異世界を駆ける
姉御
番外編*キスシリーズ「指先」
夜も深まり、バロンへの報告も終えた私は背を向ける。
「じゃ、バロン。おやすみ」
「おやすみ~~……ん?」
瞬間、宰相室のすべての灯りが消えた。
暗闇、そしてバロンの胸元で光る物──当然。
「ぎゃあああぁぁーーーーっっ!!!」
「ちょ、待っ、落ち着い……あ」
絶叫を響かせながら走り回っていると灯りが戻る。
ほっとした私は涙目でバロンを見るが、眉間を押さえていた。その手にはアクロアイト石を握って……──あ。
* * *
「っははは! 隠そうとして握るとか、ヒューゲらしくなってて!! 何すんだ!!?」
「何って~エーちゃんを~~……殺すんだよ?」
「手伝い……ます」
「ティージ、やめろ。ヒューゲバロン様も落ち着いてください」
「おっぱい」
「アズフィロラ君も落ち着いてください」
「ああもうっ、貴様ら全員うるぎゃあああぁぁまただああぁ!」
私の悲鳴と共に寝室の灯りが消え、様々な声や斬撃も静まる。しばらくして灯りが点るが、スティを抱きしめる私は涙目で訴えた。
「もう、やめてくれ~!」
「やはり他街に移った方がいいんじゃないか?」
「この時間じゃ変わんねーよ」
「まさか~水晶の~寿命とはね~~」
「お袋もはじめてで、手こずってるなりね」
「まあ、ヒナタさんと一緒にいられるなら充分です。ウサギ、お退きなさい」
「ダーメ……」
手違いの『緊急召集』で集められた『四聖宝』。そしてバロンとイズの六人が私を囲うようにベッドに座っている。
どうやら、城の灯りを管理する大元の水晶が壊れたらしい。小さい灯りは魔法で点るが、暗闇が苦手な私には心許なく、男達も心配から帰宅の様子はない。気が紛れてありがたいが、仕事中なのを考えると申し訳なくて寝転がった。
「よっし、寝よう! 寝ればなんの問題もない!! はいっ、解散!!!」
「夜はこれからなり~」
「おいっ、黒王っ!」
「イヴァレリズ!!!」
私の上着を捲ったイズにフィーラとアウィンが左右から手を伸ばす。が、イズが頭を引っ込めたため、揃ってノーブラで露になっていた胸を掴んだ。
「「っ!?」」
「うっわ~」
「変態ですね」
「死ぬの? 死ぬよね? 死ねっ!」
「よっし、行くなりスティ!」
「ぶっ!?」
黒い笑みを浮かべるスティがフィーラとアウィンに向かって黒と白の刀を振り落とす。が、イズが背中を押したせいで胸の谷間に顔が埋まった。刀は黒と白のウサギに戻り、全員が沈黙。
「うっわ……」
「変態ですね」
真っ赤な顔のまま固まっているフィーラとアウィン、埋まったまま動かないスティを大人達は冷めた目で見下ろす。
ただ一人、イズだけニヤニヤ顔で両手を動かした。
「エロエロしてれば問題ないな~り」
「いや、そういう問題でも……んっ!?」
呆れ半分で言っていると顎を持ち上げられ、枕元にいたベルの顔が近付く。そのまま口付けられた。瞬間、スティが顔を上げるが、ベルに頭を押さえ込まれ、また胸に埋まった。唇を離したベルは微笑む。
「問題ありません。楽しい夜にしましょう」
「そうだね~はい~脱ごうか~」
「お、おい、ヒューゲ!」
「興味ないならお前ら帰っていいなりよ」
足元にいたバロンがパジャマズボンを下ろしはじめると、隣にいたアウィンが我に返ったように止める。同時に離れた手によって現れた胸に、イズがしゃぶりついた。
「ああぁっ!」
「イ、イヴァレリズ!」
「ん……ボクも」
「あぁ、スティ!」
強い吸いつきに嬌声を上げると、ベルの隣にいたフィーラが止めようと胸から手を離す。そこに今度は顔を上げたスティがしゃぶりついた。
ちまちま舐めては吸うスティと、両手で搾って荒くしゃぶるイズの違う刺激に身体を揺らす。だが、両脚はバロンに固定されてしまった。ズボンもショーツも取り払われ露になった秘部を見つめる彼は笑みを浮かべると、しゃぶりつく。
「あああぁんんっ!!!」
「んっ、すぐ~出てくるね~~」
速い舌の動きに、蜜が零れるのを感じた。
羞恥よりも気持ち良さが勝ってしまい喘いでいると、また顎を持ち上げられる。ベルかと思えば、見上げた先にいるのはフィーラ。その頬は赤いが、顔を近付けると囁いた。
