top of page
いちご

​番外編11*彼の誕生日

 年が明ける十分前。

 りまはもう寝ているが、紫苑はテレビで年越しの第九を聞いている。そんな音楽と灯りが漏れるリビングとは反対に薄暗い玄関。オレンジのマフラーを巻いたボクはソロリと靴を履き、ソロリとドアノブを握──

 

「こんな夜更(よふ)けにどちらへ?」

「ぴぃっ!?」

 

 ──った手は後ろから大きな手に捕まれた。

 なんの気配もなかった手と声に合わせ、廊下の電気が点くと背中に胸板が当たる。ここで振り向いてはいけない。どうせ振り向かされる。ならば抵抗してやろう。

 そんなことを決めていると、ドアノブを握る手とは反対の手がお腹に回り、頬には冷たい眼鏡が当たる。そして耳朶に唇がつくと囁く声。

 

「まき?」

「ふぎゅっ!」

 

 たった二文字のなんの変哲もない自分の名前が、こいつに呼ばれると甘さとエロチックに聞こえるのはなぜだろう。何かのスキル? 生まれ持った魔王専用術? 守マジック?

 いまさらかと視線だけ動かすが、バッチリと目が合った。眉を顰めるボクに守は喉を鳴らす。

 

「ふふふ、逃げ出すならもう少し上手くやってくださいね。キョロキョロしすぎて吹き出しそうになりましたよ」

「何バカ言ってんの。姉さんに渡す物を思い出しただけ」

「ネズミ国で年越しパレード見てると写メが来ましたよ」

「ゴミ捨てに……」

「福岡は夜に出すとは驚きましたね。一昨日で年内は終わりましたが」

「隕石落としの阻止を……」

「それはア●ロと赤い彗星に任せておきなさい」

 

 軽~く、かわしていく旦那に次の策を練るが、そんな時間はもうないというように紫苑の棒読みカウントダウンが聞こえてきた。第九でカウントダウンするわけないからグルなのはわかるが、もう少し元気に言えよ。

 

 呆れていると身体を反転にされ、玄関ドアに背が当たる。目先には右手をドアに当て、眼鏡の奥で楽しそうな笑みを浮かべる男。ボクは口を尖らせる。

 

「くっそ……やっぱ実家に帰れば良かった」

「事前にお義母様には断ってくださいとお願いしてますから無理ですよ。内宮様にも連絡してますし」

「……相変わらず用意周到なヤツ」

「当然です。明日は……いえ、もう今日ですね。さ、まき。言うことは?」

 

 話の途中で年が明ける音が聞こえた。

 同時に含みのある笑みに変わった男に『あけましておめでとー』と、無心の棒読みで言ったが返答なく顎を持ち上げられる。それが最終警告。目を反らすと小さく口を開いた。

 

「お誕生日……おめでとう………守」

「はい、ありがとうございます」

 

 屈託のない笑みと一緒に近付く唇は目前で止まり『キスは?』の声。

 頬を熱くさせたまま観念するかのように彼の首に両手を回すと口付ける。小さく触れるだけで重ねては離し、彼の唇を舌先で舐めるが笑われた。

 

「まき……煽げまでは言ってないぞ」

「し、してない……」

「はいはい、無意識な奥様……舌を入れて」

 

 苦笑しながら舌先を出す男に頬が膨らむが“命令(プレゼント)”には逆らえない。

 伸ばした舌を彼の舌に絡ませると後ろ頭を押さえられ、押し込むような口付けになる。口内を行き来する舌の荒さに唇を離そうとするが許してくれない。否定も許されない。

 

「許すわけ……ないだろ」

 

 下唇から唾液が垂れるほどの息切れでやっと離れると、唾液を舐め取りながらマフラーを解かれる。その笑みは既に降臨し、ボクはまな板の上の鯉気分。間違ってはいない。

 年が明けた今日。一月一日は守の誕生日であり、はじめて繋がった日。そして誕生日プレゼントは例年通り──今日一日、魔王(守)の命令は絶対。NOは許さない。

 

