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小説*12月14日*真咲誕生日

*真咲視点

 誕生日。それが主人たちのなら誠意をもって祝うが、自分となると不要。だって僕は──。

 


* * * 

 


「おや、巴様。おはようございます」
「おはようございます、橘さん。今日もよろしくお願い致します」

 

 朝の五時前。
 キッチンに顔を出すと、先輩執事である橘さんが既に朝食の準備をはじめていた。古希を迎え、先日まで会長とドバイに行かれていたとは思えないほど元気な彼に負けられないと手袋を外す。

 

「そう言えば、今日は巴様のお誕生日でしたね。おめでとうございます」

 

 手を止めた橘さんの一礼に驚くが、すぐ礼を返した。

 

「覚えていてくださり光栄です」
「ほっほほ、大事な弟子なのですから当然ですよ」

 

 いつもの笑顔で応えてくれたことに目を丸くするのは、従業員とは違う扱いをしていただいたからだ。一瞬だけ口を結ぶが、再び頭を下げる。

 

「ありがとうございます。今後も御指導御鞭撻のほどよろしくお願い致します」
「はい。では早速、朝食の腕を見させていただきましょうか」

 

 少しばかり意地悪な笑みに変わったことに僕もまた笑みをこぼすと、成果を披露する。会長のオムライスに、ケチャップでタヌキを描いたら減点されましたが。

 


* * *

 


「執事って、ホントっ、会長さんのことっ、嫌いっ、だよねっ!」
「そんなっ、わけっ、ありますよっ!」
「あるんかい」

 

 笑顔で牛島様の足を止めると、安心院様のツッコミが入る。
 放課後の学校。授業が終わる頃にお嬢様のお迎えに上がったが、牛島様に頼まれ、中庭で手合わせをしていた。執事=護衛も兼ねているため日々身体を鍛えてはいるが、さすがに本職という名の警備会社子息の牛島様は強い。普段はドM様なのに。

 

「なんかっ、失礼なことっ、考えてっ、ないっ!?」
「いえっ、お嬢様と荒澤様がっ、いらっしゃったなっと!」
「えっ、ちぃっだはっ!」

 

 よそ見をした牛島様を投げ飛ばす。
 油断大敵と微笑みながら手を払っていると、渡り廊下にお嬢様と荒澤様が見えた。

 

「いま、来られましたよ」
「うわああぁん~! ウソつかれた~!! 大人は卑怯だ~!!!」
「引っ掛かるハルハルが悪いだろ」

 

 地面に突っ伏したまま泣く牛島様だが、ご親友の正論に頷きながら外していた手袋を嵌める。そこにお嬢様たちがやってくると、荒澤様が容赦なく牛島様を椅子にした。

 

「あっふん!」
「真咲、もういいの?」
「ええ、お待たせしました……っと」

 

 悦びの声を無視し、脱いでいたコートを取る。前に、後ろからお嬢様に抱きつかれた。その顔は嬉しそうだったのに、徐々に頬が膨らむ。

 

「真咲のほうがあったかい……」

「手合わせしてましたからね……でも」

 

 暖めてあげよう計画が失敗し、お嬢様はしょげてしまった。そこで両手で頬を包む。手袋越しだが、お嬢様のぬくもりが伝わり、お嬢様もまた冷たさに身体を震わせた。

 

「う~、冷たい~。でも大丈夫ぅ」
「ありがとうございます。お嬢様は優しくて暖かいですね」

 

 必死に堪えているのがわかるが、優しさを無下に出来ないとお言葉に甘えて頬を撫で回した。その度にお嬢様は酸っぱい物を食べたような顔をし、僕は笑顔で続ける。

 

「はひー、悪い大人がいますね」
「誕生日だからって何していいわけじゃないよね!」
「お前も同じことするだろ……て、渡すの忘れてた」

 

 御三方を無視するが、ベンチから立ち上がった安心院様から紙袋を渡される。

 

