カモん!
25話*「タキシード少年」
晩御飯はイタリアンをご馳走になりました。
お店を出た時には夜九時を回り、お秘書さんの運転でお台場にある海雲さんのマンションに到着。首が痛くなる三十七階建てのタワーマンション! しかも最上階にお住まい!!
「海雲さん、高いところ好きですね」
福岡で泊まっていたホテルを思い出した私に海雲さんは沈黙。
うん、本人の意思ではなさそう。そして、こういう所には小心者になる私は中々エントランスに入れず、ニ人に引きずられながら入りました。すみません。
エレベーターを上がり、家にお邪魔する。
室内も大きなガラスが張られたリビングダイニングが二十畳だったり、ニ階もあったりとどんだけですか。窓の外には海や東京タワーも見えて、とても綺麗。体育座りで夜景を見る私の後ろで海雲さんとお秘書さんが笑う。
「それでは私も休ませていただきます」
「お秘書さんも同じマンションなんですか?」
「はい、ニ階に住んでますよ」
この違いは何か意味があるんだろうか。
謎だと思いながら、あることを思い出した私は慌てて振り向いた。
「お秘書さんお秘書さん!」
「はい?」
「まきたんから伝言で『くそったれ!』……だそうです」
その言葉に笑顔で無言になるお秘書さん。海雲さんも顔が引き攣っている。うん、私も恐ろしいこと言っている気がするけど、頼まれたものは仕方ないです。
すると、一息ついたお秘書さんはお辞儀する。
「ありがとうございます。では、おやすみなさい」
笑顔で顔を上げた彼は背を向け、リビングを後にした。
玄関が閉じる音を聞いた私と海雲さんは顔を見合わせる。お互い『あのニ人何かあったのだろうか』とか思っている気がしますが、触らぬ神に祟りなし、うん。
何事もなかったように回れ右をした私達はソファに座る。
そしてまた思い出した私はソファで正座すると頭を下げた。
「お泊りさせてもらえる他、ご飯もご馳走様でした」
「……何度も言うように『婚約者』なら当然だ。頼ったり甘えろ」
「あはは、あまり慣れてなくてですね」
高校までは根暗で誰とも喋れなかったし、両親の離婚後はバイトで精一杯。
りんちゃんや親戚、頼れる人も甘えられる人もいなかったわけじゃない。でも自分でなんとかしなきゃって思い込んでしまって、誰かにというのが今でも出来ないでいた。
すると身体を押され、ソファに沈む。
真上にはワイシャツのボタンを数個空け、優しい笑みを向ける海雲さんが覆い被さっていた。
「俺の前で遠慮はいらない……」
「最初から割り勘もホテル代も出させてくれなかったじゃないですか」
「当然だ……その頃には既に惚れてたからな」
「嬉しい告白ですね」
くすくす笑っていると優しい唇を何度も重ねられ、熱い舌が口内を支配する。
コートを脱いだ下のカットソーもブラごと捲し上げられると、先端が尖った胸が露になった。それに海雲さんは舌を這わせようとするが『トゥルントゥルントゥルル~ン♪』と、元気な私の携帯音に遮られる。
固まる彼に、私は言い難そうに口を開いた。
「……すみません、取ってくれませんか? 明日会う友達からの電話です」
申し訳なさそうに言う私に海雲さんはしばし沈黙するが、溜め息をつきながら起き上がると携帯を手に取る。また固まった。
「……これ、誰だ?」
問いに服を戻した私は『タキシード少年』と表示された携帯を受け取る。
「友達ですよ。あ、女の子なのでご心配なく。もしもし、しょうちん?」
『あー良かった良かった。無事着いてんだ。みききん元気ー?』
笑いながら電話を取った相手は『タキシード少年』の名でコスプレイヤーをしている、しょうちんこと赤石笙子ちゃん。某美少女戦士に出てくる彼を溺愛していてこの名です。
『明日なんだけどー、みききん何時頃くるー?』
「そうですねー、しょうちん達のコス見たいので九時前とかですかね」
『だったら集合場所は……って、ひななん』
『おーい、みきちゃーん! 明日はいっぱいハグハグぎゅっぎゅっしてあげるからな!!』
「あははは! 了解です、なっちゃん」
割って入ってきた元気な声は友達のなっちゃんこと、魚住 陽菜多さん。
明るくて頼りになる姉御肌。さらに巨乳の美人さん。明日、その胸に埋まらせてもらいます!
