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破線サークル
フラワーアレンジメント1

​ 世界を駆ける

   

番外編*苛めっ子

 正午を過ぎたアーポアク城。
 本棚で埋まる静かな地下書庫で靴音を響かせながら数冊の本を重ねて持ち上げる。白銀の髪に白緑のマントを肩に掛けて立つ男に声をかけた。

「ベル、これはどこの棚だ? ベルー? おーい、ベルベルベルベーール」

 何度呼んでも返答どころか動きもしない男に『もしや』と近付くと、案の定ペラペラと本を捲っていた。完全読書モードに溜め息をつくと本を下ろし、背後に回る。
 そのまま屈むように折り曲げた膝を彼の膝裏目掛け──膝カックン!

「おおっと!!?」
「お、効いた効いた」

 

 弓形になったベルだったが、なんとか倒れる身体を堪えた。
 さすが団長は違うなーと拍手すると、床に落ちた彼のマントを拾う。そんな私にベルは冷や汗をかきながらも笑みを浮かべた。

「面白い方法ですね」
「うむ、ハリセンばかりだと人体に影響あるかと思ってな」
「いえ、こっちの方が危ないのでハリセンでお願いします。主に心臓が……」
「そうか? 貴様が構わんならいいが……そういえば、他の連中は生き返っただろうか」
「ああ、根性なかったですよね」

 笑うベルに呆れながらも数時間前まで一緒にいた三騎士を思い出す──。

 


***~~~***~~~***~~~***~~~

 


 日を改めルベライトの街観光をし、今日は第二回ベルデライト観光!──だったが。

「さっみ゛ぃ~~~~~~っ!!!」
「なんだ……この寒さは……」
「…………………………死ぬ」
「こらこら、子供は風の子でしょ」

 私のコートに潜り込もうとしたスティを微笑むベルが首根っこ掴んで宙吊りにする。『ボクは……大人で……す』と震えながら反論するスティだが、実際ベルデライトは私でも体験したことないほどの猛吹雪。

 全面雪どころか真っ白で何も見えず、コートを着ていても平気なのはベルだけ。鼻水すら凍る中、ベルが後ろから抱きしめてくれると温かい。が。

「おいっ、暖炉(アズフィロラ)っ!!!」
「今、可笑しな変換をしなかっ……はっくしゅん!」

 他の三人がヤバすぎる。
 スティなど既に凍結したかのように動かず、さすがの私も抱きしめる男と顔を見合わせた。ベルは苦笑する。

「これは中止にした方が良さそうですね」

 その言葉に一斉に頷いた三騎士は『緑の扉』へと雪崩れ込んだ──。


***~~~***~~~***~~~***~~~


 そんなこんなで中止となり、時間が出来た私はベルに頼まれて書庫の整理を手伝うことになった。が、入れ替えながら再び読みはじめる男のせいで作業がまったく進まない。
 呆れ半分でもふもふマントを触っていると、ベルは私が持ってきた本を『風』で浮かし、空いた本棚へ収める。

「しかし、ヒナタさんは本当に寒いのは平気なんですね」
「ん? まあ、さすがに今日のはヤバかったが基本は暑がりだからな」
「それは良かった。これならいつでもベルデライト(ウチ)に住めますね」
「ああ、そう……こら」

 危うく頷きそうになったが、過去彼の台詞にどれほどの意味があるかを思い出し急停止。案の定、眉を落としたベルは後ろから抱きしめると顎を頭に乗せた。

「は~……なんで気付いてしまったんですか?」
「うむ、貴様との付き合いが長い証拠だ」
「それは嬉しいですね。では遠回しはやめて直球で。ヒナタさん、一緒に住みましょう」
「直球すぎるだろーーーーーーっん!」

 一瞬で赤くなった顔を上げるが、翡翠の双眸を向ける男の口付けが待っていた。
 持っていた白緑のマントは落ち、片手で頭を固定されると角度を変えては口内が彼の味に変わる。満たされていく。

「んっ……はあぁん」
「あ、でも……ん、私……家って書庫(ここ)でしたね」
「だよ……ん、なー……」

 実家を出たベルにとって今の家とはこの書庫で、二十階に自室がある私にはあまり変わらない。
 胸板に背を預け、荒くなった息を整えるが、笑みを見せたベルは右肩に顔を埋めた。手袋を外しながらうなじを舐める。

