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破線サークル
フラワーアレンジメント1

​ 世界を駆ける

   

番外編*4月5日*ヒナタ誕生日

*食虫・ヘビ有

 春になっても朝方は冷えるが、暑がりの私には関係ない。
 昨夜もブラなしに、カーディガンを羽織って眠りについた。それでも暑い。暑すぎる。あまりの暑さに、まだ眠いのに目を開けた。そして、原因を知る。

 

「あああぁぁ……やっぱりか」

 

 頭を少し上げただけで理解した私は、溜め息まじりに枕。ではなく、たくましいベルの腕に頭を乗せた。右にはベル、股間にはスティ、左脚にはアウィン、左にはフィーラが寝ている。私のベッドで。
 たまにスティが潜り込んでいる時があるが、四人とは珍しい。特にフィーラがいることに顔を彼に向けると、赤の瞳と目が合った。

 

「おはよう……ヒナタ」
「おおおお起きて!」
「まあ、時間的にな」

 

 顔が真っ赤になる私とは違い、小さく笑うフィーラは手を伸ばす。
 優しく暖かい手が頬に触れるだけで身体が疼くのは、なんのマジックなのか。次第にフィーラの顔が近付くのがわかり、恥ずかしさから視線を逸らす。

 

「ど、どうした……貴様がいるなんて……め、珍しいな」

 

 ぶっきらぼうに訊ねると、目の端に呆れ顔が映る。
 何かやらかしたかと冷や汗が流れるが、一息吐いたフィーラは少し強引に顔を寄せた。額と額、鼻と鼻がくっつく。が、それよりもフィーラの目と口元が、どこか意地悪なことに動悸が早鐘を打つ。

 

「毎年のことだが、やはりヒナタは覚えていないな」
「覚えてな……い、いや、覚えているぞ! あ、あれだろ!! イズの誕生んんっ!!!」

 

 んなヤツのは覚えてなくていいと言うように口付けられる。
 荒々しい口付けに身じろぐが、その身体も動かない。理由は当然、他三人。いつから起きていたのか、ベルは耳に、ショーツを下ろしたスティは秘部に、アウィンは胸に口を寄せていた。瞳の色は違えど、私だけを映しているのは変わらず、耳元にふっと息をかけられる。

 

「いけない姫君ですね……」
「ふわっ!」
「ん、ヒナさん……その男で蜜……零しちゃダーメ」
「あぁっ……!」
「ま、誕生日は濡らしまくっていいんじゃね」
「誕生……ああぁんんっ」

 

 耳朶を食(は)んでは舐めるベル、それによって零れてしまった愛液を吸い上げるスティ、それらによって勃ち上がった乳首を噛むアウィン。
 刺激に身体が歓喜すると、顎を持ち上げるフィーラが微笑んだ。

 

「誕生日おめでとう……愛する姫君」
「へ……」

 

 最後の敬称だけ異なったが、他三人も共に『おめでとう』と、笑みを向ける。
 今日は四月五日。イズの他、私も誕生日だった。相も変わらず自分事に疎い私はぎゅっと唇を噛み締め、涙を堪える。だが、じっと見つめる彼らに押さえは効かず、涙を落としながら微笑んだ。

 

「ありがとう……」

 

 大切な今日に感謝するように、また与えるように、それぞれと唇を交わす。
 当然、ベッドから起き上がれるのはずいぶん先だ。

 


 

 

 


「ううぅ~、絶対イジメられるだろうな……」

 

 いつも以上の愛を朝から受けた私は、腰を支えながら宰相室までやってきた。が、入るのを躊躇っている。既に時刻は昼三時を回り、社長出勤以上の大遅刻を犯しているからだ。
 途中、イズと会ってまたアハンしたせいだが、わかっていて『仕事~あるよ~』メモを戸に差し込んだ男も悪い。そんな責任転嫁と勢いで扉を開いた。

 

「おっはよああああぁぁっっ!!!」
「悪びた~様子もなく~入って~くるのは~ヒーちゃん~らしいよね~~」
『ふむ、社会人としては不合格というやつだな』

 

 入ってすぐ、何本もの蔓が手足に絡みつくと宙吊りにされる。
 よく知る感触は間違いなく、呆れ半分で見上げているバロンの食虫植物達。だが、チロリと肌を舐める舌と、ザラつきは違う。それでもよく知っているのは、ニョロニョロと機嫌良くお腹に乗っている黒ヘビ。
 視線を落とすと、バロンの隣で笑う魔王がいた。

 

「め、珍しい組み合わせだな」
「そう~? 結構~気は~合うよ~~」
『今日はたまたまおったにすぎんが、ともに祝福はしてやろう』
「祝ふどわああああぁぁっっ!!!」
「『誕生日おめでとう~』」

 

 同時の祝辞と共に、食虫達が一斉に私を宙へと投げる。それはもう何度も何度も、人生初の食虫胴上げだ。

 

「もういいっもういいっ! ありがとうっ!! 私は世界一の幸せ者だああっ!!!」
「うっわ、ウソっぽ~い」
『ヘビ、ぷれぜんとをくれてやれ』

 