「ヒナタ……気持ち良いのか?」
「ん……フィーラんんっ」
頷きと共に口付けられる。
すぐ舌も挿し込まれ、絡ませると深い口付けに変わった。とても気持ち良い。そう思っていると苦手な臍を舐められ、ビクリと身体が跳ねる。それでもフィーラは口付けをやめず、視線だけ落とすと案の定アウィンが臍を舐めていた。恥ずかしそうな彼と目が合う。
「ったく……欲情されちゃ……シたくなんだろ」
「当然ですね」
「ひゅンンっ!」
耳元で甘く囁かれるが、やはりフィーラに唇を塞がれる。
そんな私の手に熱い何かが乗った。見れば、ドクドクと脈を打つ、大きくて硬い肉棒。主であるベルは微笑みながら肉棒を握らせる。
「もちろん、ヒナタさんも気持ち良くしてくださるんしょ……ね?」
「ん……」
熱い目に頷くと、フィーラと口付けながらベルの肉棒を扱く。
空いた手でスティの頭を撫でれば指を舐められ、乳房を寄せたイズと一緒にアウィンが両乳首を舐める。その刺激が蜜となって秘部から溢れてくると、顔を離したバロンが片耳に髪を掛けた。
「ん~ちょっと~多いね~~」
『ならば手伝ってやろう』
バロンの呟きに影が集めると、足元に魔王が現れる。
イズとバロン以外は臨戦態勢を取るが、私の手に動きを止めた。すると、魔王の肩から下りたヘビが私の脚にとぐろを巻き、臍を舐める。
「ぁああぁっ!」
「ん~手伝って~~」
「ヒューゲ!」
険悪モードの『四聖宝』とは違い、バロンは手招きし、イズは構わず胸を舐め続ける。応じるようにバロンの隣に腰を下ろした魔王は秘部に顔を近付けると、意地悪い笑みを浮かべた。
『我を止めるより、輝石を悦ばせるのが先ではないのか?』
「ふああっ!」
チロリと秘部を舐められ嬌声を上げる。
さらに秘部に唇をつけた魔王は、他よりも長い舌を挿し込み、奥へ奥へと進めた。
「ああ゛あ゛ぁぁ……イっちゃ……ンンッ!」
『輝石が、ん、我でイっていいのか?』
舌を動かしながら喋る魔王に、他は眉間に皺を寄せる。
だが、喘ぐ私に息を吐くと服を脱ぎ、口元にフィーラとベルの肉棒、両手にはスティとアウィンの肉棒が添えられた。見下ろす目には欲情が混じっていて、大きく口を開けると肉棒をしゃぶり、両手で扱く。
その様子に笑みを浮かべたイズはヘビと一緒に胸を甘噛みし、バロンは魔王と一緒に秘部を舐める。様々な厭らしい水音と刺激に負けないよう私も口と手の動きを速めた。
「ああっ、ヒナ……タ」
「いい、ですね……」
「ヒナ……さンンっ!」
「ちょ、もう無……っ!」
「ンンンンッ!!!」
呻きと共に四つの肉棒から白濁が迸り、秘部から潮が噴出す。
世界が一瞬真っ白になった私は『四聖宝』同様息を乱すが、突然両脚を掴まれた挙句、胸に熱いモノが置かれた。見れば魔王は自身に掛かった蜜をヘビに舐めさせているが、バロンは自身の肉棒を秘部に宛がい、イズは胸の谷間に肉棒を挟んでいる。
息を呑む私達に、二人は似たような笑みを浮かべた。とっても意地悪な笑みを。
「はいは~い~……真打は最後に、ってね」
「だよな~」
「ま、待っああっぁぁんん!!!」
止める言葉は挿入と乳房を擦る肉棒によって嬌声に変わる。
まだまだ快楽を求めている身体に次第と笑みが零れると、視線を合わせた他の男達も感化されるように私へと手を伸ばした。
その手を取れば世界が真っ白に、闇さえ払う光に包まれる。
ナカに収まるモノは大きさも長さも硬さも違うが、熱い飛沫は口々に告げる言葉と同じ『愛』。同じように言葉として返したいが、気持ち良さに喘ぐことしか出来ない私は各々の指先へと口付けた──賞賛のキスを。
ただ無意識のキスだと思ったのか、皆も身体にキスを落とす。
それがいっそう気持ち良くて嬉しくて笑みを零した──とても幸せだ。
「ヒナタ……起きないな」
「ええ、突いても囁いても起きませんね」
「死んだように……寝てる」
「でも、笑顔だな」
「また~シちゃう~~……あ」
「や~ん、おっぱい触ろうとしたら叩かれたなり~」
『ほう、これがいわゆる『待て』……お預けというやつか』
様々な声が夢の中で聞こえるが、幸せすぎて聞こえない。
爆睡って最高だなあぁ────。