異世界を駆ける
姉御
番外編*入院者
*エジェアウィン&ヒューゲバロンと
窓から心地良い風が吹くと白のカーテンが揺れ、肌も髪も涼しくなる。うむ、気持ち良いな~。
「何が気持ち良いだ! 騙しやがって!! てめー、後で覚えとけよ!!!」
「ヒーちゃん~酷い~~」
「コルッテオ様、クロッバズ様、第二診療室にお入りくださ~い」
「ほらほら、ちゃんと後で約束の“デート”してやるから行って来い」
「「い~や~だ~~!!!」」
大人気ないアウィンとバロンの首根っこを掴むと診療室に放り投げ、ドアを閉めた。周りが唖然と私を見るが、気にせずキッズルームの子供達と静かに遊ぶ。
ここはドラバイトにある診療所『あおぞら』。
魔王にヤられて以降みんなが検診に来ないの。と、困ったジェビィさんに頼まれ、各街の診療所まで連中を引っ張って来ているのだ。
フィーラは病院嫌いではないのだが時間を忘れていたらしくハリセンで叩き、ベルは読書中動かないのを良いことに数人で持ち上げ担架で搬送。スティはコアラ抱っこで連れて行ったが中々離れてくれず、イズはお菓子で釣り上げた。
そしてバロンにはデートへ行こうと誘い出し、アウィンには“あおぞら”で待ち合わせと現在に至る。うむ、任務完了だ。
「って~ヒーちゃん~何~してるの~~?」
「見てわからんか?」
「わかんねーから聞いてんだろ」
「お医者さんごっこだ」
夕刻、疲れた様子で出てきた二人。
対して笑顔の私は胸下まで上着を捲り、女の子が持つクマのヌイグルミの手がお腹に触れていた。女の子の“お医者さん”は難しい顔をしながら“患者(私)”に診断結果を言う。
「む~、これは入院でしゅね」
「にゅ、入院ですか!?」
「あい。おなかぐるぴー病でしゅ」
「腹痛かよ」
「む、言われてみれば腹の調子が……」
「ヒーちゃん~ノリ~良すぎ~~」
呆れる二人に構わず腹を押さえていると、診察を終えた親御さんがやってくる。立ち上がった女の子はお母さんと手を繋ぐと、反対の手を振りながら院を後にした。どうやら今日の診察は終わりらしく客も私達しかいない。
それなら帰ろうと、上げていた服を下ろす──前に、後ろから伸びてきた手に臍を押された。
「ひゃっ!」
当然押したのはアウィンで、膝を折った彼に抱きしめられる。振り向くと口付けられた。
「んっ、アウィ……あっ!」
片手は頭を固定し、片手は臍を突く。
身じろぐが敵うはずもなく、口内に舌が入り込むと応えるように舌を絡ませた。ハチマキをしていないアウィンもどこか嬉しそうに応えるが、後ろで“じー”と見つめるバロンと目が合う。
固まった私に、唇を離したアウィンは振り向くと片眉を上げた。
「んだよ、ヒューゲ」
「いや~エーちゃんも~場所~考えないな~って~~」
「他の三人よりマシだ。第一“後で覚えとけ”つったし……つーか、その口調やめろよ」
溜め息をつくアウィンにバロンは一瞬金色の瞳を開くが、口元に弧を描くと後ろを向いた。
「ま……キミら二人ならね。アウィン、ヒナタちゃん連れてこっちおいで」
「へーい」
「え、ちょっ、わ!!!」
口調を変えたバロンに返事したアウィンは私を横抱きする。
慌てて彼の首に腕を回すとバロンは院長に何かを断って奥へ進んだ。アウィンも続くが、嫌な予感しかしない──。
* * *
予感は的中した。
日が暮れた外とは違い、灯りの点った室内でパープルのパジャマを着た私は白のベッドに座っている。しかしベッドはベッドでも病院のベッド! しかも目の前には白衣を着たニコニコの男が二人!! ヤブ医者にしか見えん!!!
