幕間4*「デカイかき氷」
*寺置視点です
荒い息を吐きながらベッドに沈むと、意識を飛ばした彼女を抱きしめる。
白い身体には赤の花弁。シーツには純潔を散らした赤。所有の証がハッキリと残っていた。
そう──“俺のモノ”だ。
顔を寄せ口付けると、下腹部に手を伸ばす。
抜いた秘部から溢れる愛液を指に絡めながら思い返した。
まきが自分から抱きしめ口付け舌を入れたりと、今までなかった行動に驚きと嬉しさと怖さがあった。素直すぎて罠にでも嵌ったのかと思ったが、そんな器用な事は出来ないと考えを捨てた。が、無意識無自覚な性格を忘れていた。
素直すぎる行為と台詞に、愛撫中でも肉棒が膨張し“早く”と言っているのが聞こえ、特急列車のごとく突っ込んだ。が、終点間際で急停止が掛かった。理由は最後のまきの言葉。
『誕生……日……おめ……でと』
なぜそこで言った。膣内を俺ので満たし、一緒に落ちるハズだったのに。
その言葉に『まだヤりたい』と朦朧としていた意識を戻され……満足できなかった。せっかくナマで出したのに、これでは生殺しだ。
上体を起こすと、まきの耳朶を甘噛みしながら囁く。
「まき、起きろ……まだ俺はイってないぞ」
「…………………………ゃだ……一人で行って……きて」
捨てやがった。と言うか恐らく誤変換……いや、それでも俺に自慰趣味はないんだが。
目を覚ましたら存分にイジメてやろうと、溜め息をつきながら起き上がる。サイドテーブルに置かれたまきの携帯を取った。
時刻は深夜ニ時前。
まきの携帯は案の定というかロックも掛かっておらず、待ち受けには──羊のピラミッド。
俺がゲーセンで取ったヤツのシリーズなのか、前取ったのも含め大小様々な羊が積み重なった写メに爆笑した。写メって事は家にあるのかと笑いながら“ある人”にメールを送る。
時間を考えたが、すぐ俺の携帯に登録していない番号が掛かってくると構わず取った。
『あけましておめでとう、寺置君』
「おめでとうございます、瑞希様」
相手はまきの母親──瑞希様。
年越し蕎麦を御馳走になり、デートも許してもらったが、さすがに泊まる事を言ってなかったため連絡したが笑われた。
『そんなわかりきってたんだから律儀に連絡入れなくても良かったのに』
「はあ……でもマナー的にどうかと思いまして」
『勝手にまきの携帯からアドレス送ってきた人が言う台詞じゃないわね』
「ふふふ、内緒にして下さいね」
『はいはい』と言う彼女は姉のみき様に似た性格だが、あしらい方はまきに似ている。ひとまず両想いになった報告と、避妊しなかった事を謝ると、また笑われた。
『あたしは別にまきが良いって言ったなら何も言わないわよ』
「そう……なんですか」
思い切りが良いと言うか拍子抜けと言うか。
呆気にとられながらまきの髪を撫でていると、瑞希様は楽しそうに話す。
『みきは藤色君で、まきは寺置君ね。うんうん、可愛い息子がニ人も出来るなんて嬉しいわ』
「か、可愛い……ですか」
『そうそ。あたし、男の子が欲しかったのよね』
一瞬まきの『男の子になりたかった』発言を思い出したが消去。
ちゃんと肌は白いし胸も柔らかく、尖った先端と愛液が溢れる秘部。淫らな声と動きで俺を誘惑するのは“女”だ。顎を撫でていると、身体を反転させたまきは俺の脚を抱き枕かのように両手両足で挟む。
『素直じゃない子ではあるけど、出来れば永く可愛がってあげてね』
「もちろんです。私はまき以外は愛せない男ですので」
『あはは、OKOK! あ、まき今日は仕事休みだけど、明日は夜勤だからね』
「承知しました。では、また改めて家にお伺いします」
『はいはいよろしく。何かあればいつでも掛けてきて。寺置君ももうあたしの息子なんだからさ』
その言葉に大きく心臓が跳ね、まきを撫でる手が止まる。
自分の親には決してなかった“親の愛情”に動悸は激しくなるが、頬が緩むと静かに口を開いた。
「ありがとうございます……“お義母さん”」
ひとつの出会いが俺にすべてをくれた──。
電話を切ると、まきの携帯から送信したメールを消す。
すると別のボタンを押してしまい電話帳が開かれた。登録数は二十もなく、フルネームで登録しているのか“辻森みき”“辻森瑞希”の後には──“寺置守”。
笑みを浮かべたまま携帯をテーブルに置くとホテルを出る時間を考える。そこで放置していたコートとオレンジのマフラーに目が止まった。同時に何かが引っかかる。
電話……夜……マフラー……クリスマス……脚に絡まっているまきを突いた。
