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​番外編1*着ぐるみパジャマ

いちご

※最終話前の話で「カモん!」の、みきと海雲も登場しますが、途中まきと寺置になります

※第三者視点

 平日の午前十一時。辻森家にインターホンが鳴る。

 ドアが開かれるとスーツにコートを羽織った藤色 海雲と寺置 守がいたが、ニ人を迎えたのは双子ではなく、同じ天パでも長身に黒のパンツスーツにコートを着た女性。

 

「あら、藤色君に寺置君じゃない」

「おはようございます、瑞希様」

「今から仕事……ですか?」

 

 それは母親の瑞希だった。

 彼女はバックと鍵を持ち、ヒールを履きながら娘達の恋人を見る。たった一ヶ月で姉みきに恋人が出来たと思ったら、彼の秘書と恋人になっていた妹まき。最近の子はすごいわーと頷きながら話す。

 

「午後出勤なのよ。ニ人は何? みきとまきは何も言ってなかったけど」

「いえ……俺達も仕事だったんですが、午後がキャンセルになったので……」

「一応ご連絡はしたのですが、二人とも携帯に出なかったので来てみたという話です」

 

 瑞希は納得しながら立ち上がるとニ人は道を開ける。

 礼を言った彼女は笑顔で家の中を指した。

 

「ニ人ならまだ寝てるわよ」

「「え?」」

「ニ人とも今日は仕事休みだからね。勝手に上がって突いて良いわよ」

 

 なんとも言えない発言にニ人は苦笑し、義母となる人を見送った。

 家に上がった二人は慣れた足取りでカーペットにこたつ、洗濯物が畳まれた居間に足を入れるが二人の姿はない。そこで隣室の引き戸を少し開き、覗く──が、戸を閉めた。

 

「み……見えたか?」

「見えました……丸い物体がニ……三つ」

 

 二人の肩は上下に揺れており、今度は戸を全開で開ける。

 薄暗い五畳半ほどの部屋には横に本棚、隅に小さい丸テーブルにカップ、紐で結ばれた雑誌が置いてあり、ニ組の布団が敷かれていた。真ん中には海雲がクリスマスプレゼントに贈ったペンギンの抱き枕。その枕に顔を寄せ、毛布を蹴飛ばして寝ている瓜二つの顔があった。

 

 その一人、姉みきは腰までの長い髪をひとつの三つ編みにし、青いペンギンの着ぐるみパジャマ。もう一人、妹まきは白い羊の着ぐるみパジャマを着ていた。

 その姿に、三十代前の大人ニ人が悶える光景は端から見れば『変態か』という状況。

 

 肩を揺らしながら海雲が双子の後ろにあるカーテンを開く。

 眩しい光にみきは身じろぐが、まきは即座に毛布を被った。姿を消した恋人に寺置は腹を抱え笑っている。それが珍しいのか、海雲が目を見開いているとみきの目が開く。

 

「ううぅ……なんの声……」

「みき……おはよう」

「あれぇ……まきたんが海雲さんに……化けたあ」

「いや、化けてない……ほら」

「ふぅ……んっ」

 

 ふわふわ素材のペンギンみきの上体を起こした海雲はゆっくり口付ける。

 渇いた唇に熱い舌と液が口内を潤す。それが気持ち良いのか、首に腕を回し、何度も口付けるみきの目が徐々に開いた。

 

「……はいっ!? かかかか海雲さんっっ!!?」

「……バッチリ起きたな」

「キスだけで起きるなんてすごいですね」

「お、お秘書さん!?」

 

 まさかのニ人にみきは慌てるが、海雲に抱きしめられる。

 その横で寺置は毛布をひっぺ返し、丸まっているまきの頬を突いた。

 

「まーきーさーまー」

「ふゅ……ん……」

「まきた~ん、お秘書さんだよ~」

 

 声掛けに薄っすら開いたまきの目には、眼鏡を掛けている男が笑顔で自分の頬を突いている姿。その突きに苛立ってきたのか、まきは眉を吊り上げた。

 

「魔王……退散っ!」

「っだ!!!」

 

 突いていた人差し指を思いっ切り噛んだまきに、寺置の悲鳴が上がる。

 その光景にみきと海雲の身体が大きく跳ねるが、用が済んだまきは毛布を被り直した。沈黙と冷気が漂いはじめると、低い声が響く。

 

「ま~~き~~」

 

 危険を察したみきと海雲は、ゆっくりとその場から離脱した。

 

