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​番外編8*拍手小話2

いちご

*過去拍手のお礼にて載せていたSS集です**

*「カモん!」の、みきと海雲もいます

*姉の恋人秘書とボク~最終話記念~*

 

みき*拍手ありがとうございます!

寺置*おかげ様で『姉の恋人秘書とボク』も最終話を迎える事が出来ました

海雲*お付き合いありがとう……またしばらく頼む

まき*……あれ? これで終わりじゃないの?

3人*「ううん」「いいえ」「いいや」

まき*じゃあ、間際らしいこと言うなよ!!!

寺置*ふふふ、何事も終わった後の挨拶は大事ですよ。そしてまだ番外編があるんですから

まき*“最終話”ってタイトル付けておきながら“番外編”なんて付けたら最終話の意味ないじゃんか!

海雲*まあ……おまけエピソードみたいなものじゃないか?

みき*番外編って聞くとお得な福袋みたいだよね~

まき*なんだろ、姉さんが言うとセールス品のように聞こえる

寺置*たとえセールス品でもまきは既に売約済なので売れませんよ

まき*そ、そういう話はしてないでしょ!

みき*あうう~どうしよう……福袋なら絶対私まきたんに勝てない

海雲*そこ、張り合うところか? と言うか、みきも売約済だから無理だぞ

みき*海雲さん……!

まき*何さ、ボクらと違ってこの甘さ……

寺置*おやおや、何を言います。 “甘い声”と“甘い啼き声”なら得意じゃないですか

まき*うおおおぉぉーーいっ!!!

みき*まきたん今日も元気だね!

海雲*……あとでケーキ奢ってやろう……

みき*そんな感じで、もう少し続きますので良ければお付き合いお願いしますね!

まき*ボク……何されるんだろ……

 

 

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*~今後の予定~*

 

みき*拍手ありがとうございます!

寺置*地味に番外編を更新していますが、お楽しみいただけているでしょうか

海雲&まき*………………………

寺置*おや、何やら暗い方々がいますね

みき*どうしたんですか、海雲さん。まきたんも

まき*いや……ボクらロクな目に遭ってないなって

海雲*嬉しいんだが……何かが違う……

寺置*すべてにおいて気持ち良ければ良いと思いますよ

みき*楽しければOKですよね!

まき*微妙に姉さんと寺置さんの話が噛み合ってないと思うんだ

海雲*まあ……あれがあの二人だ……

 

寺置*それでは今後のお話でもしましょうかね

みき*番外編は両作共、残り三作を予定しています

海雲*ひとつは俺と妹……みきと寺置の組み合わせで座談会のようなもの

寺置*なんだか私の悪口で終わりそうな気がするのは未来予知でしょうか

みき*お、お秘書さんと会話……あるのかな

まき*そして来てほしくない気がするボクと姉さんの誕生日。でもコレは申し訳ないけど八月まで待ってもらうことになります

海雲*誕生日……どうするか

寺置*と言うより、その時点で同居と言うか“夫婦”になっていると思いますよ

まき*うおおおぉぉーーいっ!!!

みき*それが嘘でもないんだよね

海雲*ああ……今までの番外編が全部最終話前だったのは絶対後にしたら寺置が籍をな……

寺置*そんなわけで、もうひとつはラブラブな新婚生活をお送りしますね

まき*し、新婚……!?

みき*あぁ、まきたんの顔が真っ赤だ。よしよし、お幸せさんだね!

海雲*噛み合ってない……とまあ、現時点での予定だが作者的には当然書きたいし増えるかもしれない

寺置*また気長にお待ちいただけると嬉しいです

みき*よろしくお願いしま~す!

まき*よ、よろしく……

 

