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小さな黄色い花
白い花
ピンクのデイジー2

小説*キスシリーズ「頬」

 天気も良く、風も心地良い今日。
 クラスメイトの荒澤さんと中庭でお昼を食べていると、牛島くんが笑顔でやってきた。

 

「ちぃー! 今日は『キスの日』だよー!! シよーーっ!!!」
「キスの日?」

 

 聞き返すよりも先に、見事な巴投げを決める荒澤さんと、宙を飛ぶ牛島くん。
 大きく地面に打つ音と光景に周囲は静まり返り、私も顔を青褪める。けれど、荒澤さんは何事もなかったように牛島くんのお腹に腰を下ろすと食事を再開した。牛島くんの『最っ高!』の声が木霊する。

 

「白鳥嬢。飴、いらね?」
「あ、ありがとう……ございます」

 

 いつの間にいたのか、向かいに座る安心院くんから飴を貰う。パンを食べながら携帯をいじる彼に躊躇いながらも訊ねた。

 

「あ、あの……キスの日ってなんですか?」

 

 恐る恐るの問いに、安心院くんの視線が上がる。
 その目は細く喉を鳴らすと、少しの間を置いて口が開かれた。

 

「それは……」

 


* * *

 


「まままま真咲っ たたたた「はい、お嬢様。深呼吸しましょうか」

 

 放課後になり、迎えにきてくれた真咲にしがみつくと背中を撫でられる。その手に何度か深呼吸すると、真剣な眼差しを向けた。

 

「キスしましょ「はい、家に帰ってから聞きましょうか」

 

 ざわついた周囲とは違い、執事はいつも通りの笑顔。


 

 

 

「キスの日、ですか……」

 

 私室のベッドに腰を下ろしたキャミソール姿の私の話に、真咲は考え込む。
 同じように膝の上で握りしめた両手を見下ろす私も、安心院くんに聞いた話を思い返していた。

 キスの日。それは大切な人との幸せを確認する日。
 幸せであれば互いに口付け、信頼と愛を確かめ合う年に一度の日。十四年も一緒にいるのに、一度もしたことがないばかりか存在すら知らなかった私は血の気が引いてくる。

 

「はあ……相変わらず極端な話を吹き込まれますね」
「え?」

 

 震える私とは違い、真咲は溜め息をついている。
 まさかエイプリルフールみたいに午前中だけなのかと手を伸ばすと、膝を着いた真咲の手に包まれた。手袋越しでも暖かく心地良いことに落ち着きを取り戻す。

 

「それで、どうするんですか?」
「え?」
「キス、するんですか?」
「え!?」

 

 『キス』の言葉に大袈裟なほど身体が跳ねると視線をさ迷わせる。けれど、手を握ったままジっと見つめる真咲に声を振り絞った。

 

「……したい」

 

 胸の奥がきゅうっと締まり、動悸が速くなる。それこそ心臓の音が大きくて言葉に出来たかわからず、もう一度口を開いた。

 

「いいですよ。好きなところにしてください」
「え……」

 

 目を瞠る私とは反対に瞑っている真咲。
 ちゃんと聞こえていたばかりか、あっさり了承されたことに呆気に取られる。そんな彼は動く気配もなく、口元には変わらず緩やかな弧。本当に待っているのがわかり、速まる動悸を他所に顔を近付けるとキスをした──頬に。

 

 小さなリップ音と共に柔らかな肌から唇を離す。
 頬を赤く染めた自分を映す瞳と微笑を浮かべる彼にまた熱が上がっていると、ゆっくりと抱きしめられた。頭や背中を撫でながら、頬にお返しのキスが落ちる。

 

「ご存知ですか? キスする場所によって意味が異なると」
「そ、そうなの?」
「ええ、『頬』へのキスは『親愛・厚意・満足感』、三つの意味があります」

 

 目を丸くする私を抱き上げた真咲はベッドに転がす。
 いつもより深くシーツに沈むのは、跨る執事がいるから。そんな彼はどこか愉しそうな笑みを浮かべた。

 

「お嬢様からいただいたキスはひとつ。どの意味でしょうか?」
「どのって……親愛? ぁん」

 

 答えてすぐ、大きな両手が乳房を揉み込み、勃ち上がった先端を摘む。ぐにぐにと引っ張られる度に吐息が漏れ、肩に顔を埋めた真咲の頬に口付けた。

 

「今のは?」
「え、あ……厚意?」

 

 無意識だったせいか、教えてもらったばかりの意味を答える。
 耳元でくすくす笑う声にくすぐったさを覚えていると、片方の手がショーツの中に潜り、秘部を擦られた。

 

「あっ……」
「では、最後のひとつ……満足感を与えなければなりませんね」
「そ、それならああぁ……!」

 

 もう一度頬にと言うよりも先に、キャミソールから掬い出された胸に吸いつかれたばかりか、手袋をした指が膣内へと押し入る。舌先で舐められる胸の先端と秘芽を擦る指。違う刺激にキスのことも忘れ喘いだ。

 

「あ、ああ……ダメ、真咲……イジっちゃんん!」
「そう言われても、たくさんの蜜が零れていますよ……まだ満足してないのでしょう?」
「あぁああん!」

 

 ナカで指を回され、厭らしい水音と一緒に蜜が零れた。
 次第にお腹の奥がムズムズしだし、アレをされないと治まらない、満足しないことに気付く。すると、顔を近付けた真咲がそっと囁いた。

 

「何をシたら満足しますか……お嬢様?」

 

 艶やかな声に蜜が零れる。
 ここで頬にキスすればいいのかもしれない。でも、自身のズボンに私の手を置いたまま意地悪く微笑んでいる執事に、ムズムズは最高潮に達した。震える両手を彼の首に、両足を腰に回すと命を下す。

 

「真咲の……大きいので……満たして」
「……かしこまりました」

 

 抱き上げられると、取り出された肉棒がドロドロの蜜を零す秘部へと挿入される。胸と指とは明らかに違う大きさと硬さと刺激に嬌声が止まらない。

 

「あんっ、あ、ああぁぁぁあっ!」
「お嬢様……満足できそうですか?」
「んんっ、まだ……もっと奥ンンンっ!!!」
「はい……っ」

 

 足りなかった穴を埋めるように、満たしていく気持ち良さに、キスもまた唇へと変わる。それが不思議と一番気持ち良くて、唇への意味を知りたくなった──。


 

 

 

「はひ、遊び」
「俺のモノ!」
「あやす感じじゃね?」
「お嬢様そのものです」


 

 どれーーっ────!?

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