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​モん!

 23話*「お元気そう」

「の、六……六……六……あった、『Earth』!」

 

 寒い風が時折強く吹く十二月も残り僅かな二十八日。

 私は東京にきました! 大好きな海雲さんの会社前に無事着きました!! 教えてくれたお巡りさんありがとう!!!

 

 さてさて何故に東京へきているかと言うと、明日二十九日から三十一日まで冬の祭典コミケが開催されるからです!

 絵描き時代に出来たお友達がコスプレ参加するので夏と冬に毎年きているのですが、そのことを海雲さんに昨夜言うのをスッカリ忘れてました。十一月頭には飛行機の予約取ってたのに……ごめんなさい。

 でも海雲さんは三十日までお仕事だと言っていたので、この際ビックリさせようと内緒できたんです! 元気かな!? 怒られたら逃げよう!!!

 

 それにしても海雲さんの会社、予想以上に大きい。

 何階建てだろとつい案内板を見てると社員さん達に妙な目で見られる。まあ、明らかに一般人ですからね。

 気にしないようフロントに向かうと、美人なお姉さんが微笑んでくれた。

 

「いらっしゃいませ」

「すみません、こちらにお勤めの藤色海雲さんとお会いしたいんですが、いらっしゃいますか?」

「藤色……海雲様……ですか? 恐れ入りますがアポイントは取られておりますか?」

「アポイ……アポ……!?」

 

 しまった! 約束やっぱりいるんだ!! 連絡してないよ!!!

 まさかの事態に冷や汗をかいていると、お姉さんが不安そうな表情をしている。思い立ったように携帯を取り出そうとするが、いつの日かのようにエレベーターから見知っている人が出てきた。

 

「お秘書さーん!」

 

 嬉しさからか、つい大声で呼ぶと、周りの人もお秘書さんも立ち止まり、仰天の眼差しを向けられた。けれどお秘書さんはすぐニッコリ笑顔、スタスタ早歩きでやってくる。

 うわっ! あの顔は怒ってる!! しまった!!!

 

「これはこれはみっちゃん様。突然のことで白昼夢か幽霊かと」

 

 そこまで!? 病院行った方が『大丈夫です』って相変わらずの読心術!!?

 ワタワタしていると、お秘書さんの後ろから茶髪でふわふわカールの掛かった若い男性が駆け寄ってきた。

 

「寺置さんお知り合いスか? あ、まさか彼女っだ!!」

 

 お秘書さんの新聞紙アタックが炸裂。うん、お秘書さんだと和んでいたらニコニコ笑顔で先を促されている気持ちになった。すみません。

 

「さっき東京に着いたんです。でも海雲さんに言うのを忘れてしまって……会社に居ますか?」

「居ますよ。少々お待ちくださいね」

 

 そう言うとフロントのお姉さんに電話を借り、話しはじめた。

 

「こらこら、大事なお客様がお見えですよ」

 

 『こらこら』ってことは海雲さんかな?

 お秘書さんの隣に行くと受話器を渡され『おいっ、寺置!』と、昨夜聞いた大好きな人の声が電話越しに聞こえた。嬉しくなって受話器に口を近付ける。

 

「海雲さ~~~~ん!」

『…………………………は?』

 

 間が多い! これはどの間!?

 不安になりながら『お秘書さんとフロントに居るんですけど……』と言うと、勢いよく切られ……切られた!? 怒ってる!!?

 慌てて逃げようとするが、楽しそうな笑顔のお秘書さんに捕まってしまった。

 

「奥村くん、エレベーター二十階に停まってます?」

「え? いえ、五階っス」

「じゃあ階段で来るかもしれませんね」

 

 へ? 二十階? 階段?

 疑問を浮かべていると階段付近が騒がしくなり、誰かが走って……海雲さんだ!

 

 久し振りに見る海雲さんが嬉しくて、パタパタ手を振ると、海雲さんは目の前で急停止した。荒い息を吐いている様子に、リュックから取り出したミネラルウォーターを手渡す。

 すぐさま受け取った彼はゴクゴク飲むと、一息ついた。

 

「…………みきの味だ」

 

 ひえええええっ! 汗と混じっても爽やか海雲さんだ!! しかも間接キスだったっ!!!

 後ろで黄色い悲鳴を上げているお姉さん方に混じりたいですが、リュックをお秘書さんに奪われると、海雲さんに手首を引っ張られる。そのままズーリズーーリ……『小会議室』と書かれた真っ暗な部屋に入──

 

「んっ!」

 

 った瞬間、ドアに背を押付けられ唇が奪わられる。

 以前一週間振りに会った時よりも強く激しい口付けに、私も舌を絡ませ嬉しさを伝える。何度か口付けを交わし離れると、息を乱しながら海雲さんに抱きつく。

 

「海雲……さん」

「……みき……だな……ビックリしたぞ」

 

 パイプ椅子に腰を掛けた海雲さんの膝に後ろ向きで座らされる。

 さらに頭を撫でながら後ろから“ぎゅっ”と抱きしめられると嬉しさが込み上げてきた。やっぱり声だけと触れるでは全然違う……私も本当に海雲さんに溺れてる。

 

 頬を赤く染めていると、薬指に嵌めている指輪に小さなキスが落とされ、髪に頬に耳にも落とされる。さらに耳元で『みき』と何度も囁かれると身体中が疼き、大きな手はいつの間にかコートの中に入って肌へと着いていた。

 

「あん……」

「……もう感じてるのか?」

「海雲さん……こそ」

 

 膝の間には大きく膨れ上がったモノが当たっている。

 身じろいでいると小さな呻きが聞こえ、耳元で『悪魔め』と囁かれた。なぜ!?

 そのまま片手は感触を確かめるように肌を撫で、ツンと尖った乳首を捏ね回しては擦り、刺激を与えられる。

 

「ふゃん……あん」

「みき……廊下歩いているヤツがいるから声落とせよ」

 

 その指摘に急ぎ口を手で押さえようとしたが、海雲さんの口で塞がれた。

 塞がれても乳首への刺激は止まらないばかりか、もう一方の手はスカートの中へ潜る。ショーツの中に指を入れられると秘部はぐちゅりと濡れだしていた。

 

「んっ……んん……はぁん!」

 

 唇が離れると同時に甘い吐息を上げた。

 海雲さんは嬉しそうな表情をし、膣内に指を入れると激しく掻き混ぜる。その強い刺激に声は我慢できず、止めるように海雲さんに口付けた。飢えていた身体を満たすように、口からも秘部からも淫らな音が響く。

 荒い息を吐きながら胸板に背を預けると、ズボンのチャックが開く音で我に返った。

 

「か、海雲さん……ここでそれは……」

「ダメだ……これ以上は俺も……みきも我慢できない……だろ?」

 

 そうですけどと、羞恥に顔を朱に染める。

 するとショーツをずらされ、先端が秘部の入口に挿──

 

「海雲様~時間切れですよ~社長にバレましたので上に行きませんと~」

 

 ドアを景気よく叩くお秘書さんの声が響く。

 海雲さんと共に沈黙するが、ノック音は止まない。これ、地味にうるさいよね。そして海雲さんが苛立っているのがわかる。

 

 

「……みき」

「はい……」

「挿入(いれ)るぞ」

「へ……!?」

 

 

 衝撃発言と共に、大きく膨れ上がった肉棒に貫かれた。

 悲鳴にも近い声は海雲さんの唇に吸い込まれ────お元気そうでなによりです。

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