「久しいな、ルーファス殿」
「三週間ほど前に、背後にいる女性の件で会いましたが？」

​

　指摘に、笑顔で手を差し出していたアズフィロラ様が固まる。
　その背後には『ユッフィ～！』と、陛下に跳び付いている変態……ヒナタ様。親友だからといって、一国の王にあの態度はないだろうと思うが、ヴァーカな陛下が大変喜んでいるようなので、揃ってバカということにしておきましょう。

​

「手、手厳しいな……」
「そちらが緩いだけかと」

 

　思考を読むのが得意なアズフィロラ様に構わず溜め息を吐く。
　視線を何度かさ迷わせた彼は、躊躇いがちに訊ねてきた。

 

「夫婦仲、悪いのか？」
「普通だと思いますが……何故そう思われるんですか」
「いや……あまりにも冷たいというか、会話すらされていないから……夜は一緒なのか？」
「いえ、忙しいので月ニ……！？」

 

　淡々と話していると、アズフィロラ様に腕を引っ張られ、壁際へと連行された。訊ねるよりも先に、顰めた顔を向けられる。

​

「ルーファス殿は本当にユーフェルティア女王を愛しているのか？」
「……藪から棒になんです」
「いや、傍目から見ても愛を感じないし、女王もチラチラと貴殿を窺っているぞ？」

 

　必死の抗議に視線だけ移すと、確かに陛下……ユフィの目が私にある。
　気付かれないよう色々なところを見ては私へ戻り、何かを言いたそうにも見えた。

​

　夫婦になって数ヶ月。

　以前より会う回数は増えても、女王と総騎士団長ではどうしても一緒に居る時間は少なくなる。長年それが当たり前だったせいか、それとも我慢が染み付いているからか。
　考え込んでいると、アズフィロラ様は至極真面目な顔をした。

​

「ルーファス殿もヒナタ同様“つんでれ”かと思うが、少しは素直に「ケンカなら買いますよ」

​

　先に決闘だと剣を握る。

 

＊　＊　＊

 

「アズフィロラ様と何を話していたのですか？」

 

　夜も深まり、久々に赴いた寝室。
　ベッドに腰を掛けているユフィの不満気な問いに、うるさい狛犬がいないのを確認するとマントを脱いだ。

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「貴女がヴァーカな顔で私を見ていると教えてくださったんです」
「えっ！？」

 

　予想外だったのか、顔を真っ赤にしたユフィは慌てて両手で口元を隠す。
　上着を脱ぐと、ネクタイを解きながら彼女の元へ足を進めた。

 

「あと、貴女へ対する『愛』が感じられないと言われました」

 

　語尾を弱めると、ユフィの目が丸くなり、一息吐くと片膝を折る。見上げた先にある瞳は揺れていた。

 

「感じ……られませんか？」

 

　自分でも驚くほど小さな声。そして、らしくもなく動悸が激しい。
　だが、彼女には届いていたのか、耳まで真っ赤にすると顔を伏せた。

 

「そんなこと……ないと思いますけど……でも、不安にはなります……あまり一緒にいませんし……ルー……言葉にしてくれないので……本当に愛してもらえているか」
「愛していますよ」

 

　するりと出た言葉に、またユフィの目が丸くなる。
　それを横目に彼女の片脚を持ち上げると脛に──キスを落とした。

​

　柔らかな肌と甘い匂い。
　ただキスを落としただけでも身体が熱くなり、同じように熱を帯びた目で見つめるユフィに顔を寄せた。

 

「愛してる……ニ十年前からずっと」

 

　囁きと共に唇へと口付ける。
　匂いと同じ、それ以上の甘さに短い口付けを繰り返しながら抱き寄せるとベッドへ仰向けに寝転がった。自分が上に乗っていることに驚いたユフィは慌てるが、谷間が開いたナイトドレスから乳房を掬い出すと、指で先端を捏ねた。

​

「あんっ！」
「硬い……早くも感じているなんて、余程のヴァーカですね」
「ルーんんっ！」

 

　揺れる腰のように乳房も大きく跳ね、先端を甘噛みしながら反対の先端も捏ねる。次第に嬌声は増し、ユフィは四つん這いになった。

「跨るとは……さすが女王」
「あ、貴方がそうさせて……あぁ」
「ええ、どうぞ貴女も好きにしてください……たとえば、俺のモノを自分で入れたり」
「っ！」

 

　中央に寄せた乳房を舐めながら口角を上げる。
　自身のお尻……秘部に当たっているモノの存在にユフィは目を見開くが、躊躇いがちに呟いた。

 

「い、いいの……ですか？」
「ヴァーカ……腰、上げろ」

 

　言っている言葉が違うと自分でも思う。
　だが、ユフィは言われた通り腰を上げ、褒めるように頭を撫でれば頬を赤めた。くすりと笑うと、ズボンから自分の肉棒を取り出す。その容に小さな悲鳴が上がるが、ユフィのショーツも下ろすと、亀頭で秘部を突いた。

 

「あんっ！」
「ヴァーカ……自分で入れろ……お前も俺を愛しているなら」

 

　平然と言っているが、身体も肉棒も熱い。
　外に出したというのにまだ肉棒は大きく硬くなり、秘部に触れただけでも痛みが走る。それでも待っていると、小さな手が肉棒を撫で、恐る恐るといった様子で持ち上げられた。互いに汗を落とし、息を乱す中、熱っぽい声が落ちてくる。

 

「はぃ……愛してます」

 

　ゆっくりと腰を下ろされ、肉棒が膣内へと埋まっていくが、あまり解していないのもあって狭い。

 

「ああぁんんぅ……キツいで……す」
「なら……手伝って……やる」
「え、あ、ああぁんんっ！」

 

　両手で腰を持つと、大きく上下に動かす。
　同時に腰も突き上げるように動かしてしまうのは、当に我慢を超えたせいかもしれない。本当は欲しかったという欲をぶつけるように、卑猥な水音と嬌声を響かせた。

 

「あ、ああぁぁんっ、あ、あぁ……ルぅ……気持ち……もっとシて」
「はい……愛する妻（ピレイン・スィズィゴス）」

​

　命令のようにも聞こえるが、それは女王として騎士にする命ではない。
　好きだから愛しているから言ってくれる言葉。二十年も前から服従を誓う自分にとっては幸せな言葉だ──。

 

 

 

「内緒話をするルーとアズフィロラ様を見て、ヒナタ様が“びーえ「バカは大人しく寝てください。バーカバーカ、バーーーーカっ！」

 

　アズフィロラ様より先に決闘しなければならないようですね────。