 

~~~~*~~~~*~~~~*~~~~

 

 

 

*~春一番~*

 

 福岡は、ぽかぽか陽気。

 桜はまだだけど、良い日光浴日和だ。

 

 だが、しかし。そんな陽気な日に寺置さんに『デートしましょ』なんて言われ、ボクは公園のベンチで待ち惚け中。行く気はなかったのに、相変わらずの口八丁に負けて……来るまでに何か“ぎゃふん”と言わせる案を考えよう!

 

 けど、ぽかぽかすぎてウトウト、コクンコクン。

 睡魔に襲われ、小さな寝息を出しはじめていると耳を舐められた。

 

「ふぎゅっ!」

「ふふふ、爆睡ではないようで良かったです」

「何すんだよ~」

 

 目の前には変わらず笑みを浮かべるスーツ姿の寺置さん。

 せっかく気持ち良かったのにと睨むと口付けられる。

 

「ちょっ、ん……こんなとこ……で、んんっ!」

「んっ……私は場所気にしませんよ」

 

 アンタはそうだろうけどね! ボクは違うよ!!

 幸いにも人はいなかったが、逆に彼には好都合なのだろう。口付けを止めないどころかボクのコートの隙間に手を入れ、服越しに胸を揉みだした。が、眉を落とされる。

 

「まき様……着すぎですよ。これでは柔らかいの堪能出来ないじゃないですか」

「変なこと言うのやめ……んん」

 

 日光浴日和とは言え、寒がりのボクは四枚着ていた。

 それのおかげかせいか唇を離した彼は溜め息をついたが、すぐボクのコートのボタンを外す。慌てて身体を丸め、彼の膝に顔を埋めると膝枕状態になる。が、上から上着の中に差し込まれた手が肌を這う。

 

「やぁっ……やめ」

「ふふふ、素直にならないからですよ。それと声を落さないと子供達が入ってきましたよ」

「っ!?」

 

 息を呑むと、騒ぐ子供達の声に口を押さえるが、彼の手は止まらない。肌を這っていた手が片方の胸に届くと、中指と薬指で乳首の先端を挟み引っ張られる。

 

「あっ……あぁん」

「ツンツンに尖っているという事は感じてます? もしかしてこちらも……」

「あぁダメ……んっ!」

 

 長いコートで隠れた手がお尻を撫で、レギンス越しに下腹部を擦られると身体がビクビク動きだす。直に触られているわけじゃないのに……。

 

「まき……レギンスも濡れている気がするぞ」

「そ、そんな事な……いんっ!」

 

 乳首を弄り揉みながら下腹部を荒く擦る手に、愛液が零れているのがわかる。喘ぎを漏らし、顔を上げるとヤツは楽しそうな表情。ムッとしたボクはズボン越しに彼の“アレ”を触った。

 

「っ!」

「大きく……なってますけど……?」

 

 眉を上げたまま口元に弧を描くと、ズボン越しにアレに喰い付く。その刺激が伝わったのか珍しく寺置さんの身体が跳ね、入れていた両手を抜いた。

 勝った! 観念したか!!、と顔を上げたが──そこには魔王…………降臨!!?

 

 一瞬で顔を青褪め、起き上がろうとしたが時既に遅く、横抱きされると笑顔のまま公衆トイレに入……挿入った。外で元気に遊ぶ子供達に交じった喘ぎと、春一番の風がボクの意識を持って行きました────くっそ!!!

 

 

~~~~*~~~~*~~~~*~~~~

 

 

*~お花見~*第三者視点

 

 

 四月中旬の福岡。

 公園で花見をしようと辻森姉妹と海雲と寺置の四人が集まっていた。が。

 

「桜さんがないよ~!」

「見事に……散ってるな……」

「ピンクと緑の混ぜ合わせが一番微妙だよね」

「日頃の行いが悪い人でもいるんですかね」

 

 一斉に寺置を見る三人だったが、笑みを向けられたため視線を戻す。

 週末雨ばかりで、延期に延期を重ねてやっと叶った花見。しかし肝心の桜が雨で散り、その後の太陽の力で葉桜になってしまった。ひらりとみきの頭に乗った花弁を取った海雲は、彼女の頬に花弁をそえる。

 

「まだ桜もあるし……花見は出来るだろ」

「海雲さん!」

「そうですね。散る桜を見るのもまた一興。せっかくお弁当も持ってきましたし、しましょうか」

「いだいいだいっ!」

 

 微笑む寺置はまきの頭に乗る花弁を追い払うかのように落としていく。そんな二人を他所にバックからシートを取り出したみきは海雲と一緒に敷き、お弁当を出す。

 

「あ、お酒さん持ってきてないんですけど要りますよね?」

「まあ……花見だしな……」

「まき様、お仕事は?」

「ん? 今日と明日は休……!?」

 

 言った瞬間、寺置が満面の笑みを浮かべた。

 とことん飲まして遊ぶ気だと悟ったまきは姉にしがみ付くが、みきは財布を持って立ち上がる。

 