そんなことを思いつつお喋り三十分。
久々に話す友達に夢中になっていると、何やら海雲さんの機嫌が悪くなっている気がした。私はそろそろと切ろうとするが、しょうちん達は色々あるらしく、中々切ることが出来ない。携帯を宛てているのとは反対の耳には、指でトントンとソファを叩く音……なんかマズいですね。
冷や汗をかきはじめた頃、痺れを切らした海雲さんの手が、私の服を一気にブラごと捲し上げた。
「ひゃっふっ!?」
『あははは。相変わらずみききん変わった声だすの得意だねー』
『うむ、可愛いぞ』
「そうですきゃん!」
ソファに押し倒されると、乳房を下から掬い上げるようにして揉みしだかれ、尖った先端を吸われ咬まれる。ちゅっちゅっと小さく響く音はワザとだろうか……けれど、電話中の今、声をあげることは出来ない。
「ごめん……ね……変な声……んっ……出て」
『いや、いつもんことだけどさー』
『うむうむ』
しょうちん、なっちゃん、それ酷いと思いながらも海雲さんの愛撫は止まらない。舌で円を描くように乳房を舐め、お臍へと下りていく。
「だめぇ……」
『ごめんごめん。みききん面白いから、ついからかっちゃうんだよねー』
『うむ、私も早く抱きしめたい!』
今まさに抱きしめられてます!!!
そんな声は届かず、海雲さんは実に楽しそうにスカートも下ろし、タイツは……ビリリッと卑猥な音に目を疑う。黒のタイツは破られ、ショーツも丸見え。急いで脚を閉じたが敵わず徐々に開かれるとポツリと呟かれた。
「M字開脚もエロイな……」
『M? まあ、みききんどっちかっていうとMだよね』
『そうだな。食べたくなる』
「そ……そんなことはあぁぁん……」
脚をM字のまま手で固定され、タイツをまた破られ舐められ全身が熱く疼く。ショーツからはみ出た蜜を舐められた時は、声を我慢するのが辛いほど快感に溺れはじめていた。
「ふん……んん……ん」
『みききん大丈夫? もしかして限界?』
「ふぁ……い……もう限界……です……」
『む、それはいかんな』
私の声に海雲さんはニヤリと意地悪い笑みを見せ、ショーツを外すと指を一本挿入した。緩やかに混ぜたりと焦らされていて、とてももどかしい。
『眠いなら仕方ないよね。そんじゃまた明日ね』
『うむ、おやすみ』
「ひゃ……い……また……」
プツと電源を切った瞬間、ニ本になった指に激しく責められ、限界を超えた。
「あああああぁぁあぁん!」
解放された声は高く響くのと同時に秘部から勢いよく蜜が溢れ出し、海雲さんの顔を濡らした。けれど彼は嬉しそう。
「っく……たくさん潮噴いたな……」
「し……お……?」
「我慢しすぎたんだろ……気持ちよかったか、みき?」
顔に付いた蜜を手で拭いながら、海雲さんは肩に顔を埋めた。
頬に首にキスを落とされるだけでも嬉しく、彼に付いた蜜を私も舌で舐め取ると口付けた。
「はい……気持ち……良かっ……たです」
「それじゃ……今度は俺を気持ち良くさせろよ……」
そう言った海雲さんは服をすべて脱ぎ去り、硬く膨れ上がったモノを見せる。ああ、我慢は辛い……と身をもって体験した私は、海雲さんの欲望を何度も何度も受け入れては潮を噴き、果てた。
海雲さん、明日起こしてください────。