「誕生日おめでとうさん。これ、プレゼント」
「わざわざありがとうござ……」

 

 受け取ってすぐ、ギャルゲーらしきパッケージが見え、笑顔だけ返す。続くように牛島様、荒澤様からも手渡された。

 

「はい、俺からはカップケーキ。オススメは縛られた状態で白鳥さんに目の前で食べられる「前にいただきますね」
「はひ、アイス……」
「いつもありがとうござ……僕、何かしました?」
「もうしてるんですよ、本編で」

 

 アイスと一緒に入っていたメモにはなぜか『ド突く』と書かれてあるが、何も言わないことにした。すると、メモを知らないお嬢様が僕のコートを持つと微笑む。

 

「良かったわね、真咲」
「……はい」

 

 内容はともかく、祝ってくださることに感謝しかない。
 それは橘さんをはじめ、敬蔵様やなりー社長。この上なく不愉快ですが会長にも祝っていただいた。もちろん、お嬢様にも。

 

 たが、嬉しいよりも戸惑いが増す。執事だと忘れそうになるから──。


 

 

 

 


「どうしたの、真咲?」
「あ……申し訳ありません」

 

 お嬢様の就寝準備をしていたところで我に返る。
 気を取り直すように枕を整えると、キャミソールに着替えたお嬢様は首を傾げた。が、急に学校鞄をあさり、何かを取り出す。

 

「はい。遅くなったけどこれ……誕生日プレゼント」
「え?」

 

 顔を上げると、クッキーが入った袋を手渡される。
 お洒落な袋に包まれているが、クッキーには『まさき』と書かれていたり、リボンの形をしているので手作りだろう。見下ろす僕に、お嬢様は恥ずかしそうに顔を伏せた。

 

「いつも一緒で買いに行くのは難しいから、昼休みに作ったの。でも、牛島くんのカップケーキや叔父様からケーキ貰ってたから……その、渡し難くて」

 

 劣っていると思っているのか、表情が冴えない。
 くすりと笑うと袋を開け、クッキーを一枚食べた。口を動かす度にお嬢様は緊張した面持ちで見上げるが、呑み込むと微笑む。

 

「とても美味しいですよ。ありがとうございます」
「ホント!? 良かったぁ」

 

 安堵したのか、ベッドに座ったお嬢様も笑みをこぼす。そこでまたクッキーを一枚食べる。

 

「でも……もう少し甘さが欲しいですね」
「え? 味見をした時は結構……んっ」

 

 言葉を遮るように口付けると、口内で砕いたクッキーを舌に乗せ、お嬢様に口移しする。躊躇いがちに舌を重ねるも、受け取ると呑み込み、唇を離した。

 

「甘いと、思うけど……」
「それはお嬢様の唇が甘く、味が付いたからです。なのでまた……お願いできますか?」

 

 唇でクッキーを挟むと、頬を赤めたお嬢様は視線をさ迷わせるもクッキーに食いついた。そのまま互いにクッキーを砕き、砕いては唇を重ねる。

 

「んっ、ふ……ん、ホント……甘くなった……かも?」
「でしょう? なのでまた甘くしてください」

 

 ベッドに寝転び、何度も口付ける。
 互いの口内に舌を挿し込んではクッキーの残りを食いつくすように舐め回し、お嬢様の身体が左右に揺れた。特に揺れている乳房を手袋越しに揉む。

 

「ああ、お嬢様は優しいですね……クッキーの他にもマシュマロも用意してくださっているなんて」
「あん、それは違……ン!」

 

 柔らかいマシュマロを両手で揉みながら唇に首筋に舌を這わせる。そして、胸元のキャミソールを捲ると、赤い実を付けた先端がふるりと顔を出した。

 

「大きなサクランボまで……とても美味しそうです」
「ああっ!」

 

 ツンと尖った先端を舐める。
 舐めれば舐めるほど赤さも大きさも増し、反対の実を指で引っ張りながらしゃぶりついた。

 

「ふあああぁっあぁ……イいの……もっと食べて……こっちもいっぱいぃ」

 