 マフラーが解かれたことで露になる首筋に証がひとつふたつと付く。

 許されないといっても変わらず叩く手や否定の言葉が出るが、構わず『上着上げて』の命令。真っ赤になるボクに魔王は笑みを浮かべる。

 

 そう、こいつにとってボクが否定し百面相するのを楽しむのが目的。

 それを知っていても反応は変えられないし、命令に背くことは出来ない。震える両手で時間を掛けてコートの前を開くと、インナーごと捲る。露になった肌と白の下着を見つめられると、寒い廊下のはずなのに身体が熱くなった。

 両手で腹部と乳房を触りながら首筋、頬、耳朶に口付け、ボクの甘い息を漏らさせる。

 

「ん……はあ……ぁん」

「良い子……その声を……いっぱい出していいからな」

 

 くすりと笑いながら口付けられると手が下腹部に落ちる。

 まだ年明けて十数分。しかも玄関。まだ息子にあけおめすら言ってない。だが、それが毎年のことだと理解してるせいか、紫苑とりまはリビングの隣にある和室で寝ることになっている。

 

 そしてボクは寝室に拉致られ、長い長い一日をはじめるのだ──。

 

 

* * *

 

 

「さ、着きましたよー」

「やっぱり多いですね……」

「ぱんぱ、だっこー!」

「……お前……好きだよな」

 

 旦那に元旦から連れてこられた場所は最早定番。

 元旦早々雪も降り、ちらちらと散る雪と海が幻想的に見えなくもないがむっちゃ寒い。そんな海を背景にした観覧車がトレードマークのアウトレッドモール。初デートの場所、ぐちょぐちょにされた場所、プロポーズされた場所。ホント好きだな。

 

 しかし、元旦から来る場所ではない。

 人多い多い多い。寒い寒い寒い。ああ、家に引き篭もって痛い腰を癒したいよ。当然、そんなことは聞いてもらえない。

 

 げんなりなボクの手を楽しそうに繋ぐ守はりまを抱え、溜め息をつくボクは紫苑の手を握る。旦那が望む場所へと人混みを掻い潜り足を進めるが、着いた場所は洋服屋。てっきりゲーセンかと思ったからビックリだ。しかし明確な探し物があるのか、一軒二軒と梯子する。その度に人混み。

 

「ちょっと……何探してんのさ」

「ぜひ着てもらいたいのがあるんですが……中々ないですねー」

「メイド服ですか?」

「いえ、それは二人っきりの時に着てもらいます。ミニで」

「なんつった?」

 

 紫苑にまで不吉なことを言われるってなんだ。マジで似てきたな。つーか、着ないぞ。

 旦那の足を横から蹴りながら五軒目に入ると、お目当ての物を発見したらしい守は楽しそうに向かう。そしてサイズを合わせるかのようにボク、紫苑、りまに着させた。それは白のもこもこウール素材で出来たファーコート。これだけならば普通のコートだろ。

 

 しかしフードを被ると――羊の顔。

 ちなみに目の前に立つ男も同じ物を着ている。周りが驚きながら見ているが、イケメンは何を着ても許されるのか、女性方が黄色い悲鳴を上げていた。ボクからすれば羊の皮を被ったなんとやら。うさんくせぇな。

 そんな男とりまはニコニコ。ボクと紫苑は冷たい眼差しを向ける。

 

「父さん……」

「はい、今年はまき年ですからね」

「未年じゃボケぇーーーーっっ!!!!」

 

 フードを被ったまま頭突き! まき羊は肉食だ!! 場所なんか関係ねーぞ!!!

