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破線サークル
フラワーアレンジメント1

​ 世界を駆ける

   

番外編*仏よりも

「キリストと仏……夢のコラボか」
「あん?」

 

 アウィンと肩車されている娘が小首を傾げる中、私は頷く。
 年も明けた昼過ぎ。木々と大勢の人に囲まれたここは、真っ赤な鳥居が建つ、ドラバイト神社。はじめて南に訪れた時、田園風景にそぐわぬ教会に神社にしろよとツッコンだ記憶があるが、実は本当にあったらしい。

 

 しかも鳥居の中央、額束には十字架が埋め込まれている。

 ここは神社なのか、教会なのか、どっちなんだ!?
 

 そんな新年最初のツッコミをしながら初詣を終えた──。

 


* * *

 


「ああ、元は教会が神社だったんだよ。けど、魔物に潰されちまって、離れた場所(ここ)に新しく建てたんだ。その設計者が創ってみたいとかで出来たのが今の教会で、トルリット国の初代王にもなったって聞いたぜ」
「つまり十字架はサインみたいなものか」

 

 トルリットの旗は十字架。そして、ユフィ城と教会の形はそっくり。つまるところ、キリスト関係ないんかい。
 人混みから離れた境内にある大きな木の下で私は溜め息を吐くが、律儀に答えてくれたアウィンの頭を撫でた。

「っだだだ! 何すんだよっ!!」
「いやいや、ちゃんと勉強してて偉いなあって」
「全然思ってねーだろ!」
「わっと!」

 

 お気に召さなかったのか、後ろから抱きしめられる。
 だが、頬同士が当たると熱い。それが自分の熱ではないとわかり、ついニヤケてしまうと睨まれた。

 

「んだよ?」
「い、いや何もっ!?」

 

 さらに不機嫌にさせてしまったのか、下から両手を入れられる。
 今日は裾の長いポンチョ、しかも覆い茂った木々のせいかおかげか、教会の子供達と遊ぶ娘は気付いていないようだ。それを良いことに、手袋をしていないナマのアウィンの両手が下着越しに胸を揉む。

 

あったけーな」

「ちょ、ここで……あ、冷たっ」

 

 下着に隠れていた乳房を掬った両手はとても冷たい。
 谷間に指先が沈めば暖めるように揉み込まれるが、動きはゆっくりだ。徐々に息が乱れる私に、アウィンは耳元で囁く。

「ヒナタについても、だいぶん勉強したからな」
「わ、わざとか……」

 

 キっと睨めば『知らねー』と、そっぽ向かれる。
 だが、その口元には笑みがあり、遊んでいるのが、焦らされているのがわかった。指先は決して先端を弄ろうとはしないが、時折ツンっと擦る程度の刺激を与えられ、腰をくねらせる。

 

「これは気持ち良くなってきた証拠だな」
「ち、違……あんっ!」

 

 くすくすと笑う声に反論すると、胸の先端を摘まれた。両方同時に。そのまま先端を引っ張っては指先で弄られ、下腹部から快楽が駆け上ってくる。

 

「あ……あぁ」
「やっと触ってもらえて気持ち良すぎるってとこか」
「バ、バカあ……」

 

 わざわざ解説され文句を言うが、足元がよろつき、アウィンに寄り掛かってしまった。

 

「っと!」

 

 慌てて胸から腰に腕が移る。
 咄嗟に私も支えのようにアウィンの脚を握ったつもりだったが、なんか手触りが違う。でもよく知っている堅さに恐る恐る見下ろせば、ドンピシャ男のモノだった。顔を伏せている彼に、ゆっくりとソレを捏ねる。

「っ、てっめー……!」
「むふふ、堅いということは貴様も気持ち良いということ……だな?」

 

 解説返ししながら扱くと、数分前の私のようにアウィンの顔が赤くなる。
 幸い彼も今日は裾の長いポンチョを着ているし、自分の身体で隠せば見えないはず。なのに、苦痛で歪んでくる表情に眉を落とした。

 

「アウィン……怖いぞ」
「も、元からこんな顔……っだ」
「そうか? いつもは天真爛漫のイケメンだと思う……っひゃ!」

 

 後ろからズボンの中に手が入り込むと、お尻を通り過ぎた指が秘部に挿し込まれる。

 

「っああぁん……アウィ……そこは」

 

 さすがにマズイと振り向くが、彼の顔はさっき以上に真っ赤。
 伝染するように私も頬が熱くなっていると『母ちゃーん、父ちゃーん!』と娘に呼ばれ、身体が強張る。ぎゅっと締めつけられたナカに、アウィンは呻き、私も蜜を零した。

 

