異世界を駆ける
姉御
番外編*キスシリーズ「腹」
*エジェアウィン視点
「また、てめーは……」
「おお、アウィン! お疲れ、来てたのか」
夜も遅い時間。一人、礼拝堂の椅子に腰を掛けていると、風呂上がりの女がやってきた。同じ台詞を返すことよりも先に呆れるのは、相変わらず短パンは穿いてるのに上半身は裸。ギリ、バスタオルで胸が隠れている程度。
既に諦めているオレは溜め息を付きながら前を向き直し、持っていた書類に目を通す。すると、後ろから覗き込まれた。
「アウィンが書類してるだと!?」
「どういう意味だゴラアアァーーっぶ!?」
勢いよくツッコミながら振り向くが、デカイ胸に顔が埋まった。
慌てて離れようとするも、笑顔の女に抱きしめられ、わしゃわしゃと頭を撫でられる。
「そうかそうか、お疲れアウィンと風呂に入らねばならぬな!」
「なんでそうなる! つーか、オレは仕事中!! 夜勤なんだよ!!!」
「0時には寝る、良い子ちゃんの貴様が?」
「うっせーな! オレは団長だぞ!? 出来るに決まってんだろ!!! つ、月二ぐらい……」
息巻いていたはずが最後落ちる。
早く寝ろという実家の習慣が染み付いているせいか、オレは夜更かしが出来ない。さすがに警報が鳴れば反射で起きるが、ぶっちゃけ今、眠い。
当然、ミレンジェどころか団員全員が知っているのもあり、夜勤は月に二、三度。反論しても、女みたいに微笑ましい顔をされるだけだ。
息だけでも確保しようと顔を上げると、ふと女が呟く。
「夜勤なら騎舎にいるべきじゃないのか? それとも教会(ここ)担当か?」
「別に……来たかっただけだ」
そっけない返事に女は首を傾げる。
さほど距離がないとはいえ、普通団長なら騎舎にいるべきだ。うるせー団員もいるから、寝たいのに寝れない、ありがた迷惑だろう。こんな静かな教会にいる方がおかしい。けど。
「帰ってきたくなるんだよ」
「ん……ひゃっ!?」
胸から下に顔を下げると、腹に──キスを落とした。
正確には『臍』で、苦手な女は大袈裟なほど跳ねる。
ニヤリと口角を上げると、両腕でしっかり抱きしめ、舌先で何度も臍を舐めた。
「っあ、ああ! アウィン、やめ、やめええぇっ!!」
「んな格好すんなって……ん、聞かねーお前が悪いんだよ」
いつもの自信や強気など欠片もない女が涙目で暴れる。
滅多に見れない表情に内心笑うが、膝から崩れはじめた。慌てて抱き上げると、後ろから抱きしめるように膝に乗せる。息を乱しながらも、キッと睨む女と目が合った。
「き~さ~ま~な~!」
「へーへー、わるーござんしたね」
「ひゃっ! お、思ってないだろんんっ!!」
棒読みで謝罪しながら臍を突く。
当然、両手でガードされるが、ノーガードの乳房を鷲掴みにした。バスタオルも書類も落ち、晒されるのは大きく重量のある乳房。指を沈めるように揉み込むと、女からは吐息が漏れる。
「ん、ふ……ん」
だが、すぐに手で口元を押さえたため、両乳首を引っ張る。
「んんん゛ーーっ!」
「往生際が悪いな……なんで堪えてんだよ」
両乳首を引っ張っては指先で捏ねるが、女は必死に口を押さえている。小首を傾げるオレに、また睨みが向けられた。
「かみしゃまんがみとんじゃろ!」
「は? 神様?」
くぐもった声をなんとか理解すると顔を上げる。
オレ達の目の前にあるのは祭壇と十字架。室内は月光を取り込んだステンドグラスが輝き、まるで『我は神なり』と、何かが光臨しそうな雰囲気だ。が。
「っはははは! 神様が見てるってっははは!!」
「き、貴様、神を冒涜する気んっ!?」
大笑いするオレに、女は真っ赤な顔を向ける。咄嗟に口付けた。
それは軽くするだけで、睨み続けている女を抱きしめると十字架を見つめる。
「神が見てんなら上等。そんだけおめーが……ヒナタが好きだって見せつけられるだろ」
気恥ずかしく笑うオレに女……ヒナタは目を丸くする。
だが、徐々に顔を真っ赤にさせると肩に寄り掛かり、頬ずりした。オレも頬ずりを返すが、意地悪く囁く。
「つーか、神が見てるとか言い訳にしか聞こえねーけどな」
「う、うるさ……ん、貴様こそ……言い訳じゃないのか?」
指で挟んだ両乳首を引っ張っていると、ヒナタが身体を左右に揺らす。
尻に刺激されるのはデカくなっていた自分のモノ。ゆっくりと顔を逸らすが、ニンマリと笑うヒナタに息を吐くと口付けを交わす。そのまま互いのズボンを下ろすと、蜜を零す秘部に先走りを滲ませる肉棒を押し込んだ。
「あ、ああぁぁ……熱い……もっと」
「てっめ、自分で奥に……っあ!」
自分で腰を動かすヒナタに合わせて突き上げる。
「は、あ、ああぁ!」
「ほら……もっと神様に……見せつけろよ」
「あああ゛あ゛ぁぁーーーーっっ!!!」
椅子に寝転がっても打ち続ける音と嬌声がどこまでも響く。
憧れのヒーローが住み、いろんなことを学んだ教会。団長になっても自然と足を運び、今じゃひょっこり迎えてくれる姫君(プリンセス)もいる──回帰の場所だ。
「アウィン、警報だ! 行くぞっ!!」
「なんでお前が行くんだよおおおぉぉーーーーっっ!!!」
神様に見せつけているのは愛する姫君(ラブ・プリンセス)じゃなくて、第二のヒーローかもしれねー……────。