 

~~~~*~~~~*~~~~*~~~~

 

 

 引き戸がゆっくりと閉じられ、静寂が包む。

 噛まれた人差し指を舐めた寺置は口元に弧を描くと、毛布をひっぺ返した。出てきたのは俯せの羊。ネクタイを緩めながら羊の帽子を取り、天パの髪の間から覗く耳元で低く囁いた。

 

「そんなに痛いのが好みとは知らなかったな……」

「ひょー……ん」

「そうか“はーい”か」

 

 本当は“のーん”だが、さすが魔王。良い方に解釈すると耳朶を噛み、長い舌を耳孔へ挿し込んだ。

 

「ふゃあぁっ!」

「まき……起きろ」

 

 痛みと冷ややかな声に身体が疼いたまきは目を半分開く。

 薄っすらと見えるのは、ネクタイも上着もベストも脱ぎ、シャツの前ボタンを半分開けた男。

 

「……夢ぐらいマシなの見た……ふぎゅっ!?」

「夢以上に激しく気持ち良いことをしてあげますよ」

 

 笑みを向けたまま眼鏡を外した寺置は、うなじを噛む。

 痛みに、まきはペンギン枕を抱きしめるが、腋下から潜り込んできた大きな手にパジャマボタンを外される。

 

「ちょっ、痛ぃ……やめ……ボク寝るの!」

「ここまできて睡眠優先と言うお前が怖い。あと……着すぎだろ」

 

 仰向けにされたまきのパジャマ下はインナーニ枚に長袖一枚にタイツに靴下。

 もこもこパジャマの意味全っ然ないじゃないかと呆れながら、寺置は上着を捲くる。ジタバタと動く身体は両脚で固定し、ブラから乳房を掬い出した。薄ピンクの乳首を指で捏ねる。

 

「ゃあっ……んっ」

「ふふふ、可愛い声……ん」

 

 まだしていなかった口付けを何度も繰り返す彼に、ジタバタしていたまきの身体も次第に大人しくなる。乳房を揉まれながら先端を押されると喘ぎが響いた。

 

「ぅんっ、ふぁあっ……あぁ!」

 

 唇が離されると寂しくなったのか、まきの哀愁漂う声に寺置はくすりと笑い、胸の先端に唇を寄せると舐めるではなく噛んだ。痛みからか、全身が熱くなる彼女のタイツもショーツも膝下まで下ろされると、膣内に指を三本挿れられる。

 必死に身じろぐまきだが、余計指に掻き乱されることとなった。

 

「ああぁぁ、あぁっ……」

「自分で動かして……やっぱり痛いのが好みか」

「うぅぅ、や~め~ろ~っ!」

「おや、羊さん頑張りますね」

 

 両手で彼の腕を膣内から抜いたまきは涙目ながらも『へんっ!』といった睨みを向ける。だが、楽しそうな笑みを返され、一瞬背筋に悪寒がした。

 固まっていると、寺置はテーブル下にあった紐束を手に取る。

 

「な……何?」

「いえ、元気な羊さんを捕る物が丁度あるなーと……なので、捕って、狼(私)の御飯にしますね。狼と七匹のなんとかって話のように」

「それヤギだろ! ボク羊!! めぇーーっ!!!」

「おや、ではヤギの鳴き声は?」

「めぇーーっ……あれ──ひゃぁあっ!」

 

 わからなくなっている間にパジャマもすべて脱がされると、手首を手錠縛りされ、両脚は覆い被さった彼の膝に固定される。そのまま紐を胸の前でクロスされると、胸が厭らしい形に変わった。引っ張られると両乳首に紐が掠る。

 

「やぁっ……変なこと……んんっ!」

「ふふふ、私って束縛プレイ好きだったんですかね……んっ」

「ふゅあぁっ!」

 

 尖った胸の先端に吸い付きながら縛り終えた寺置は、秘部から肩に紐を通し、胸の紐と一緒に縛る。秘芽に食い込む刺激に、愛液が零れはじめた。

 

「ああぁっ……だ、ダメぇ……」

「羊が美味しそうな状態になってきたな」

「うぅっあぁっ……」

 

 指が一本、紐を掠らず膣内に侵入すると、まきという名の羊の額を瞼を鼻を頬を唇を顎を首元を鎖骨を……上から順に寺置という名の狼が食べるように愛撫していく。

 気付けば下腹部まで到達したが、既にまきの息は荒い。愛液も先ほど以上に溢れ、狼は舐めては飲み干した。

 

「んっ……美味しいですよ……ん」

「はぁ、はぁんっ……んっ、もうダ……め……イきたい」

「そうだな……美味しくいただきたいし……今度はお前にやらないとな」

 

 舌を離した狼は額の汗を拭うと、ズボンを脱ぎ、雄雄しく膨らんだモノを取り出す。それを秘芽に通した紐に当てると喘ぎが響いた。

 

「やぁあっ……紐取って」

「ダメだ……痛いのが好きなんだろ?」

「ち……違あああぁぁぁーーーーっ!!!」

 

 人の話など聞かない狼の肉棒が容赦なく挿入される。

 “ズブズブ”と腰を揺らしながら奥へ突き進む肉棒に、縛られた痛みも忘れ、駆け上ってくる快楽にまきは悦びを感じはじめた。そんな表情を真上から見る狼は口付けると囁く。

 

「ほら……美味しい肉棒(ごはん)もっと食べろ……!」

「あぁっ……ぁあああああーーーーっ!!!」

 

 肉棒(ごはん)と共に、真っ白な液を噴出すほど食べたまきは、羊を数えることもなく沈んだ──。

 

 

~~~~*~~~~*~~~~*~~~~

 

 

 夕方になり、外からは『夕焼け小焼け』が流れる。

 台所には着替えたみきが土鍋の火を見、横にはベストとネクタイ。白シャツの腕を巻いた寺置が豆腐を切っていた。

 

「お秘書さん、お料理上手ですよね。あ、寝てる間にお野菜買ってきてくれてありがとうございました」

「いえいえ、お夕飯をご一緒にするなら当然です。それにお鍋で上手も下手もないでしょうに」

「まきたんにお豆腐を切らしたら粉々ですよ」

「それはそれは、さすがまき様」

 

 楽しそうに笑う台所組の会話に、俯けで転がるまきは眉を寄せる。そんな彼女の頭を海雲の大きな手が撫でた。

 

「気にするな……俺もできん」

「豆腐って難しいですよね……て言うか、あのニ人を粉々に潰したい……特に男の方」

「……粉々にしても、すぐくっつきそうだがな」

「ヤツはスライムか何かで……あう~~」

 

 上体を起こそうとしたまきだったがすぐに沈む。どうやら腰がまったく動かないらしい。

 海雲はみきが達した後に片付け等していたが、隣室から物凄い嬌声と物音に、つい救急車を呼ぼうかと思ったほどだ。

 

 そんな妹に心底『悪い』と謝りながら、賑やかな鍋パーティがはじまった────。

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