 必死に顔を上げれば、無邪気に両手を振っている愛娘。
 応えるように手を振り返す。捏ねている手とは反対の手で。娘は気付くことなく駆けっこをはじめたが、走っていない私は熱い。それは乳房を揉むアウィンの手も一緒なのに、どこか意地悪な声で言われた。

「そろそろ……イきたいって……言う頃じゃねーの?」
「き、貴様こそ……違うのかああんっ!」

 

 負けぬよう意地の悪い笑みを返すが、ナカの指を速く動かされる。
 さらにかき回され、愛液が溢れてくる感覚に陥った。手で口元を押さえる私に、アウィンはふっと笑う。

「キスじゃねーのか?」
「んんっ……!」

 

 いつもなら、この辺りで振り向いて口付けで声を止める。
 わ
かっているからこそ囁いた。わかっているからこそ振り向かなかった。自分を褒めるべきなのに、アウィンはどこか勝ち誇ったような顔をしている。乳房を揉む手とナカの指が速まる度に陥落しつつあると、わかっているし知っているからだ。

 そして、ダメだとわかっているのに私の口は動いてしまう。

 

「アウィ……んっ」

 

 顔を寄せると、呼び終わる前に口付けられた。
 唇を重ね、舌を絡ませ、熱い吐息を唾液を行き来させる。待っていたと白状するように彼も荒く優しく愛らしい口付けを返した。それを何度か交わし離れたように、秘部からも指が抜かれ、娘達から見えないよう木の後ろに連れて行かれる。

 

 背中を木に預けた私の目前には深い木々。
 だが今は下着ごとズボンを下ろす男の姿にドキドキしていた。秘部とショーツに糸が引かれているのを見て顔が真っ赤になるが、両手で脚を掴んだアウィンが舌先で切ると、ちゅうっと吸い上げた。

 

「あっああンンっ!」

 

 声が聞こえないよう結界が張られているのを知っているせいか、堪える気もない喘ぎを出す。それをさらに響かせようと、アウィンは秘芽を舌で嬲ったり、指も挿し込んだ。

「はあっ……ああぁ……そこダメ……っ」
「ダメは……んっ、イいとこ……」
「あああぁぁぁっ!」

 

 知っていると、舌も指も動きが速くなる。
 アウィンの頭に両手を置いても、もっととねだるように股へ押し込んでしまい、叶えるように吸い上げられた。

「ひゃあああぁぁっ!!!」

 

 歓喜に震えていた身体が一瞬で動きを止めると、力を失ったように落ちる。
 優しい両手が抱き留め、荒い息を吐く唇に口付けが落ちた。そのまま草の上に座らされるが、大きく股を開かされる。ドロドロと零れる熱い愛液に冷たい風が触れ、ビクビクと腰を揺らす。

 

「ああっ……アウィン……早く……」
「ったく、一度イくと我侭だよなー」
「わ、わかっててやってるヤツに……言われたくないぞ……あん」

 

 不貞腐れたように言うと、愛液を塞ぐモノの先端が食い込む。身震いする私に、頬を撫でるアウィンは照れくさそうに笑った。

 

「そうやってねだるヒナタが一番かわいいんだから……しょうがねーだろ」
「バッカ……!」

 

 充分な殺し文句に全身が熱くなると、それ以上の熱いモノに貫かれた。
 腰を突き上げ、奥へと進むモノ。受け入れるように自分から股を開けば、気持ち良いところを突き続ける。

 

「あっ、あっ、あっ……そこイい……気持ちイい……」
「あとっ……こっちだろ」
「ひゃあ、あああぁぁっ……!」

 

 どこがイいのか、どうすればイいのか知っている男は遠慮なく腰を動かし、私も素直な嬌声を上げた。止まらない愛液が、外に晒された乳房から搾られた白いミルクが草木にかかる。
 目の端に赤い鳥居が見えても、神聖な場だとわかっていても、最奥に到達した飛沫に酔いしれた。仏以上に自分を知る旦那に叶うことはない。

 


 しかし、仏や子供達にバレなくても、一緒にきていた眼鏡女子にはバレバレだったらしい。軽蔑するような目で見られた私は、アウィンに泣きついた。

「うわああ~ん、眼鏡女子に嫌われる~! アウィン、機嫌良くする方法を教えろ!!」
「知らねーよ! つーか、アイツに好まれなくてもいいだろ!?」
「嫌だ~私は眼鏡女子を愛しているんだ~!」
「旦那を前に言うなっ!!!」

 

 まさかの新年から夫婦喧嘩が勃発。
 だが、律儀な旦那が『女性の扱い方について』などのハウツー本を読み漁り、アドバイスをくれたおかげで眼鏡女子との仲が元に戻った。

 私らがアホすぎて怒る気も失せたと言われたのは気のせいだろう────。

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