小説*キスシリーズ「爪先」
*真咲視点
「ねえ、真咲。手の甲にするキスは何?」
「『敬愛』ですよ」
「じゃあ、お腹は?」
ベッドに座ったままキャミソールを捲るのは、十年以上仕えているカナお嬢様。
染みひとつない白いお腹と小さな臍を見せる彼女の目は輝いている。
キスする場所によって意味が異なることを教えたせいか、知りたがりお嬢様が他の意味を気になっている様子。新しい知識を得るのは大変良いことだとは思いますが、躊躇いもなく身体を見せるのは如何なものかと、元凶である三人衆へのお礼を考える。
けれど、疑いなどない純粋な瞳に無意味だと悟った。
自分は執事。仕える主君の命は絶対だと染み付いた身体が自然と片膝を着き、両手を腰に回すと顔を近付ける。頬に柔らかな肌が触れると、お腹にキスを落とした。小さなリップ音と共にピクリと跳ねた身体に口を開く。
「お腹は『回帰』ですね……腿は『支配』で、脛は『服従』」
「んっ……」
ひとつひとつ教え込むようにキスを落とす。
その度にリップ音が響き、お嬢様の身体はピクリピクリと跳ねるが、教示を邪魔しないようにと激しく動くことはしない。内心笑いながら足の甲にキスをすると、爪先へと移る。すると、か細い声が頭上から聞こえた。
「そういえば前……真咲にそこ……キスされたっけ」
視線だけ上げれば、気恥ずかしそうに見つめるお嬢様。
僕もまた“あの日”を浮かべると、細い両足を持ち上げ、顔を近付けた。
「ええ……ここが一番、僕に相応しい場所ですから」
「意味は……何?」
躊躇いがちに、けれど熱を含んだ問いに笑みを浮かべると──爪先へとキスを落とした。
「『崇拝』です」
「あっ……!」
口付けた親指の爪先を舐める。
順に残りの指も口付けては舐め、主君に忠誠を落としていく。先ほど同様、必死に動くのを堪えるお嬢様だが、ついに我慢できなくなったのか寝転がる。薄っすらと染みがあるショーツが露になった。
「大変……舐め取らないと」
「ま、待って、真……っああ!」
開脚させながらショーツを下ろすと、ドロドロの“いけない蜜”を零す秘部を舐めた。大きく仰け反る身体を押さえるように両手で脚を固定し、素早く蜜を舐め取っていく。
「あっ、ああ、ああぁ……」
「舐めても舐めても溢れ出て……どうされたんですか、お嬢様」
「ああ、気持ち良くて……あぁ……胸もしてぇ」
「かしこまりました」
甘い息を漏らしながら自分でキャミソールを捲り上げるお嬢様。
ふるりと露になった大きな乳房は特にピンク色の先端が尖っていて、手袋をした両手で揉み上げると、チロリと舐めた。
「はあぁん!」
「舐めただけなのに……もっと聞かせてください」
そう囁くと、尖った先端にしゃぶりつく。
ちゅうっと吸い上げながら舌先で舐め、反対の先端は指先で弄る。
「あ、ああぁ……あああぁ!」
嬌声を上げながら身体をよじるお嬢様はどこか嬉しそう。
何も知らない頃より“性”を知ってからの方が敏感で、もっともっととねだるような顔をされては止めることは許されない。だが、下腹部から零れる蜜が増していることに胸から顔を離すと訊ねる。
「お嬢様、今日は“いけない蜜”が多いようです。でも胸もしてもらいたいのですよね?」
「うん……」
「では……“いけない蜜”を“僕の”で止める許可をください。崇拝するお嬢様を汚しても良い許可を」
鼻と鼻がくっつくほど顔を近付けると、蜜を零す秘部に自分のモノを宛がう。
ピクリと身体を動かしたお嬢様は視線をさ迷わせるが、ゆっくりと視線を合わせると、恥ずかしそうに頷いた。
「ありがとうございます」
「んっ……あ、ああぁぁっ!」
口付けると同時に、焦らすことも慣らすこともなく一気に挿入した。
当にドロドロだったナカは滑るように進み、行き止まったところで大きく腰を振る。
「あ、ああぁんんっ……大き……気持ち……ふあああぁ!」
打ち立てながら乳房を揉み上げる。
身体に悪い“ムズムズ”を取り除くように秘部と乳房、両方を攻め立てた。はしたない水音と荒い息遣いが混じり、汗が流れる。だが、唇から唾液を零すお嬢様はとても悦んでいるようにも見え、僕も笑みを浮かべた。
「さあ、達しましょうか──お嬢様」
「はあああぁぁんんっ!!!」
艶やかな嬌声に抱きしめれば、同じように抱き返してくれる。
主従の域を超えているか超えていないかは関係ない。ただただ締まる下腹部と熱に瞼を閉じると、共に真っ白な世界へと旅立った──。
「最後真っ白になるのは真咲だから? それとも、誰とヤっても同じ「お嬢様、まだ“いけない蜜”を出し切っていなかったようなので取り除きますね」
やはり、知りたがりは問題のようです────。