「じゃあ、ビールと酎ハイ買ってくるね!」

「こういう時は以心伝心できないよね!!!」

「みっちゃん様が行くと二十歳未満に見られそうなので私が行きますよ」

 

 海雲とまきは顔を青褪めたが、気にする風もなく財布からある物を取り出したみきは笑顔で見せた。

 

「大丈夫です! その時のための免許証ですから!!」

「「!!?」」

 

 ぺカペカーと光る金色免許に大きくビビッたのは海雲と寺置だったが、みきは気付かず去ってしまった。口を挟んだのは、もちろんまき。

 

「もしかして知らなかった? ボクは二十一の時に取ったけど、姉さんは十八の頃から持ってるよ」

「は、はじめて見たんだが……」

「運転……されるんですか?」

「いや、殆どボクが仕事で使ってるからペーパー。本人も言ったように、ほぼ身分証明書」

 

 冷や汗をかく二人に構わず弁当箱を開けるまきは『五回ぐらいフェンスにぶつけた事あるけどね』と笑う。あまり笑えないと二人が硬直していると、お酒を買って来たみきが首を傾げた。同時に二人が知らなかった事に慌てて頭を下げる。

 

「す、すみません! 言ってませんでしたっけ!? あっ、じゃあ今度デートの時は私が運「いや、いい……」

 

 『ぶつけた』と聞いた上に、ボケボケ彼女に運転させたら……と、海雲は顔を青褪める。寺置も一息つくと、みきから貰ったお酒をコップに注いだ。

 

「まあ……ひとまずそれは置いといて乾杯しましょうか。はい、今日こそまき様も飲んでくださいね」

「はいはい」

「だな……ほら、みきも座れ」

「はーい! それじゃ、かんぱーい!!」

 

 元気な声が響くと同時に葉桜の中、お花見が開催された。

 

* * *

 

 夕刻になり、陽が沈みだすと街灯が灯る。

 風で葉桜が散る木の下で賑やかな花見が行われている──が。

 

「ヤダヤダヤダ! もっとかまってくれなきゃヤだ!!」

「かまってると思うんでっだだ!!!」

「海雲さんも~飲んでくださいね~」

「ああ……それより妹をなんとかしてやれ」

「ふぇ?」

 

 みきが振り向くと、片手にお酒を持ったまきが寺置の背中を力いっぱい叩いていた。さすがの寺置も冷や汗をかいており、海雲は同情する。駆け寄ったみきは妹の頭を撫でた。

 

「まきた~ん、こっちおいで~」

「みーき! 守がかまってくれなーい!!」

「「!!?」」

 

 滅多にない寺置の名前呼びに男達は仰天する。抱きついた妹を撫でるみきは笑顔を向けた。

 

「もしかして知りません? まきたん、お酒を飲みすぎると甘えっ子になるんですよ」

「そ、それは甘え……なのか?」

「ん~、いつもツンツンしているのが素直になっちゃうだけなんですけどね」

「甘えっ子……素直」

「おい、寺置……?」

 

 ブツブツ何かを呟く寺置に海雲は後退りしながらみきに近付くが、まきに腕を掴まれた。

 

「海雲さーん! 守の変わりにかまってー!!」

「ちょっ、待て、妹!」

 

 恋人と同じ顔と声と呼び方に動悸が激しくなる。

 恋人は変わらずニコニコ笑顔だが、背後からは冷たい笑顔。ピンクと緑の葉の微妙な葉桜のような気持ちになった海雲であった。

 

 翌日まきは酷い二日酔いになったが、そんなの気にしない寺置に啼かされる。そして海雲は腹痛諸々で寝込み、みきは看病に専念した────。

 

