら沈黙の問題はご両親にありそうです。なんとかしないと私が三箇日まで生きていけない。本当にマズいです。

 

 案の定、食事での会話は私だけで解散してしまいました……泣きたい。

 

 

* * *

 

 

 食事後はお父さん方は応接間で話し合い、淑女さんはお風呂、かな様は自室で仕事らしく、子供メンバー(海雲さんはイヤそうな表情してましたが)と私の四人はソファで一息。私は海雲さんの膝に倒れ込むと顔を上げる。

 

「海雲さんは明日どうするんですか?」

「……特に考えてはないが、車庫にある車やバイクの整備をしようかと思っている」

 

 へー……海雲さん、バイクも好きなんですね。

 すると仁くんがこっちを見ているのに気付き、視線を合わせようとするが、どうやら海雲さんの方を見ているようです。ふと訊ねた。

 

「仁くんもバイクに興味あるんですか?」

「え!?」

 

 急に話題を振られた仁くんは肩を揺らすと目を見開く。モロかえでんと同じ反応に笑ってしまうと、かえでんが割って入ってきた。

 

「……海兄さんと同じで好きですよ。免許も取りましたし、今バイトしてお金貯めているんです」

「……そうなのか、楓仁?」

「あ~……楓、なんで言うんだよ~」

「私が言わずとも……みきさんにバレてるので意味ないかと」

 

 何やら兄妹で言い合っていますが、かえでん、私にっていうのは褒め言葉でいいんですかね。

 どうやら海雲さんがニ人に会うのは三年振りぐらいのようで、同じ話題が出来て嬉しいのか、楽しそうに仁くんとお喋りをはじめた。なんだか少年っぽくて可愛いです。

 

 すると、微笑ましく見ていることに気付かれたのか、海雲さんの頬が少しだけ赤くなった。と、思ったら突然私の上着に手を入れ、無意識に身体が丸くなる。

 

「ちょちょちょちょ海雲さん!」

「安心しろ。ハタから見れば一人ジタバタしているだけだ」

「明らかにニ人にバレてますって!」

 

 絶対かえでんと仁くん顔を横にしてますよ! 未成年の前でなんてことを!!

 そんなことを思っている間にブラのホックを外され、胸を弄られる。声を出さないよう彼の膝に顔を埋めるが、埋めた場所が悪かったのか、海雲さんのアソコに当たってしまった。

 

「っく!」

「「え!?」」

 

 私ではなく、まさかの海雲さんの声にニ人がビックリしている……と思う。危機感を感じ、私は声を振り絞った。

 

「お、お二人とも避難を!」

「そそそそうだな……じゃ、海兄ちゃん明日よろしく! 行くぞ楓!!」

「ははははい……ごゆっくり……おやすみなさい!」

 

 パタパタとニ人の足音が遠退いていく。

 去り方まで一緒とは兄妹ですねと思っている暇もなく、口付けが落ちた。その目は野獣のようで、今日何度も我慢させていたのを思い出す。震える手でズボンのチャックを開いた私は膨張したモノを取り出した。

 

「ソファで……するんですか……?」

「……そこまで出しておきながら……俺にまだ我慢させるのか?」

 

 頭を撫でられるが、いつもより荒い。

 それもそうだ……と言うか、こんなに大きくなっているのを見ると早く気持ち良くしたくなり、肉棒を握った私は先端をパクリと口に含んだ。同時に『っ!』と、海雲さんは声を漏らしながら私の頭を押さえる。水音を立てながら喉元まで肉棒が押し込まれた。

 

「ふぁあん、んんっ……ふぉっきい……です」

「今日……気持ち良く出せてないからな……ちゃんとしろ」

「ふぁあい……んっ!」

 

 口内には我慢出来ない海雲さんの白液が溢れ、必死に飲み干す。

 苦いけど我慢させた分はしっかり出さないとと必死に咥え込むが、途中で苦しくなり、離してしまった。

 

「けほっ、けほっ……」

「バカ……」

「ふぁ……!?」

 

 飲み込んだ事が『バカ』かと思ったら、勢いよく顔に射精されてしまった。海雲さん、顔面はキツイです。

 

 掛かったモノは綺麗に海雲さんが拭き取ってくれました。ちゃんとタオルで。しかも、そのままお風呂に連行というフラグ付きで、抱えられたまま向かっております。まさかと私は訊ねる。

 

「つ、次はお風呂でですか?」

「半分はスッキリしたがまだ堪ってる……それに今度はみきを気持ち良くさせないとな……」

 

 キラキラ笑顔のはずなのに、背筋に悪寒が走りましたよ。

 嬉し怖い彼にジタバタしていると後ろからかな様がやってくるのが見えた。立ち止まった私達に、かな様は腕を組む。

 

「風呂の前に仕事よ。海雲」

「……なんだ」

 

 ああ、さっきやっと普通に戻った海雲さんの表情が不機嫌に。

 悲しい目でかな様を見ていると指された。かな様、人様に向けてはいけませんよ。

 

 

「ちんちくりんとニ人、海人さんと峰鳶の旦那んとこ行って御酌してらっしゃい!」

「「……は?」」

 

 

 私と海雲さんの素っ頓狂な声が廊下に響き渡った────。

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