「それじゃ……ん、新居建てますか」
「た、建てるって……ああぁっ」
「愛する姫君(リーベ・プリンツェッシン)と二人っきりの……」
「ちょっ……あぁ」

 耳朶に口付けられ、リップ音に身体が跳ねると翡翠のイヤリングが揺れた。
 腰に回す手は上着の中に入り、肌を伝ってブラの隙間を通ると片胸を揉む。そして人差し指と中指で胸の先端を挟んで引っ張られる。刺激に身じろいでいると、片方の手がズボンを下ろした。
 床に落ちる音に頬が熱くなるが、大きな手がタイツどころかショーツへ潜り、濡れだす秘部を撫でられる。

「ああぁっ……」
「こうやって濡らして喘ぐ可愛らしい姿をずっと……って、ヒナタさん?」

 

 力が抜けたように“だら~ん”となった私に、両手を退かしたベルは顔を覗く。私は真っ赤。
 瞬きするベルの隙をつくように腕から離れると、地面に落ちていた彼のマントを被って丸くなる。小刻みに震える私に、恐る恐るの声がかけられた。

 

「えーと……私“可愛い”は一回しか」
「うるさいっ! 今ニ回目いっただろ!! それ以上いうな!!!」

 

 丸まっているせいで口篭った声になるが、真っ赤な顔は冷えず下腹部が濡れはじめた。
 いや、たかが“可愛い”だけで反応する私も悪いのだが、どうにも聞き慣れない言葉はダメだ。すると、マント越しに頭を撫でられ顔を上げると、屈んだベルの笑みがあった。

 

「そういうところを含めたヒナタさんが私は好きですよ」
「ベル……」
「はい、可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い」
「苛めっ子ヤローーーーーーーーーっっっ!!!」

 

 爽やか笑顔で意地悪する男に半泣きになりながら両手で顔を覆う。
 今すぐ忠誠のイヤリングを捨ててやろうかとも考えたが、後ろから抱きしめられると一緒に床へと寝転がった。

 

 熱くなる顔と身体はマントだけではない。
 動悸も速くなっていると、頭を覆っていたマントを取られ、髪にキスが落ちる。横目に映るのは翡翠のイヤリングと優しい双眸。

「ヒナタさん──愛していますよ」
「っん……んんぅ、ふぁぁあっん!」

 

 甘美な声と同時に口付けを受けながら上着を捲くし上げられ、ブラホックを外された。開放された乳房を両手で揉み込まれる。

「ん、愛しているからこそ……すべての貴女を見て触りたいですし……私を教えてあげたいです」
「ああぁっ……ベル」
「だから……ね、抱かせてください」

 

 本当に直球な男に羞恥と怒りが混ざるが、揉まれ、刺激を与えられる身体、下腹部からは蜜が溢れていた。もう……無理かもしれない。

 何かが弾けたように胸にあった彼の手を払うと、上体を起こす。
 そのままゆっくりと四つん這いになり、震える手でマントを腰まで上げると、タイツとショーツを下ろした。濡れた秘部に指と蜜を絡ませながら震える声で言う。

「は、恥ずかしいんだから……早く……挿入(いれ)ろ……」
「ヒナタさん…………それ、すごく可愛くてエロいです」
「だからそれ言うあぁぁっ!」

 両頬を赤くしたベルはコートを脱ぎながら長く太い指を膣内へと挿し込む。

 

「私は抱かせてって言っただけなのに……挿入ろ、だなんて……んっ」
「うるさ……ひゃあぁっ!」

 

 白のシャツとなったベルは顔を秘部に埋めると愛液を舐める。速い舌の動きに全身が震え、愛液が増した。

「んっ……もう少し味わってから……お望みのを挿入てあげますね」
「ああぁっ……」

 

 愛液を舐めながら伸ばした手が揺れる胸を掴み、指先で先端を弄る。摘まれた瞬間下腹部が疼き、また愛液を零した。小さな笑い声が聞こえる。

「ヒナタさん、感じすぎですよ」
「だって……あん……ベルが激しくするから……んんっ!」
「まだ……ん、優しい方だと思うんですけどね」
「ぁああっ……」

 

 片方の指を膣内に挿し込んだまま、四つん這の私の懐に上体を潜らせたベルは舌先で胸の先端を舐める。異なる卑猥な音が響き、喘ぎも増す。

 

「はあ……あああぁぁ……ん」
「ん……あまり声……上げないでくださいね……」
「なん……で、んっ」

 

 口にベルの指が挿し込まれ、声を止められる。
 膣内で指を掻き回しながら乳首を咬む刺激に、私は大きな声を漏らしたい。けれど、ベルの指が邪魔な上、唾液が零れて彼のシャツを濡らしてしまう。両頬が赤いまま真下にいる男を睨むと、上体を起こしたベルは笑みを浮かべた。
 シャツのボタンを数個開けながら後ろから抱きしめられ耳元で囁かれる。