 そんな一悶着も関係なくお会計され、早速三人被る。さすがに旦那には被ってもらいたくなくてやめてもらった。隣歩きたくないもん。

 

「はいはい、羊飼いとして先導しましょうかね」

「こんちくしょーめ~」

「め~め~!」

「ノリノリですめ~……」

 

 なんだかんだでノリの良いボクらに羊飼い守は笑いながら足を進める。

 元旦のせいか変わらず観覧車乗り場は家族連れからカップルまで、大勢の人が列をなしていた。一時間待ちだというのによく並べるもんだと感心していると、守がその列に並ぶ。

 

「ちょっ、ホント好きだな! つーかヤダよ!! 寒いめぇ~~!!!」

 

 雪がちらつく外で待つ列。

 当然寒がりのボクにとっては地獄だ。買ってもらったコートが暖かいといっても寒いのは寒い。恥を忍んで『めぇ~めぇ~』文句を言うが、守は笑みを向け一言。

 

「俺の命令は?」

「…………………………絶対」

「はい、並びましょうね」

 

 キラキラ笑顔にガックシと肩を落とす。外で待つぐらいなら家でずっと喘いでいた方がマシだと思うボクは異常だろうか。

 そんな寒い中でしかしない守に両手両足を付け、抱きつくポーズ。大きく優しい手が羊フードを被った頭を撫でてくれる。気持ち良くて暖かい手にボクの顔も緩んでいると、途中で抜けていた紫苑とりまがココアを買って来てくれた。が、今度は守が離れていった。湯たんぽ~~!!

 

「母さん……そばにいてもらいたいなら、そう言えばいいじゃないですか」

「トイレかもしれないだろ……いいんだよ……紫苑とりまがいるから」

「ぽかぽかめ~」

 

 不満を持ちながらもココアのように暖かい子供達を抱きしめるが、旦那が帰ってきたのは残り数組で順番だという時。

 三十分以上も帰って来なかった男は変わらない笑みで何か大きな袋を持っているが、ボクは違う。緩んでいた頬はふっくらと不満の膨らみに変わり、雪のように冷たい目を向けていた。そんなボクらに他の客が冷や汗を流すが、守はいつもの声。

 

「お待たせしました。お土産持って来ましたよ」

「めぇ~、妻と子を置いて土産とは自由ですめぇ~」

「はい、プレゼント」

「お前……ボクが怒ってるってわか……っ!?」

 

 動じない男にムッとするが、袋から取り出した物がボクの両手に乗る。それはコートのように白のふわふわ素材に身を包み、くるんとした角にウルルンなお目めを持つ――

 

「ウリィィーーーーっっ!!!!」

 

 ボクの大好き羊シリーズ、ウリィの登場に怒りも忘れ抱きしめる。

 しかも袋の中には他のウリィも入っていて、大、中、小と数十匹もいる。目を輝かせるボクに守は笑う。

 

「主役年のせいか、いっぱいゲーセンにあったと紫苑達に聞きまして取ってきました。まきも一緒に連れて行きたかったのですが、紫苑とりま二人に順番待ちさせるのはさすがにマズイですからね」

「それなら観覧車乗った後に一緒行けばいいじゃんか」

 

 ブーブー文句を言いながら笑みを向けるボクに守も笑みを向けると紫苑にウリィ袋とココアを渡す。ついでに自分の携帯と財布も。ん?

 

「では、紫苑。あまり動かないように」

「はい、終わったら連絡ください」

「ちゃーい」

「え? え? 二人どこ行くの? 観覧車は?」

 

 ウリィを抱くボクの手を握った守はスタスタと順番の来たゴンドラへと乗る。悠長に紫苑とりまと三人、手を振ってバイバーイ。ちょおおーーーーっっ!!?

 

「ボクらだけかよ!?」

「はい、グルです」

「子供になんつーことんっ!」

 

 親として酷いだろ!、と言う前に唇を塞がれた。まだ乗って一分も経ってないのに。

 口内に侵入する舌は熱く、椅子に座った男に寄りかかるように口付けを続ける。

 

「んっ、はあ……んっ、まも……」

「ずっと……ん、待たせていましたからね……こんなに冷えて」

 

 懐から引っこ抜いたウリィを反対の席に置くと、抱き上げたボクを膝に乗せた。抱きしめられ、口付けもされるといっそう暖かい。それでも否定はする。

 

