14話*「学んだな」
*寺置視点からはじまり「***」で、まきになります
シャワーを止める。
本当は腕の中で気持ち良く意識を飛ばした彼女の愛液。いや、その愛液が自分に掛かっているのを流したくない。
ヤバかった。絶対に前を向いていたら挿入した。
それを考えると流した方がいいと、脱衣所に敷いたバスタオルの上にまきを寝かせると、浴槽に溜めていた湯で流す。ここまで余裕がない自分に苦笑しながらタオルを巻くと、まきの隣に座り、髪を撫でた。
シャツはびしょ濡れで、ブラをズラしたせいか乳首が尖っているのが見えると考え込む。
「……身体を拭くって事と、意識飛ばした方が悪いという事で」
“いつもの”笑顔で誰に言っているのかもわからない呟き。まだまだ余裕かもしれない。
シャツのボタンを外すと捲くし上げる。白い肌に臍、薄いピンクをした乳首が露になった。風呂場のせいか、明るい場所で見るのがはじめてなせいか妙に喉が渇く。
水分を含んでいるせいで脱がすのに苦労するが、相変わらず寝ているまきは起きない。良いのか悪いのか苦笑すると、水滴が流れる肌に、乳房の谷間に“拭く”と言う名の“舐め”で舌を這わせた。
水音を立てながら柔らかい乳房と乳首を片方舐めながら片方を揉む。
口の中に先端を含み、舌で転がすと、まきの口から小さな声が漏れた。
「んっ……あぅ、あ」
「まき……気持ち良いか?」
腕を伸ばし、まきの口に指を入れる。『ふぎっ』と変な声が漏れながらも、モキュモキュ食べている様子は可愛い。
乳房の後は臍を“拭き”、両膝を折り曲げ、膝を足を太腿を順に"拭く”。まきは起きないが、口から漏れる声だけでも充分俺を刺激している。“拭き”終えるとまきの顔を覗き、口付けた。
「ふゅんん……」
「んっ、もうちょっとな……」
口付けを何度かすると股の間に右手を通し、ザラリとした秘芽を人差し指と中指で摘む。一瞬まきが大きく跳ねたが起きない。もうどこまでしたら起きるのか試したくなるが今は止めておこう。
中指で秘芽のザラリ感を楽しみながら人差し指と薬指で膣内を進む。
「あぁん……んあ」
まきの声が徐々に大きくなると、秘部から蜜が零れ、指を濡らす。
その指を抜いて蜜を舐めると、脚を開かせ、秘部に顔を近付けた。何も拭き取っていない秘部は先ほどイった際に出た愛液で溢れ、舌でゆっくりと舐め取る。まきの身体がビクビクと反応した。
「ふあん……あぁ」
「感じてるな……また蜜が溢れてるぞ……」
舐め取っても次から次へと溢れる愛液に舌を素早く動かす。
それが激しすぎるのか、まきは俺の頭を挟み込むように脚を閉じた。まき……これはヤバいから止めてくださいと、勢いよく秘部の奥に舌と指を入れた。
「あああぁあぁぁっ!」
大きな声と共に潮が吹かれる。寝た状態でイったらしい。
そんな俺も顔面愛液でびしょ濡れ。いやー、どれも危ない行為ですね。主に私の理性が……学んだな。
名残惜しく愛液を流すと、タオルでまきも拭き直し、ベッドに寝かせる。
下着類は乾かすか、明日の朝コンビニかどこかで買おう。全裸で寝かせていた方が朝は楽しそうだと、くすくす笑いながら布団を掛けると風呂を浴び直した。
上がると、まきは寒いのか、布団を頭まで被り丸くなっていた。面白い。
ひっぺ返してもやりたいが、その楽しみは今度にしておこうと考えていると、携帯にメールがきているのに気付く。
相手は海雲。あいつも今夜は一週間振りに会うみっちゃん様とホテルでお楽しみ中じゃないのか?
鉢合わせはマズそうだからホテルには行かなかったのにと、苦笑しながらメールを開くと一行だけ。
『みきと婚約した』
おやおや、ついに婚約まで来ましたか。
『結婚』じゃないところが真面目と言いますかなんと言いますか。出逢って一ヶ月も経っていないのに……まあ、私も手を出しましたが。
布団を引っ張ると、横向きで寝ているまきの顔を覗く。人差し指で頬をふにふに突きながら耳元に口を近付けた。
「まき様~お姉様が婚約されたそうですよ~~」
「ふゅ~ん……」
寝てるのか起きてるのかわからない返答にくすくす笑う。頬にキスを落とすとまた耳元で囁いた。
「まき~俺のこと好きか~?」
「…………ふゅんっ」
『うんっ』なのか『フンッ』なのかわからない返答に腹が痛いほど笑う。
本当に“素”でこんなに笑うとは、“仮面”の剥がれも酷いし口調もバラバラだし狂わせすぎだろ。でも、少しずつ俺を好きになってくれていることに驚きながらも嬉しかった。そしてそれ以上に自分が彼女を愛していることに……まだ“ちょっとだけ”でも良い。
電気を消した部屋には水音と喘ぎだけが響く。
そんな声に構わず何度も口付け、首に胸に腹部に内股に赤い花弁を、所有の証を付けては抱きしめ囁いた。
「俺はお前が好きで、お前だけを──愛すよ」
そう、ただ一人お前だけを──。
* * *
それは板だった。あったかい板だった。頬ですりすりすると割れ目にあたった……割れ目?
まだ眠い頭と虚ろな目で板を見る。顔を上げた。
「ぴぃっ!!?」
本当に変な声が出るなボク! じゃなくて!! うおおおぉぉーーいっ!!!
刺激的な朝にすぐ頭が覚めた。そりゃそうだ。目の前の板=胸板は寺置さんだからだ。しかし彼はすーすー寝息を立てている。
なんかレアかも……じゃなくて! ボク全裸だよ!? なんでツインなのにボクのベッド入ってんの!!?
そこで昨夜のことを思い出し、恐る恐る彼の下腹部に手を近付ける……良かった、ズボン穿いてる。安堵するが、すぐ顔は真っ赤になり、ソロリと起き上がった。
「ぴぎぃっ!!?」
起き上がった瞬間、身体中の赤い痣=キスマークの多さに羞恥で逝きそうになる。
両手で顔を覆っていると目の端に映った携帯にメールが入っているのに気付いた。開くと、姉さんから一行だけ。
『海雲さんと婚約したよ! 指輪も貰っちゃった~(⊃///⊂)』
元気だなこの人……じゃなくて! 婚約!? うええっ!!?
激しく動揺するが、今は姉より自分だ。ゆっくり携帯を閉じて深呼吸すると、無数のキスマークを確認する。まさか内股にまであるとは、なぜ起きなかったボク。
顔を赤めながら横で眠る人を見下ろす。
いつもなら怒り狂って叩くはずなのに、今日のボクには嬉しい気持ちがあった。『姉さんの婚約』になのか『寺置さんにされて』かはわからないが、確かなのは最初よりも数倍この人が──好きだ。
その“好き”がどれなのかハッキリしないが、ゆっくりと彼の顔に顔を近付ける。
間近で見る寝顔にドキドキしながら唇へと────口付けた。