「先生、この患者さん押し倒していいっスか?」
「うん、いいよ」
「ちょおおっっ!!!」
慌てて拒否するが、タンクトップの上に白衣を着たアウィンに両手を掴まれると、柔らかいベッドに押し倒される。目の前にはアウィンの顔。
「ちょ、な……なんなんだ」
「んー? だっておめー“入院”って診断されたじゃねーか」
「は……いや、あれは遊びで……あっ!」
肩に顔を埋め、首筋を舐めるアウィンの髪が頬をくすぐると、開いた股間に手が潜る。その手はベッドに座ったバロンのもので、服越しに擦りながら片手は私の頬を撫でた。
「お医者さんの診断は聞くものだよ。あ、腹痛なんだから、あまり動いちゃダメだからね」
「む、無茶をいうぅぅっ!」
バロンの長い指が口に挿し込まれ、耳朶を舐めるアウィンの手がパジャマボタンを外す。『腹痛』の診断通り臍の一個上で外すのを止めるが、白のブラが丸見えになる。隠したくとも両手は頭上でアウィンに捕まっていて何も出来ない。
羞恥で顔を赤める私をバロンは楽しそうに見ながら口から指を抜くと、胸の谷間に挿し込んだ。
「っ!」
「さすがヒナタちゃん。これだけじゃ動じないね」
「ああぁ!」
「口と行動が合ってねーぞ」
呆れるアウィンの通り、谷間で指を回すバロンは別の指をブラに潜り込ませ、乳首を弄っている。捻られ引っ張られる上に股の手も速い。
「っあ……バロ……ン」
「“先生”でしょ? ヒナタちゃん」
「ヒューゲもノリ良すぎだろ……んで、おめーは感じすぎ」
喉を鳴らしながら笑うアウィンは頬に口付けると、バロンが弄るのとは反対の胸を揉む。そしてバロンのせいでツンと尖っていた先端を押した。
「ひゃあっんん!」
喘ぎはミントグリーンの髪を後ろでまとめたバロンの唇で塞がれた。冷たい眼鏡のフレームが当たる中、アウィンとは違う舌が口内に差し込まれ、唾液が混じる。
「んっ、息が荒いし……口内も熱いね」
「こっちも……ん、熱ぃな」
「ああ……っん」
口付けるバロンの横でアウィンは胸の先端に吸い付くと“ちゅっちゅ”と音を鳴らす。診断通り全身が熱く、荒い息と喘ぎしか出せないでいると、唇を離したバロンが下唇から垂れた唾液を舐め取った。大きく身体が跳ねる。
「あーあ、動いちまったな」
「す、すま……ん」
「イけない子だね……異常ないか診察し直さないと」
「へーい」
含みのある笑みを浮かべるバロンの声にアウィンも先端を舐めながら答える。
現団長のアウィンより、元団長のバロンが強く見えるのはどの世界にも上下関係がある証拠か。そんなことを考えている内に靴を脱ぎ、ベッドに乗ったアウィンが私の腰を上げるとバロンがズボンを脱がす。息ぴったし!?
「ちょちょちょ! 何をする!!」
「「診察」」
ハモった声と笑みに背筋に悪寒が走った。
心臓が嫌な音を鳴らしながら上体を起こされた私はアウィンの胸板に背を預けるが、彼の両手で太腿を開かされる。その間を床に膝を折ったバロンが見つめ指で突いた。
「っひゃ!」
「どっすか、先生?」
「ん~……すごく濡れてる。こ~う、シミがね」
「ああっ!」
指が濡れた箇所をなぞるように進む。
それだけでゾクゾクし、さらにアウィンが肩やうなじを舐めると愛液が増した。バロンの口元に弧が描かれる。
「シミ増えたね。なーんでかな?」
「し、知りま……せんっ!」
「息も上がってきたみてーだし、そのシミが悪いもんかもよ?」
「それはいけないね。コレが何か突き止めないと……ん」
「あっ!」
意地悪なアウィンの指摘に笑ったバロンは、ショーツ越しに秘部を舐める。布と舌が秘部と秘芽に当たる刺激にゾクゾクが止まらない。
「こーら、動くなって」
「だっ……んっ、あ」
太腿を持つ役目がバロンに替わったせいか、アウィンは口付けながら両胸を揉みしだく。いつもより速くて荒い。
「あっあん……あぁっ!」
「んー……増すばかりで止まらないね。止まらないとジックリ診察出来ないのに……指で止めてみようか」
「あああっ!」
ショーツの隙間から長い指を一本膣内に挿入され、掻き混ぜられる。“ぐちゅぐちゅ”と卑猥な音に全身が熱くなると、後ろにいたアウィンが退き、私はまたベッドに沈んだ。