「ちょ……また……ここでする気……あん」

「思い出の観覧車……ですからね。早速ですが、まき……膝立ちしてください」

 

 せっかく暖かくなっていたというのになんてヤツだ。いや、一応ゴンドラ内も暖房入ってるけど違うだろ。またムッとするボクに守はくすくす笑うと指をさした。それは自身の股。

 

「“ここ”を咥えて挿れた方が暖かいですよ」

「っ!?」

 

 まさかの提案に目を丸くすると、守はジーンズのファスナーを下ろす。

 ゴンドラ内で今までキスや秘部を弄られるぐらいはあった。けど、直接挿入されたことはない。それは今まで紫苑達がいたからだ。でも今日はいない。二人っきり。

 場所を考えず肉棒を取り出した男に顔を真っ赤にさせ両手と首を横に振る。

 

「ヤダヤダヤダ! ムリムリムリ!!」

「俺の命令は?」

「無茶ぶりさせんなよ! ひゃうっ!!」

 

 いくらなんでも酷いと抗議するが、守の手がボクの手を取ると肉棒を握らせる。

 掴んだモノは大きく、熱く、ビクビクと脈を鳴らす。ボクの動悸も激しく鳴っていると、守は楽しそうに、ゆっくりと口を動かした。

 

「ま・き・く・ち」

「うううぅぅ~~っっ!!!」

 

 絶対命令に拒否権はない。そう心で何度も言い聞かせると、両膝を折り、羊フードを被る。真上から見られる可能性を考えてだが、一番は他に彼のモノを見せたくないから。

 そんなボクの頭を撫でる手に頬を熱くすると両手で肉棒を持ち、大きく開いた口で咥えた。

 

「んっ……んっ、ん」

「ああ…まき……いいぞ……」

 

 口付けよりも舌よりも熱いモノが口内を満たす。

 その熱さがもっと欲しくて、喉奥まで咥え込むと上下に口を動かした。いつもより激しいのは今朝方までヤらされていたせいだろうか、守の声もよく響く。

 

「あ、ああっ……まき……先端」

「んっん……ん」

「くっ!」

 

 命令通りに咥え込んでいた先端を今度は舌先で舐め、手で肉棒を擦る。先端から白液がトロリと出てくると、守はボクのコートの前を外し、上着やインナーを捲く。

 

「んっ……胸も……?」

「さすがまき、わかってるな……しろ」

「……ふぁーい」

 

 0時を過ぎた時から命令される声に身体も思考も簡単に了承し、咥えたまま下着のホックを外すと肉棒を胸で挟む。そのまま口と一緒に上下に揺する。

 

「あ、ああぁぁ……まき……イい」

「んっ、はんっ……んんっ」

「口からっ……離せ」

「ん……あんっ!」

 

 口から出すと同時に射精され、白液が顔と胸にかかった。

 守はくすくす笑いながら顔についた白液を舐め取ると入れ替わるように床に座り、抱きしめたボクの胸元から白液を舐め取る。

 

「あんっ、はあんっ……あん」

 

 ペロペロと舌が胸元を綺麗にしていくが、かかっていない乳首も舐められ、ビクリと身体が揺れる。でも抱きしめられた身体は動かないし動いちゃダメだと彼の目が語っていた。

 

「素直なまきは……ん、大好きだ」

「うるさ……あんっ、あ」

「両手は……肩」

 

 乳房を揉みながら先端を吸っては舌で転がされる中での命令はキツイ。けど、やらなきゃ。

 刺激に耐えながら両手を彼の肩に乗せると、片方の手でレギンスとショーツを下ろされる。コートのおかげで外からは見えないだろうが、股の間はすーすしていて寒い。そんな震える股に手を入れた守は濡れる秘部に指を入れ、グチュグチュと音を鳴らす。

 

「ああんっ……」

「ふふふ、声は我慢しなくていいそ……ほら」

「ひゃあっ!」

 