「お客さんがいらっしゃったからです」
「は……」
「ヴェレンバスハ団長ーーーーっ!」

 

 静かな書庫に大声が響き、身体が大きく跳ねる。
 だが、上からベルに押さえ付けられ、四つん這いのまま動くことが出来ない。そんな彼を呼ぶ声は続く。

「宰相様から書類ですよー!」
「おかしいな……ヒナタ様もいると思うんだが」

 

 宰相ってことはアクロアイトか。
 広い上に本棚が幾つもある書庫では見つからないだろと同情していると、秘部に何かが当たる。振り向けば、大きく太い肉棒をズボンから取り出したベルが微笑みながら先端を宛がって……おいいいぃぃぃーーーーーっっ!!!

(ちょっ、待っ、ベル、まさか……!)
(はい。だいぶんヒナタさんのココも濡れて私のも大きくなったので)
(違う違う! そうじゃなくて、人がいるのに……)
(ヒナタさんが声を上げなければ問題ありません。ほら、私のマントを咥えて……)
(ちょっ、だから……んんんっ!)

 口にマントを咥えさせられると、人がいるのも構わず腰を持たれる。そのまま太い肉棒を濡れた秘部に──挿入された。

「んっ、ん゛ん゛っ……ふうううっ……んんっ!!!」
「ああっ……緊張しているんですか……いつもより、ん……狭いですよ」

 

 誰のせいだと睨むが、微笑んだまま両手で胸を揉みながら、うなじに口付けられる。肉棒の刺激だけでも充分なのに、他のも合わさっては我慢など出来るはずがない。

 

「ヴェレンバスハ団長ーーっ、ヒナタ様ーー?」

 

 声と足音が近付く度に動悸と熱さは増し、肉棒を締めつける。

 

「んあっ、ヒナタ……さん……ちょっとこれは……」
「んんんっふゅんんっ……」

 

 余裕を見せていたベルも徐々に汗を落としながら呻きを漏らす。
 けれど、締めつけても進む肉棒に咥えていたマントを離した私は振り向くと、涙目で訴えた。

 

「ふぇルぅ……」
「……そんな顔されると……私も我慢出来ないじゃないですか……仕方ありませんね」

 

 涙を落とす私に口付けたベルは白い鳥『伝風鳩』を生み、声の方へ飛ばした。

「おっ、鳩だ……はい、了解しました」
「それじゃ書類、机に置いときますよーーーー!」

 

 響く声に返事はせず、エレベーターが開く音が聞こえる。
 バレなかった……と安堵するが、激しく腰を揺すられ肉棒が奥へと突き進んだ。

「ああぁっ……まだダメぇっ……」
「すみません……気を緩められたので……チャンスとばかりに……っ!」

 

 膣内で大きくなる肉棒の激しさに両手も足もガクガクする。
 息を荒げ、汗を流しながら責め上げる肉棒に快楽が襲いはじめると、エレベーターの閉じる音がした。同時に耳元で荒い息を吐くベルの声が届く。

「いいですよ……可愛い声を上げて──っ!」
「ああああああぁぁぁーーーーーーーっ!!!」

 

 一番奥まで挿し込まれると、開放を許された声を響かせる。
 腰を前後に揺すり、いっそう快楽を与えるベルの攻めは愛液が床に零れても止まることはない。マントも退けたベルは膣内に肉棒を挿し込んだまま流れる私の汗を舐め取り、赤い証をつけ、耳元で甘く囁きながら絶頂へと導く。

 


「さ、可愛い奥様。一緒にイきましょうか」
「ひゃあああぁぁーーーーーっ!!!」

 


 嬌声は静寂が包む書庫に響き渡り、膣内で激しく出された白液と自分の潮が噴き出した床には水溜りが出来た。我慢に我慢すると絶頂も桁違いだと私はイく。が、実は風の結界が張ってあり、声を出しても他には聞こえなかった……など、知る由も無い──。


 目覚めると書庫の奥にあるベルの寝室。
 私の髪を撫でながら本を読んでいたベルは目覚めと同時に跨り、笑みを浮かべる──当然。

 


「それじゃ、可愛いヒナタさんに似合う可愛いドーム状の新居を考えておきますね」
「あ、ああぁぁぁっーーーー!!!」

 


 苛めっ子の所にお泊り決定だ────。

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