 矯声を上げながら、お嬢様はキャミソールを捲る。
 サクランボを摘まみながら見れば、染みが付いたショーツが露になった。そこを指で擦れば擦るほど染みが広がり、腰を浮かせるとショーツを脱がした。

 

「これはまた美味しそうなハチミツがたくさんですね」

 

 瓶に収まらないハチミツがトロトロ溢れてくる。
 流れを止めるように股間に顔を埋めると、秘芽と一緒に舐め回した。

 

「あああぁぁんっ!」
「んっ、甘くて良いですね……ほら、お嬢様も味見」
「んんんっ!」

 

 掬ったハチミツを口に持って行くと、手袋越しでも構わずお嬢様はしゃぶりつく。ちゅっちゅっちゅう~と卑猥な音を鳴らしながら指まで吸い上げる吸引力に身体が疼くも、反対の手で掬ったハチミツをサクランボにかけると、僕もしゃぶりついた。

 

「ああぁ……真咲……私もまたちょうだい」
「そんなにハチミツが好きなんですか? なら、こちらで差し上げましょう」
「ひゃっ!」

 

 ズボンから肉棒を取り出した僕は亀頭でハチミツを擦る。それを充分塗りたくすとお嬢様の顔に跨がり、大きく開けた口に挿し込んだ。

 

「ふんんん゛っんぐっんっ!」
「ああ……そんなに奥まで咥えて……っはあ、美味しいんですね」

 

 頭を押さえ、腰を動かす。
 その度に肉棒が奥を突き、舌がハチミツを舐め取る。が、よほど美味しいのか、指同様に吸引力のすごさに限界が訪れた。

 

「っ──!」
「んんんんっ!」

 

 どくりと脈動が打つと、白濁が口内で散る。
 お嬢様の身体も跳ねるが呑み干す音がし、引っこ抜いた肉棒に付いた汁も綺麗に舐め取った。

 

「っはあ……美味しい食べ物どころかお掃除までしてくださるなんて……僕の仕事を取る気ですか?」

 

 汗だくの額を手で拭うと、同じく息を切らすお嬢様は微笑みながら大きく股間を開いた。

 

「誕生日ぐらい私が代わっても良いでしょ? だから……ムズムズしてたら、挿入《いれ》ていいのよ?」

 

 自分の手で秘部を広げると、また蜜が溢れてくる。
 だが、それ以上に僕を見つめる目と頬の赤み。そして微笑に喉を鳴らすと、ネクタイも解き、シャツボタンも外した。

 

「ムズムズ(それ)はお嬢様がなっていそうですが……せっかくなのでお掃除していただきましょうか」

 意地悪く笑うと、柔らかい両脚を掴み、大きくなっている棒を蜜に、秘部に挿し込んだ。

 

「あああぁぁ! イい……気持ち……もっと奥……あ、そっちはダメえぇ!!」
「僕のっ……誕生日なんですから、好きにさせて……もらいますよっ」
「ひゃあああぁっ!」

 

 いつもは願いを聞くが、今日は許しをもらったので自分の好きな場所を、お嬢様にとっては焦らし部分を攻める。ビクビクと痙攣する身体を押さえれば、結合部から蜜が零れ、お嬢様の矯声も増した。

 

「ああぁ……まさ……き、そこはっ、イっちゃ……気持ちイいからあぁ」
「ええ……僕も気持ちイいです……だから一緒にイきましょう──っ!」

 

 ぐっと抱きしめると、肉棒が子宮を突く。
 同時に今日一番の声と蜜が僕を満たした。執事ではない、男として──今日だけの我儘を叶えてくれた。


 

 

 

「いろんなクッキーがありますね」
「荒澤さんたちも一緒に作ったから……」

 

 

 ゲーム機にアイスにドMと、クッキー型すら変わらない御三方に呆れるも、会長の誕生日はタヌキクッキーにするかと考えた。もちろん減俸にされましたが────。

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