 勢いよく指が膣内に挿し込まれ、乳首も噛まれる。

 声を出して言いと許可は下りても、上と下にはゴンドラ。当然客は乗っている。そんな人達の顔がこちらに一瞬移るだけでも身体はピクリと跳ね、愛液が零れた。

 

「トロトロ流して……恥ずかしいのか?」

「当たり前……だろ……あっ、あん」

「そんな恥ずかしさなんて飛ばすほどの刺激を今やるからな」

「あ……待って……キス……いい?」

「声を止める作戦か?」

 

 図星に顔を真っ赤にさせるボクを守は笑う。

 だって膝立ちするボクの秘部の下には肉棒があるんだ。白液を垂らし、大きく太ったモノが。それが入ったら本当に声を上げてしまう。さすがにそれは羞恥すぎる。

 頬を膨らませていると小さな溜め息をつかれた。

 

「まあ、時間もありませんし一回だけですよ」

「一回って……あとどこでするんだよ」

「どこででも、です。あ、自分で腰は下ろしてくださいね」

 

 爽やか笑顔に苛立つが、それ以上言ったらなかったことにされる。それは嫌だと素早く彼の首に両手を回すと口付けた。

 それを嬉しがるように羊のフードを外した守の手が頭を撫で、ボクはゆっくりと腰を下ろす。秘部に先端が入り込むと息を漏らすが、守の手が後ろ頭を押さえ、声を塞いだ。その勢いのままボクは腰を一気に下ろす。

 

「んんんんっっ!!!」

「んっ……!」

 

 駆け上る快楽に声を漏らしたくなるが堪えるように口付ける。

 そんな声をやはり聞きたくなるのか、魔王はボクの腰を持つと上下に揺すりはじめた。

 

「んっあ……んんんっ……あああぁっ!」

「もうちょっとか……っ!」

 

 ぐちゅぐちゅ癒着を繰り返す音がスピードと激しさを増す。必死に口付けしようとしても、揺す振られていては思うように出来ず、声を発してしまう。

 

「はああ……んっあ……守……もうっ」

「はいはい……もっと熱いの……なっ!」

「あああ゛ああ゛ぁぁーーーーっ!!!」

 

 揺すぶる両手が止まると同時に押し込むように腰を下とした。

 大きな刺激に深く繋がると熱い白液がナカで噴出す。寒さなど一瞬で吹き飛ぶ熱い熱い飛沫だ。

 

「はあ……はあぁっん」

 

 守に抱きつくと荒い息を整える。

 達するまでなかったのは既にイきすぎていたせいか、足りないのかはわからない。でも、もうすぐ下に着くから拭き取らなきゃ。だが、守は肉棒を繋げたまま椅子に座るだけ。その衝撃も大きい。

 

「ちょっ……!」

「ああっ……今度は座ったままかバックでしますかね……」

「アホ言う前に抜いてよ……もう着くよ……ああ゛っ!!」

 

 やめるどころかさらに刺激を与えるように腰を動かす。

 いや、本気で着くから! マジでやめろ!! さすがに殴るぞ!!!

 そんな睨みを向けても微笑む男の余裕に意味がわからず、ついに下に着いてしまった。が、そのまま下ろされることなくまた上りだす。あれ……?

 

「特典を利用しただけですよ」

「特典?」

「知りません? この観覧車、誕生月に乗るともう一周出来るんですよ」

「は……?」

 

 目を点にするボクは雪崩にでも遭ったかのように思考がどっかに飛ばされる。そして冷えてきた身体にまた暖かい両手と肉棒が包むと、満面笑顔の魔王が告げた。

 

 

「さ、誕生日。まだまだイきましょうか。今度はバックで大声上げてくださいね」

「は……いいいいぃぃーーーーーっっ!!?」

 

 

 相も変わらず計算し尽くされた誕生日にボクは成す術なく啼かされる。当然それは観覧車を降りても、家に帰っても、0時を過ぎても続くのは、誕生日が過ぎようとも性欲の収まらない魔王だからだ。

 

 来年は一人旅行でもしよう――――。

bottom of page