カモん!
番外編18*「キスシリーズ*瞼」
今日は土曜日! お休みです!! 海雲さんが!!!
そりゃあ私は専業主婦になりましたからね。でも家事だって仕事。洗濯物を回して干して、ご飯を作って、掃除をして……働いてる感ハンパない!
そんな私も一息つくように休憩。海雲さんもリビングソファに座っている。
休日でも支社長さんですから朝から電話が鳴りっぱなしで、やっと日課の新聞を読めているといった感じ。邪魔しちゃいけないと思いつつ、やっぱり真後ろから覗き込んでしまう。けど、経済新聞でよくわからない。
じっと視線を送っても海雲さんは無反応。
集中しているのか、気付かない振りをしているのか。不思議とどちらも当てはまらない気がするのは、前者まきたん、後者お秘書さんという式が成り立っているせいかもしれない。
それから十分以上。
ジックリゆっくり読むタイプの海雲さんは一向に読み終わる気配はなく、沈黙が苦手な私はとても辛い。今にも太鼓を叩きながら踊りだしたくなるほど……いえ、さすがに近所迷惑な上に、それでも気付いてもらえなかったら立ち直れませんが。
実際、熱心に読んでいるのを見ていると邪魔しちゃ悪い気持ちが勝ってしまう。
こういう時、自分も経済系の話が出来たら良いのにと思うが、興味がないジャンルは無理な気がして、意を決したように隣に座った。
「……どうした?」
新聞から顔を上げた海雲さんの目が私を映す。
それが嬉しい反面、気付いてなかったことに拗ねると、新聞を置いた彼は顔を近付けた。見計らったように抱きつく。
「っと……!」
突然のことに驚かれるも、倒れることなく素敵な厚々胸板様に収まった。顔を埋めた私の頭を優しい手が撫でる。
「どうした? 暇になったのか?」
「……知ってたんですか?」
頬を膨らませた顔を上げると苦笑される。
「いや……なんか見てる気はしたんだが……寺置みたいな殺意はなかったし、振り向いたら負けみたいな……遊びかと」
「遊びの顔に見えますか~?」
ジと目を向けると苦笑される。これはいつもの行い、すなわち自業自得というヤツでしょうか?
膨らんでいた頬が萎んでいるとまた頭を撫でられる。
「悪かった……機嫌直せ」
心地良い声と手。
すべてを許してしまいそうなほど幸せな気持ちになるのは大好きな人だからか。いつも気付いてくれて、望みを叶えてくれる。対して私はただ構ってもらいたいだけだと恥ずかしくなり、そっと両手を首に回すと腰を上げた。
「どうし……っ!?」
いつもより見開かれた目の少し上──瞼にキスを落とす。
唇にするのとは違う。でも、幸せは増す。
膝に腰を下ろした私はニコニコ笑顔。反対に海雲さんは瞬きしながら首を傾げた。
「なんだ……?」
「えへへ、憧憬です」
「???」
さらに首を傾げる彼にくすくす笑ってしまうが、気にしなくていいと言うようにまた腰を上げると今度は唇に口付けた。
最初は重ねるだけ。次第に深くし、舌先を出す。
「っ……!」
ピクリと海雲さんの身体が跳ねたのがわかると、片手を彼の股へ伸ばす。ズボンを押し上げているモノを撫でた。
「ちょ、待……っ!」
焦りは唇で塞ぐ。いつもシてくれるように。
徐々に熱くなる口内と手で擦るモノに息は乱れる。でも勢いは落ちない。口付けが荒くなってくると、スカートの中に潜り込んだ大きな手にお尻を撫で回される。
「ん……ふ」
吐息を漏らしながら視線を上げた先には、同じように火照った顔で見つめる海雲さん。目に映る自分の姿に動悸が激しさを増すが、何も言わずズボンチャックを下ろすと、屹立した肉棒からは先走りが滲んでいる。でも、ショーツを下ろした海雲さんの指先が擦る私の秘部からも水音がした。
「挿入る……ぞ」
「はぃ……んんっ!」
顔を寄せ合うと、息を乱しながら互いに短く囁く。
同時に両手で押し広げられた秘部に熱い肉塊が挿し込まれ、首に腕を回すと揺さぶられた。
「ふ、あ、ああぁ……おっきんんっ……」
「ああ……広いな……みきのはイジってないのに」
「あ、ああぁんっ!」
少しイジられただけで彼を受け入れられる羞恥から肉棒を締め付けると、いっそう気持ち良くなる。ダメだと反省したばかりなのに求めてしまう。耳元で『もっと』と我侭を言ってしまう。私がシてあげたいのに、彼が叶えてしまう。
気持ち良さと悔しさから涙を零していると、舌先で拭い取られた。
「もっと言え……その方が俺も気持ち良くなる」
艶やかな声に目を瞠る。
そこには柔らかい笑みがあり、ぎゅっと抱きしめると堪え切れない我侭を言った。それからどれだけの嬌声を上げても、愛液を零しても受け止められ、甘い快楽と共に絶頂を迎える。
憧れても手に入らない、彼だけが持つ技巧──。
「というわけで、キスする場所によって意味が違うんですよ!」
「そうか……じゃあ、教えてくれ。全部にキスするから」
「え?」
構ってもらえるのは嬉しいですが、ちょっと違ああぁー……────。