異世界を駆ける
姉御
番外編*キスシリーズ「首筋」
*カレスティージ視点
暑い。熱い。厚い。
そう思っていると勢いよく両手を引っ張られ、眩しい世界が広がった。突然のことに顔を顰めるが、目に映る女性に笑みが零れる。
「ヒナさ……ん」
「引っこ抜くぞー」
笑顔のボクとは違い、浴衣姿のヒナさんはどこか呆れている。
次いでカブを抜くかのように、山積みとなったクッションから救助された。座り込んだ彼女の元まで這うと、力ない両手を腰に回し、膝に顔を埋める。大好きな匂いに頬が緩んでいると、用意していたのであろう冷えたタオルで汗を拭き取られた。
「まったく、こんなに汗かいて……熱中症になるぞ」
「昨日……涼しかった」
「それは夜だからだ。そもそも息苦しいだろ」
「息苦しい方が……生きてる感あります」
「そんなチャレンジはせんでよろしい」
「あぅ……」
溜め息混じりに引っ張られる頬はいつもより痛い。
本当に怒っているのだとわかり、小声で『ごめんなさい』と謝罪すると、ヒナさんは満足そうに頷いた。それから良い子良い子とボクの頭を撫でながら、また汗を拭き取る。
その心地良さに両手を伸ばすと、応じるように頭を下げた彼女の首に絡ませた。頬を合わせると熱い。
「ヒナさんも……暑いの?」
「そりゃ、私は暑がりだからな。出来るなら真っ裸になりたいんっ!」
「ダーメ」
首筋に噛みつくと、ヒナさんの身体が大袈裟なほど跳ねる。
構わず噛んだ痕を舐めながら浴衣の帯を緩め、襟を開くと、肌着もしていない大きな乳房が露になった。その肌には汗がしたたり、舌先で舐め取る。
「ん、スティ……」
「じゃ……ボクが冷やしてあげますね」
両手を腰に回すと、他の汗を舐め取る。
くすぐったいのか舌が冷たいからなのか、身じろぐヒナさんを押さえるように抱きしめると、赤く尖った胸の先端に舌を絡ませた。
「あぁ……!」
ビクリと反応する身体と一緒に甘い吐息が零れ、先端も勃ち上がる。
チロチロ舐めたり甘噛みして味わっていると、震える両手がボクの頭を押さえた。視線を上げれば顔を真っ赤にさせたヒナさんが映り、くすりと笑う。
「ダーメ……じっとしてて」
「あ、スティ……」
落ちていたタオルで彼女の両手を縛ると、散らばったクッションの上に寝転がす。大きく開かれた襟からは胸やショーツの他、汗とは違う染みも丸見えだ。
乳房を揉みながらショーツをズラすと、秘部から溢れている蜜を舐める。
「ああっ……!」
「ん、熱い……冷やさなきゃ」
身体以上に熱く、汗よりも零れている蜜を舐め取る。
胸の先端も一緒に弄れば蜜も増え、舌を速く動かし、逃れようとする蜜は吸い上げた。
「ふあ、あっ、ああぁ……そこダメえぇ」
「ダーメ」
「ああぁぁンン!」
秘芽を重点的に責めれば嬌声が高まり、少しだけ腰が浮いた。
イったのだとわかるが、全部の蜜を舐め取るまで舌を引っ込めない。チロチロと舐める度に、イった身体は敏感に反応し、息を乱すヒナさんの声が聞こえた。
「スティ……もういい……」
「ダーメ……まだ残ってる、ん」
「そんなのに……あん、執着するな……」
「執着……」
その名に舌先が止まり、身体を起こすと跨る。
頬を真っ赤に染めたヒナさんは虚ろな目で見上げ、ボクは口角を上げた。
「執着するよ……ヒナさんだから」
「は……ん!」
漆黒の瞳が丸くなったのを横目にキスを落とす──首筋に。
白い肌も、赤くなった痕も、流れる汗も、乱れる息も、溢れる蜜も、ボクだけを映す瞳も、すべてが“ヒナさん”。ボクを執着させる存在。
「好き……大好き」
「スティ……ん」
囁きながらまた首筋に、そして唇へとキスをする。
最初は重ねるだけ。次第に深く長く交わし、着物を脱ぎ捨てると両脚を持ち上げる。真新しい蜜を零す秘部に肉棒の先端を宛がえば、ヒナさんの瞳が欲情に変わった。
それだけで先走りが滲み、前髪を掻き上げると笑みを浮かべた。
「いっぱい……愛してあげるね?」
「ぅん……あ、ああぁぁあっ!」
返された微笑に、勢いよく挿入する。
熱く厚い肉壁に挟まれた肉棒は悦ぶように硬さと痛みを増し、同じ快楽を与えようと腰を打った。
「ひゃ、あっ、ああぁぁ!」
「ああ……また汗がいっぱい……舐めなきゃ」
「ああぁン!」
打ち続けながら乳房や首筋の汗を舐め取る。
しょっぱいはずなのに不思議と甘みがあり、口付けを交わせばさらに美味しくなった。もっともっとと腰を速める。
「ああぁン……スティ、だめ……気持ちンン!」
「ん、良いよ……いっぱい出して……ヒナさんのモノなら全部好き」
「あああ゛あ゛あぁぁっっ!!!」
噴出す愛液と白濁よりも互いに散らす汗が綺麗で、拭うことも舐めることもなく、また愛を刻みはじめた──。
「「ぶえっくしゅ!」」
「汗も拭かず寝たからですえ」
寒気がするボクとヒナさんは黒ウサギを真ん中に抱き合うが、チェリミュ様に離された。
風邪だけは愛せないかもしれない────。