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破線サークル
フラワーアレンジメント1

​ 世界を駆ける

   

番外編*キスシリーズ「耳」

*ラガーベルッカ視点

 いつもと変わらない読書。
 静寂が包む書庫にはパラリパラリとページを捲る音だけが響く。だが、物語に没頭しだすと聞こえなくなった。安らかな一時のはじまり──。


 

「おや?」

 

 読み終えた私は何時間振りかに顔を上げる。と、何やら左側が重い。
 上から本でも落ちてきたのだろうかと見ると、一瞬目を丸くし、笑みを零した。

 

「いつからいらっしゃったのか」

 

 弾む声が小さいのは起こさないため。
 むにゃむにゃと可愛い寝息を零しながら腕に寄り掛かっているのはヒナタさん。
 ハリセンで叩かれた覚えはないので、珍しく『気付くのを待ってみよう』を実施したが気付いてもらえず寝てしまった……と、いったところでしょうか。

 

 申し訳ないと思いつつ、気付かない私に頬を膨らませ、やはり叩いてやろうかと構えては堪えているのを想像すると楽しくなります。まあ、ここで起こしたらツンッとそっぽを向きながら『知らん』と言われそうなので、起こさないようそっと耳元に顔を寄せると囁いた。

 

「ヒナタさん」
「んっ……」

 

 小声だったのに、ピクリと動いたばかりか吐息が漏れた。でも起きる気配はなく、また囁く。

 

「可愛いですね」
「ん、んん~?」

 

 吐息が呻きに変わったばかりか、眉間に皺が寄った。
 笑いを堪えるように口元に手を寄せるが、やはり起きない。こんなにも寝起きが悪い方だっただろうかと思うが、面白さが勝ってしまい、三度(みたび)囁いた。

「ヒナタさんはいつも可愛いですね」
「んん゛ー!」
「ったたた」

 

 『可愛い』と言われるのが苦手なせいか、小さな頭突きを食らう。
 本当は起きているのではと思うが、満足したような顔をするとまた寝息を零した。ここまでくると感心よりも『どこまでしたら起きるのか』が勝り、手袋を外すと後ろから抱きしめる。

 

 そして、耳に──キスを落とした。

 

「ヒナタさん」
「ん……」
「シちゃいますよ?」

 

 小さなリップ音と囁きにピクリと反応はするも、目は開かない。耳朶を舐めながら服越しにブラジャーをズラすと揉み込む。

 

「あ……」
「どちらも柔らかく、良い形をしていますね」

 

 舌先で耳を、指先で乳輪をなぞる。
 次第にヒナタさんの吐息は荒くなり、服の上からでもわかるほど勃ち上がっている先端にくすりと笑うと囁いた。

 

「厭らしくて可愛い」
「っあああぁぁン!」

 

 耳朶を食(は)むと同時に搾るように乳房を握る。
 さすがに刺激が強すぎたのか嬌声が響き渡り、息を荒げながらぐったりと前のめりになっていたヒナタさんが振り向いた。

「何すンンンっ!」

 

 いつも通りの行動に私も口付けで塞ぐ。
 身じろぐ身体を片腕で、片手で頭を固定すると深くなった。抵抗が弱まると唇も僅かに開き、舌を挿し込めば絡み返してくれる。吐息と水音がどこまでも木霊し、大きなリップ音と共に唇が離れた。
 頬を赤く染めたまま呼吸を整える彼女と向かい合わせで寝転ぶと微笑む。

 

「可愛い舌と声をありが「やかましいいいいぃぃぃーーーーっっ!!!」

 

 寝起きでも素晴らしい怒声と暴れ具合に拍手を贈りたくなる。
 けれど、ここで離したらハリセン連打がくるので股間に手を挿し込んだ。ビクリと身体を揺らしたヒナタさんは睨むが、構わず上下に動かす。

 

「ん……こら」
「撫でてるだけですよ」
「どこがだ……っ」

 

 文句を言いながらも頬の赤さを隠すように俯けになったヒナタさん。
 今度は後ろからズボンに手を潜らせ、お尻を撫でる。左右に振る様子に、また耳元で囁いた。

 

「ふりふりと、お尻が可愛いダンスしてますよ」
「う、うるさい……ンンっ」
「おや? 今度はトロトロの蜜が零れてきましたね……舐めたいです」
「ダーメんんっ!」

 

 嫌いなウサギの口癖に指をニ本、秘部へと沈める。
 抜き挿しを繰り返せば水音と一緒に愛液が零れ、ぎゅっとナカが締まった。でも、隙間があることに囁く。

 

「まだまだ余裕があるので、三本……四本にしましょうか」
「そんなに入るかっ……んん!」
「入るでしょ? いつも嬉しそうに咥え込んでいるじゃないですか……私のを」

 

 耳朶を舐めながらヒナタさんの手を掴むと、自分のモノを握らせる。
 気付いたように振り向いた彼女はパクパクと可愛い口を震わせるが、畳み掛けるように囁いた。

 

「指四本と私の大きいモノ、どちらが良いですか?」

 

 耳孔を舐めながら指を抜き挿しさせる。
 それでも喘ぐヒナタさんの答えはなく、指を一本に減らした。すると、ぎゅっと股間のモノを握られる。発情したような目で見つめる彼女は声を振り絞りながら命令した。

 

「ベルの……欲し……挿入(いれ)て……」
「……はい──愛する姫君(リーベ・プリンツェッシン)」

 微笑むと口付ける。誘惑をもたらす耳に。
 自身を相手を誘うのは言葉か性欲か。答えはなくとも、姫君の命令は絶対。ズボンとショーツも下ろされ、腰を突き上げた彼女のお尻。秘部から溢れるばかりの蜜を、熱く硬く膨れ上がったモノに絡ませると、勢いよく挿入した。

 

「あ、あ゛、あああぁっっ!!!」

 

 歓喜の声に両手で腰を持ち、大きく腰を打つ。
 先ほどとは比べものにならないほどの喘ぎと水音が響き、愛液が床に散る。

 

「ああ……イいですね……可愛くて厭らしい……もっとお願いします」
「バッカああぁぁンンっ!」

 

 羞恥が高まれば高まるほど締め付けは強くなり、押し負けないよう掻き混ぜた。

 

「ああン……そこダメんんっっ!」
「ああ、ここがお好きなんですね……どうぞ……!」
「あ、あああぁぁーーーーっっ!!!」

 

 捻じ込むように突き上げれば、嬌声と共に快楽が全身を支配した──。


 

「ああもう、床がびちゃびちゃじゃないか……」
「可愛く乱れたヒナタさんの蜜だと思えば愛しく「黙って掃除しろおおおぉぉーーーーっっ!!!」


 今日一番の悲鳴とハリセンが響き渡るのもまた安らかな一時ですね────。

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