 懇願はウソと捉えられたようだが、胴上げが収まる。
 両手両足は蔓で縛られたままだが、床下数センチまで下ろされ、ほっとした。が、服の中にヘビが潜り込み、バロンが指を鳴らすと食虫達もズボンの隙間から潜り込む。

 

「ちょっ、貴様達っんん!」

 

 もぞもぞと服の中を無造作に動く感触は人とは違う。
 お約束のように食虫の蕾から蜜が零れると服も下着も溶け、片胸にとぐろを巻いたヘビが先端が尖った乳首にしゃぶりついた。

 

「あああぁぁんっ!」
「おお~敏感~だね~~」
『やはり、他のやつらとシたあとか』

 

 くすくす笑いながら見学する主人達を他所に、中央にある小さな口をパクパク動かす花の食虫が、もう片方の乳首に吸いつく。そのまま引っ張ると甘い蜜が零れ、谷間を辿る。それに他の食虫が群がるかのようにペロペロ舐められた。

 

「あああぁぁ……やめっ……くすぐったいいっ……ひゃっ!」

 

 小刻みに身体を動かすが、股間に何かが触れた。
 既に溶けている下着からは秘部が丸見えになり、刺激によって愛液が零れている。それをペロペロ舐める食虫達と足を縛る蔓を退け、膝をついた魔王が股間に身体を潜らせていた。
 深い赤の瞳はドロドロ零れる愛液を映し、指先で秘芽を弾く。

 

「あっん!」
『ほう、まだでるか……なら全部かきださぬとな』
「ああ……だめんんんんっっ!」

 

 抗議は、いつの間にかやってきたバロンの唇で塞がれる。
 その隙に秘部に口を付けた魔王は、舌先で舐めては奥へと伸ばした。

 

「ふっ、んっんんん!」
「ヒナタちゃん……身体は正直なんだから、抵抗せず、身を任せなよ」

 

 意地悪く言いながら、縛られている両手に自身の肉棒を乗せるバロン。
 見下ろす金色の瞳は欲情と熱を帯び、甘い蜜を頭にかけたヘビが私の頬を撫でる。その匂いと身体の疼きに、震える舌先でヘビの頭を舐めると、バロンの肉棒を扱いた。

 

「っは……いいよ、ヒナタちゃん。そのまま」
「んっ、ふっ、んんん!」
『これは……まだまだ増えそうだな』
「あああぁ……!」

 

 長い魔王の舌が子宮の奥を舐める。
 さらに全身を舐め回す食虫と白濁をかけるバロンに、快楽は募るばかりで、仕事など当に忘れ去ってしまった。

 というか絶対、仕事なんてウソだろ。

 


 

 

 


「んふっ、んんんっ!」
「ああっ……ちょ、女……出るうぅ!」
「こっちも……だ!」
「ふんんんんっっ!!!」

 

 咥え込んでいたアウィンの肉棒と、挿入していたフィーラの肉棒から白濁が噴き出す。だが、四つん這いの私は、ヌルリと落ちたアウィンの肉棒を舌先で舐めながら、横にあるベルの肉棒と、反対側に座ったフィーラの肉棒を扱く。

 

「ちょ、ヒナタ……出したばかりで……」
「いやにっ……あ、積極的ですね」
「積極なヒナさん……コワイんん!」

 

 両手に零れる白濁を他所に、仰向けで寝転がり、胸を吸っていたスティに口付ける。戸惑っていた唇は次第に応じるかのように舌を挿し込み、絡ませた。

 

 時刻は当に深夜を回るが、寝室のベッドでは嬌声も愛液も止む気配がない。
 何より、朝に、昼に、夕にと愛された身体が、もっともっとと未だねだっていた。とても我侭な身体だと自分自身思うが、後ろから肉棒を宛がうベルに歓喜が湧くのが先だ。

 

「ああぁ……ベル、早く……奥まで」
「はい……わかってますよ、姫君っ……!」
「あ、あああ゛あ゛っ、あああぁぁっ!!!」

 

 耳元で囁かれると同時に、四人の中で一番大きくて太い肉棒が挿入される。
 腰を振られる度に嬌声を零す口が開き、起き上がったスティに頭を押さえ込まれると、肉棒を咥え込まされた。

 

「んふっ、んんぅぅ……」
「っはぁぁ……ヒナさんイい……もっと奥」

 

 息を乱しながらはにかむスティに身体は熱くなり、望み通り喉奥まで咥え込む。
 それを悦ぶように上体を屈めるスティの横から、アウィンの肉棒が胸を突き、反対の胸をフィーラが舐めてはしゃぶりついた。


「ふあっ、ああぁ……気持ち良すぎるうぅぅ!」
「それは……俺達の」
「台詞……ですよ」
「ああぁ……ヒナさん」
「愛してる……ぜ」


 全員が高揚感に包まれているかのように、甘い声が、息が、蜜が支配する。
 誕生日だからこそ、一番愛を伝えられる日なのかもしれない──。


 

「はいはい~、俺のバースデーを忘れないでなり~!」
「イヴァレリズーっっ!!!」
「ああ~あ~こんなに~ドロドロになって~~」
『ぜつりんしかおらぬのだな』


 途中で割り込む意地悪組に、悲鳴と怒りとハリセンとさらなる快楽が襲うのは誕生日に関係なく、いつも通りだ────。

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