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​22話*「特急列車」

 ずっとわからなかった想いに答えを見つけた。

 その想い=“好き”を伝えると、大きくて温かい手が頬が唇がボクを包む──が。

 

「ちょおーーっと待てーーーーっ!!!」

「はい? ああ、あけましておめでとうございます」

「あ、そうだね。おめでと……じゃなーーーーいっ!!!」

 

 互いに正座をして礼をするが、我に返って叩く。

 が、肩を押され、柔らかいシーツに転がった。そう、シーツ。年が明けるまでラウンジ&バーの個室に居たボクらだが、口付けを何度かすると、彼が泊まる部屋へと連れ込まれたのだ。

 

 その部屋がまたエグゼクなんとかスイートとかいう、リビングにソファやミニバーにキッチンと『いつでも住めます!』の家のよう。そんな部屋の奥にあるサイドテーブルの小さな灯りを点け、キングサイズのベッドに居るボクら。ムードなどブチ壊して叫ぶ。

 

「なんだってこんな豪華部屋なんだよ!」

「そう言われましても、海雲が誕生日プレゼントにと予約した部屋ですので」

「はあっ!?」

 

 ニッコリ笑顔で上着を脱ぎながら『なので料金は気にせずに』と補足される。

 いや、急に一人増えたらマズいだろと思う半面、藤色のお兄さんがボクと寺置さんの関係について知っているのを考えると急に恥ずかしくなった。慌ててサイドテーブルに置いていた携帯を取る。

 

「何してるんですか?」

「いや、藤色のお兄さんにちょっと文句……うわっ!」

 

 携帯を取り上げられると大きな身体が覆い被さった。

 いつの間にか均等に筋肉の付いた上半身を露にした男がボクを見下ろす。見た事はあっても“好き”と自覚した前と後では心臓の音が全然違う。

 外した眼鏡と携帯をテーブルに置いた彼に口付けられた。

 

「んっ、ふゃん……ん」

「ん……今、別の男の名前を呼ぶのは……ダメだろ」

「ご……めんんっ!」

 

 口内に挿し込んだ舌を激しく回す寺置さんの目は細く、少し怒っているように見える。

 謝罪しながら彼の首に腕を回したボクも舌と舌を絡ませると、一瞬彼の身体が跳ねた気がした。目を少し開けると、同じく開いていた目と合い、一気に全身が熱くなる。

 

 唇が離れると同時に大きな手が上着を捲くし上げ『はい、ばんざーい』の掛け声で脱がされると、ブラとレギンスだけになった。しまった!

 急いで腕でブラを隠すが、服を置いた彼は笑顔でボクの頭を撫でる。

 

「はい、良い子良い子」

「くっそー! キス中に目を開くのなしだろ!!」

「それはまきも……ああ、懐かしいですね。丁度このホテルの前でまきと“成人最初キス”し「わわわわわわわっ!!!」

 

 羞恥の過去を堀上げられ、慌てて彼の口を両手で塞ぐ。

 けれど、昨日のように思い出す日に顔は真っ赤になり、その隙にブラを上げられた。胸が露になる。

 

「ふゃあっ!?」

「ふふふ、あの時は我慢しましたけど今日は……“啼かせる”ぞ?」

 

 バラバラな口調と細い目。

 片手で胸を弄られるのに翻弄され、息が上がる。それは考え事をしているせいもある。本当にあの時からボクを……と。

 

「嘘じゃない。最初から俺は……まきしか見てない」

「っ!?」

「だから柄にもなく嬉しいんだ」

 

 その表情は“普通”で、動悸が激しくなる。

 そんな最初からボクを想っていたなんて本当はわからない。でも、ボクの心臓は確かに高鳴り、彼が──愛おしい。

 

 気付けば上体を起こし、レギンスと靴下を脱がす彼に手を伸ばすと、自分から口付けていた。目を瞑っているから彼の表情はわからないが、舌を入れると返される。そのまま頭と腰を固定されると、唾液が下唇から垂れ出すほど口付けを交わした。

 

「ふ、んっ……あぁん」

「お前……んっ……煽りの天才か……んっ」

「知らにゃ……あぁっ!」

 

 ベッドに沈むと肩に顔を埋められ、首元に舌が這い、強く吸われた。

 赤い痣が付くのが嬉しいのか、片手で胸の先端を捻りながらいくつも証を付けては乳首も甘噛みされる。その刺激が強くて気持ち良くて、小刻みに跳ねながらショーツだけとなった下半身がゾクゾク疼きはじめた。

 

 胸元に顔を埋めた彼の唇に乳首も強く吸われては舌で転がされ、片手がショーツの中へと入る。秘部を擦られると“ぐちゅっ”と音が聞こえた。

 

「ひゃぁんっ!」

「こんなに濡れて……どこで感じてる? キス? 首? 乳首? お臍? それとも……」

「はあぁああんっ!」

 

 耳元で優しく淫らな声を聞いている内にショーツを脱がされ、一本ニ本と指を交互に入れる音が響く。彼は嬉しそうに指を動かしながら首元を舐めた。

 

「観覧車の時は一本でもキツかったのに……奥まで招き入れて……また可愛くなったな」

「バカ……あぁぁっ!」

「ふふふ、まき……イくのは良いですけど軽くでお願いしますね。じゃないと今度は寝てても挿入するぞ」

「今度って……ああああぁぁぁーーーーんっ!」

 