冷たいベッドに一瞬身体は冷えるが、バロンの指は止まらない。忙しなく呼吸する私の横でアウィンはズボンを脱ぐと、上を向いた肉棒の先端を私の口元に寄せた。
「ちょっ……アウィン……」
「水分取っておかねーと干乾びるからな」
「す……水分って……あっ」
「僕はこっちで取らせてもらうよ」
アウィンに手を取られ肉棒を掴まされると白液が垂れる。指を抜いたバロンは舌を出すとまたショーツの隙間から這って愛液を舐めた。布越しではない直の舌に、比べ物にならない刺激が伝わってくるが、アウィンの手で顔を横に向けられると肉棒を口に挿し込まれる。
「んぐっ……んっ」
「声を上げるにはっ……喉を潤しておかねーと……なっ」
アウィンの呻きも聞こえるが、口内に流れる白液と秘部を舐められる快楽に何もわからなくなる。が、途中で下腹部の刺激が変わった。舌ではない、最初の布越しと同じだが指より大きいモノで擦られている感じ。
両手で肉棒を擦り、咥えたまま視線を落とすと、ショーツ越しに肉棒を宛がうバロンの姿があった。
「ち゛ょっ……ん、バド……ン」
「舌でも止まらなかったから、それ以上ので止めないとね」
「ショーツ越しですんのかよ……っ」
「や……ダメ……外してからああぁぁぁーーーーっっ!!!」
私とアウィンの制止も聞かず、ショーツと共に肉棒が挿入される。が、さすがに半分も入らない。それでも擦る男の刺激にアウィンの肉棒から口を離すと楽し気な声が聞こえた。
「濡れたショーツが~ナカに入ると~……どんな気分?」
「やああぁあっ……ダメダメ……嫌い……だ」
「……ヒューゲ、あんま泣かすなよ」
「エーちゃん~僕の属性~忘れちゃ~ダメだよ~~」
Sの笑みに涙目になっていると、溜め息を吐いたアウィンに口付けられる。優しい口付けに両手を首に回していると生の肉棒が膣内に挿入った。
「ひゃああぁぁあーーーーっっ!!!」
「ヒューゲ……」
「ごめんね。嬉しそうな表情見ると啼かしたくなるんだよ……ねっ!」
「あああ゛あ゛ぁぁっ!」
膣内で熱いモノが噴き出し世界が真っ白になるが、抜いたバロンに説教を食らわすアウィンの声に瞼を開く。と、目が合い、頭をかいたアウィンは私を俯けにさせると腰を持ち、白液で濡れた秘部に肉棒を宛がった。
「ああっ……アウィン」
「俺は優しいから挿入させろ」
「逆ギレだ~~」
「うっせーよ!」
「っあああぁぁーーーー!!!」
前からとは違う快楽が襲うが、宣言通り揺す振る速度は遅く、意識を飛ばすことはない。だが、喘ぎを漏らす私の目前に座ったバロンに耳朶を舐められ口を開くと肉棒を咥えさせられた。
「んんっ……ンっ」
「てっめー……ヒナタ、そいつの思いっ切り噛んでやれ」
「今のヒナタちゃんは……揺す振ってるキミの震動でしか……ん、口は動かせてないから全然痛くないよ……噛むならもう少し……っ早めることだね」
意地の悪い声にアウィンは眉を上げるが実際その通り。だが、それ以前に私がダメだ……。
「アフィン……」
「マフィンに聞こえっけど、んだよ」
バロンのを咥えたままなんだから仕方ないだろ、なんてツッコむ元気はないが、頬を赤く染めると躊躇いがちに呟いた。
「もっちょ……激しく……してくれ」
その願いに二人は沈黙。膣内に入った肉棒すら止まった。
先ほどのバロンのが強すぎて、ぶっちゃけ──足りない。
そんな私の思考が読めたのかバロンは大爆笑するとアウィンは強く腰を持ち、叫んだ。
「ドM病かよ----っっ!!!」
「ふああぁぁーーあ゛あ゛あ゛っっっ!!!」
「うわあああぁぁあーーーーっっっ!!!」
診断結果が下されると同時に私の喘ぎとバロンの悲鳴が響いた──。
* * *
翌日、裸体のまま寝たのがいけなかったのか、風邪を引いてしまった私達は本当に入院した。
フルーツセットと卵を持ってきたフィーラには説教され、『アーポアク国が生まれた日』の絵本を持ってきたベルには黒い笑みで問いただされ、うさぎ饅頭を持ってきたスティは二人にナイフを向け、イズは天井から大量のチョコを振らす始末。
ロクでもない連中にさっさと退院しようと三人決めるが、私ははじめての風邪だったせいか薬が効くかわからず長引いてしまった。その長引く原因のひとつが、毎日見舞いに来てはエロを求める連中のせいだと思う────。