「ちょっとまき、起きろ」
「…………ふぎゅぅ?」
まだ寝惚けているのか、眠い目を開き、俺の脚に頬擦りする姿は可愛い。だが我慢して耳元に口を寄せた。
「お前、クリスマスの時なんで俺に電話を掛けてきた?」
「くり……しゅま……す……かけて……にゃ「掛けた」
掛かってきたと思ったら一瞬で切れた不可解な出来事。
『間違えただけだよ!』とメールにはあったが、何かが引っ掛かっていたのを思い出した。伸ばした手を背中に這わせると、秘部に指を一本入れる。
「ふゃぁ……あぁ」
「クリスマスの日、仕事だったのか?」
「ふゅん……ゃ……きん」
「仕事で何かあったか?」
人差し指、中指、薬指、小指の順で入れながら尋問する。
まだ頭が覚めていないのか、小さな声を上げるまき。けれど考え込んでいるようにも見え、待つこと数分。
「……重原……きゅん?」
「重原?」
「ひゃああぁあっ!」
嫌な名前に背景が雪山となり、指をニ本奥に差し込む。
溢れた愛液が俺の脚を濡らすが、構わず笑みを浮かべたまま続きを促した。返ってきたのは──。
「重原……きゅんに……キス……され……さみゅいぃぃ~~~~っ」
震えながら身体を離したまきは布団に包まった。
氷点下に下がったのがわかるとはさすが“俺のまき”。雪崩で出来た雪山にシロップでも掛けたらデカイかき氷が出来るなと可笑しなことを考えた俺は起き上がる。
部屋を出ると冷蔵庫から酒を一本取り、マフラーを拾うと布団を剥がす。裸体に愛液を溢したまま身体を綺麗に丸めたまき。苦笑しながら酒を開けると口に数口含み、まきに流し込むように口付けた。
「ふゃ、冷っ……甘いぃ」
「お前が、ん……好きな“イチゴ”だからな」
「いち……ご……もっと」
寒さに震えていたまきだったが、イチゴだとわかると俺の首に腕を回し、口付けを何度もしてくる。積極的なまきに煽られはじめるが、これではダメだと唇を離した。シーツに沈ませると酒を手に笑みを向ける。
「もっと欲しい人~」
「ふゃ~~~~い……きゅっ?」
素直に『ばんざーい』した可愛いまきの両手をマフラーで縛る。
片手で押さえると、また酒を含んだ口で口付けた。まきの唇から垂れた赤い液を舐めると甘いイチゴが俺の口内を満たすがまだだ。
するとやっと目覚めたのか、まきは慌てて身動ぐが、跨っている俺には敵わない。
「きゅ、急に何……」
「何って“お仕置き”ですよ。どっかの男に唇を奪われた子に」
「な……なんでそれ……!」
おい、自分で言ったのも忘れたのか。
まあ良いかと思いながら“イチゴ”を白く薄ピンクが付いた乳房にかける。
「ひゃっ! 冷た……」
「ああ、良いところに山ニつ、シロップがかかりましたね」
「し、シロップって……」
「では……いただきます」
「ひゃああん!」
酒を床に置くと片手は両手を押さえ、片手は腰を支え、谷間へと落ちる“イチゴシロップ”を舐める。下から上へと舌を這わせ、頂上の先端を甘噛みしてを何度も繰り返す。もちろん“シロップ”がなくなったら足して。
冷たさと舌の熱さとアルコールに酔ったのか、まきは徐々に動きを縮めるが、下腹部からは愛液が溢れ出していた。
「ん……まきは美味い」
「はああぁぁん」
「はいはい、下も欲しいんだな」
「ちが、ぁああっ!」
愛液が溢れる秘部にも“シロップ”をかけると、白濁の愛液と赤の“シロップ”が混じった蜜を舐める。官能的な声を響かせるまきに俺も酔ったのか、良い具合に身体が火照りはじめ、まきの身体を反転させた。その背中から下腹部まで“シロップ”をかけ、舐める。
「あぁあ……あっあ……んっ!」
「ん、お前はもう俺のモノ……他のヤツとなんて……二度とするなよ……返事は?」
「は……ん……はぃぃ……」
「良い子……じゃ、ニ人でイこうか」
背を向けているまきの胸に枕を挟ませると両膝を付かせ、赤と白の蜜で溢れたお尻を突き出させる。愛液を一度舐めると大きく身体が動くが、両腰を支えると勃起した肉棒を挿し込んだ。
「ひゃあああっ!」
「っく……バックはやっぱ……深く入れるな……あぁっ!」
全身に快感と快楽が上ってくる。
真下には喘ぎながら涙を浮かべ、両頬を朱に染め、赤い“シロップ”に包まれ、ただ一人俺の欲望を突き動かす女だけ。考えるだけでも膣内に入った肉棒が膨れ上がり限界を告げる。
笑みを浮かべると、まきの肩に顔を埋め、囁いた。
「まき──愛してる」
官能的な声を二人で上げながらイった────。