 指の動きが速くなり、一気に何かが噴出すと、経験した事のある真っ白な世界が広がった。

 息を荒げ、小さな涙と汗が流れ出るのを感じる。いまさらながら風呂に入ってなかったことを思い出すが、頭がボヤけていて考えられない。だが、左足を持ち上げられる感覚で我に返る。

 

「ちょっ……何やってんの?」

「何って、隅々まで見てるだけですけど?」

「うおおおぉぉーーいっ!」

「おっと!」

 

 勢いよく右足で蹴ろうとするが、受け止められた上に足裏を舐められた。大きく身体が跳ねる。

 

「ふぎゃっ!?」

「ふふふ、この状態で足が出るとは、さすがまき。まだまだ元気そうで良かった」

「何い……あぁっ」

 

 舌が足を、膝を、太腿を舐め、秘部へと近付く。

 見下ろすと、屈曲したまま広げられた股の間に彼の黒髪と顔がある。それだけでも恥ずかしいのに、さっきのでシーツが濡れているのを考えると無意識に蜜が零れた。それは彼の口へと吸い取られていく。

 

「ひゃああああっ!」

「んっ、ん……舐め取っても溢れて……ん……まき……何エロイこと考えてるんだ?」

「それはそっちだ……あぁあん」

 

 蜜も秘芽も舐められ、身体がビクビク動く。

 さらに両手を伸ばした彼の手が両胸の先端を摘むと、激しい快感が襲う。また白の世界へと招かれる。

 

「あああぁあ……っ……もうっ……あぁ」

「ん、そろそろ俺も無理だ……残念だけどイくのは少し待て」

 

 その声と同時に先端の摘みも舌のザラ付きも消えてしまい、白の世界の門前で止められた。それが嫌で足をバタつかせる。

 

「また変なところで止めやがって!」

「止めてない止めてない。むしろ特急列車が突っ込むんですから受け止める準備しろ」

「何……言ってんの?」

 

 たまにこの人の言ってる意味がわからない。さっきも“泣け”だの“行け”だの噛み合ってない気がする。しかもなぜに受け止めねばならんのか。むしろ避けるよ。

 

 疑問符を浮かべながら彼を見ると、ズボンも下着も脱ぎ、全裸となっていた。その姿に慌てて視線を落とす。けど、太く雄雄しいモノが見……!!?

 

「全力回避っ「許可できません」

 

 殆ど知識のないボクでも理解し、身体を反転させる。が、両腕を固定され、端正な顔と身体が覆い被さった。ボクはビクビク、彼はニコニコ。

 

「それでは繋ぎます」

「いや……少し休憩してから」

「ダメだ。悪いがもう止まらない……それに中途半端のままでお前は気持ち悪くないのか?」

「うぐっ……」

 

 図星を付かれ、彼の胸板と自分の乳首が当たるだけで身体が熱くなり、秘部から蜜が出はじめる。何度か口付けた彼はボクの目を見た。

 

「言っとくけど避妊はしないぞ」

「ふぇ!?」

「せっかく手に入ったのにナマでイけないとか、これ以上俺に我慢させるな……それに言っただろ」

 

 まさかに戸惑うが、真っ直ぐ見つめる視線だけで犯されている気分になる。高揚感が増していると、額と額がくっつき、官能的な声が落ちてきた。

 

 

「俺はまきしか愛せない──愛も全部くれって」

 

 

 その言葉と笑みに全身が嬉しさに包まれる。

 同時にもう逃げられないと悟り、小さく口付けたボクは意地の悪い笑みを向けた。

 

 

「愛が多すぎると殴ります、ご注意ください」

「……さすが“俺のまき”」

 

 

 こんな悪魔を好きになって捕まったボクが悪いが、負ける気は全然ない。

 目を見開いていた彼は同じような笑みを浮かべると、ボクの両脚を掴み、秘部に大きなモノを宛がった。それはホテルの時とさっきの小さな灯りの中でも見えたモノ。それが徐々にボクの中に……膣内に。

 

「ひゃああぁぁああーーーーっ!!!」

「くっ……!」

「やっぱりム……あああぁぁーーーー!!!」

 

 早くも音を上げたくなるほどの痛みに身体と脳が拒否しそうになる。

 けれど膣内に招いたモノはぐんぐん駆け上り、彼の腰の進みは止まる気もない……否、止まれないのがわかり、必死に首にしがみ付いた。荒い息に涙が出はじめるが、彼の息も上がっている。しかも嬉しそうに笑っていることに不思議と安堵した。すると、膣内のモノがいっそう奥へと進む。

 

「んああああっっ!」

「はあ……まき……緩ませた方が……進みは良いが……絶頂が近く……なるっ……!」

 

 掠れ掠れの声に、痛さと同時に湧き上がってくる何かがある。舌でも指でもない大きなモノ。貫かれ突かれる度に快感が……ああ……すごく……。

 

「きも……ち……いぃ……」

「煽りの……天才め……くっ……そ……イく……っ!」

「ひゃあああぁぁーーーーっ!!!」

 

 膣内で大きな何かが破裂した。

 それは今までと比べ物にはならないほど刺激的で気持ち良くて、真っ白な世界の扉が大きく開く。その中に入る間際、思い出したように呟いた。

 

 

「誕生……日……おめ……でと」

 

 

 届いたかはわからないが、白い世界に飛び込んだ────。

いちご
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