 

~~~~*~~~~*~~~~*~~~~

 

 

*~こどもの日~*第三者視点

 

 今日は五月五日。

 辻森家の居間には、みきと海雲、向かいにはまきと寺置の四人が座っていた。みきは笑顔で皿を出す。

 

「はーい!ちまきさんでーす!」

「ちまき……」

「懐かしい、給食で出てたよね」

「私と海雲様は給食自体がなかったんですけどね」

「柏餅さんもありますよー!」

 

 構うことなく柏餅も出したみきは三人の前に置く。

 三人は笹にくるまったイグサを解くと、もち米で作られたちまきをパクリ。独特な味を口に含みながらも順に口を開いた。

 

「しかし……もぐ……なぜちまき」

「それは……もぐ……こどもの日……もぐもぐ……だからではないですか?」

「ここの作者……もぐ……マイナーな……もぐ……行事するよね」

「ウチは残念ながら女家庭なので五月人形さんはなくて……すみません」

 

 しゅんとするみきに『なぜそこまで必死にこどもの日を祝う』と、三人疑問に思いながら柏餅を食べる。だがすぐ笑みを浮かべたみきは“ある物”を取り出した。

 

「変わりに兜さんはありますよ!」

「「「え……げほっげほっげほっっ!!!」」」

 

 その“ある物”に一斉に咳き込み御茶を飲む。

 みきが取り出したのは兜──の、折り紙バージョン。青と黒で出来た、ちび折り紙兜が海雲と寺置の頭にチョンと乗った。

 

「あっはははははは!!!」

 

 その姿(主に寺置)に大爆笑のまき。

 海雲と寺置は互いを見合うが、その表情は無。すると、みきはまきの頭の上にもチョンと赤兜を乗せた。

 

「うおっい! なんでさ!?」

「え? “ボクっ子”まきたんだからいるかな~って」

「みっちゃん様、まき様は女の子です。ここはぜひ、過ぎ去ったひな祭りから十二単を着せて私の隣に置いてください」

「お前も行事に乗っかりすぎだろ……」

「まったくだ!!!」

 

 勢いよく姉と寺置の頭を叩いたまきの頭から赤兜が取れ、海雲が机の上に置く。なぜか寺置の黒兜は取れず、まきは顔を青褪めるとみきに向かって叫んだ。

 

「なんてアイテム渡してんだよ! 魔王に王冠が付いちゃったじゃんか!!」

「ふへ? まきたんは女王様に変身し「ないよっっ!!!」

「やはり女の子ですから兜ではなくティアラだとな「るかっっ!!!」

 

 妹のツッコミが激しいなと思いながら、海雲も器用に兜を乗せたまま茶を飲む。みきも見習ってまきの赤兜を頭に乗せるが、コロリと転げ落ちた。それの繰り返し。

 沈黙する三人が見守る中みきは何度も挑戦するが、両手と膝を折り『ずず~ん』と音が鳴るほど沈んだ。

 

 バランス感覚がないのかなんなのか。

 そんなことを三人が思っていると突然みきが起き上がり、三人はビビる。振り向いた彼女は笑顔で言った。

 

「御飯にしましょう!」

「姉さん……」

「諦めたな……」

「無駄にポジティブですよね……」

 

 バタバタとキッチンに向かうみきに、三人は溜め息を吐く。しかしすぐ眉を上げたまきに、海雲は首を傾げた。

 

「……どうした?」

「いえ……なんか嫌な予感が……」

「襲ってもいいなら襲ってあげますよ」

「いや、それも嫌なんだけど……ちまきと兜が出て……他こどもの日って……」

 

 ブツブツと言うまきに顔を見合わせた海雲と寺置も口を挟む。

 

「……鯉のぼりか?」

「さすがのみっちゃん様も鯉料理なんて出さないでしょ」

「ホラー言わないでよ……いや、鯉のぼりって言うか、こどもの日「はーい、お待たせー!!!」

 

 悩む三人など気にせず、みきは笑顔で御飯を運んで来た。

 それをチラリと見た三人は目を見開く。目前に並んだプレートには赤と青の鯉のぼりの旗がチキンライスの上でパタパタと泳ぎ、唐揚げ、エビフライ、ハンバーグ、スパゲッティ、サラダ、イチゴが乗っていた。

 

 

(((まさかの『お子様ランチ』!!?)))

 

 

 三人の頭に稲妻が走ると同時に息を呑む。もう三十路も近い男二人に、二十代中盤の我々が……と、思っていたら飲み物はお酒。

 妙な組み合わせにツッコミを入れるか迷うが、持ってきたみきは満面笑顔。三人は顔を見合わせると一斉に手帳を開いた。

 

 理由はこれ以降、彼女がなんの行事で動くかという確認。

 そんな三人と一人は懐かしいこどもの頃を思い出しながら今日を過ごした────。

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