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番外編​20*淫らと初夢と桃

※微エロ&複数有

 もうすぐ年が明ける、十二月三十一日。
 今年もルアさんとお義兄ちゃんと三人で薔薇園の掃除をし、お風呂に入り(別々ですよ!)、年越し蕎麦を食べ、ソファに座ってまったり……だったのですが。

「モモカ……もう諦めな?」
「ま、まだ大丈夫です……」
「私がモモのことをわからないと思っているのか? ほら、今すぐ楽にしてやる」
「ま、待ってください、お義兄ちゃ……あ、ああぁ!」

「「はい、負けー」」

 

 お義兄ちゃんにカードを奪われ、手元に残ったのはジョーカー。
 当に上がっていたルアさんは淡々とした拍手を送り、わたしは肩を落とした。

 

「ふんきゃ~、また負けた~!」
「モモカ……顔に出やすいからね」
「対して貴様は存在してないほど表情を変えず……ああ、ただの空気というわけか」
「てめぇ、散らすぞ?」

 

 バチバチとルアさんとお義兄ちゃんが火花を散らすが、真ん中に座るわたしは人差し指を立てた。

 

「もう一回! もう一回しましょう!!」
「いいけど……モモカ、もう寝る時間じゃないのか?」

 

 お義兄ちゃんの胸倉を掴んでいたルアさんは時計に目を移す。
 時刻は既に充電切れである十時を過ぎているが、わたしは頭を左右に振った。

 

「今年は0時過ぎて、新年の挨拶するまで寝ません!」
「モモ、夜更かしは感心しないな」
「わ、わたしだってもう大人です! こうやってゲームに熱中していれば大丈夫です!!」

 

 遊んでいれば時間は過ぎるというように、わたしは誇らし気に言う。
 なのに見合った二人は眉を落とした。まるで『無理だろ』と言われているようで、頬を膨らませると二人の腰をつねった。

 

「「っだだだだ!!!」」

 

 本気だったのもあり、大きな悲鳴が響く。次いで腕や脚もつねった。

 

「ちょ、モモカ……痛っ、たたた!」
「おー、さすがルアさん。足の筋肉も結構ありますね……あれ、お義兄ちゃんも」
「こら、モモっだだだ!」

 

 ジタバタ暴れる二人に構わず、今度は頬をつねる。思いっきり。

 

「「っだだだだ!!!」」
「あ、やっぱりほっぺはルアさんの方が気持ち良いですね。お義兄ちゃん、お肌カサカサですよ……ストレスで、ひゃっ!?」

 

 突然、二人にくびれを摘まれ手を離すと、左隣のルアさんは腰に、右隣のお義兄ちゃんは肩に腕を回した。同時に近付く端正な顔にドキドキするが、とても怖い。

 

「モモカ……そんなに起きていたいなら手伝ってあげるよ」
「て、手伝う……?」
「ああ……モモを弄ればいいだけだ」
「いじ……んきゃ!」

 

 戸惑っている隙に二人の唇が首筋にあたる。そのまま“ちゅう”っと吸われると舐められた。

 

「ああぁ……!」
「ん……良い声」
「はじめて聞く声だ」

 

 悲鳴とは違う声が出ると、二人は嬉しそうにまた吸いつく。
 真ん中で挟まれ、腰も肩もたくましい手に捕らわれている身体は小刻みに揺れるだけで精一杯。逃げることができない。
 別に嫌というわけじゃない。ただ、舐められるだけでお腹の奥がゾクゾクして、変な声が出てしまう。

 

「ひゃぅ……あんん」

 

 咄嗟に手で口を塞ぐが、お義兄ちゃんに引き剥がされてしまった。涙目で見上げるわたしに、お義兄ちゃんは耳に口付けると囁く。

 

「可愛い声を隠さないでくれ」
「ひゃっ!」

 

 ゾクゾクが増し、悲鳴を上げる。
 それが甘いものだとわかっているのか、くすくす笑うお義兄ちゃんは頬擦りし、ルアさんはパジャマから出した肩に吸いついた。

 

「あ、あぁ……ルアさん」
「モモカ……肌、白いね」
「貴様、痕をつけるなよ」
「もうつけた」
「貴様っ……!」

 

 どこか意地悪く舌を出したルアさんに、お義兄ちゃんは憤怒の表情を見せる。すると、パジャマのボタンを外された。

 

「ちょちょちょ、お義兄ちゃ……!」

 

 キャミソールまで見え、恥ずかしさから両手で隠そうとするが、お義兄ちゃんもまた露になった肩に吸いついた。ルアさんに負けじと、意識さえ持っていかれそうなほど強い刺激。
 身体をくねらせ息を乱すわたしの頬をルアさんは舐め、腰に回していた手が脚をなぞる。いつしかその手は股の間に入り、指先が信じられないところを擦った。

 

「あ、ああぁ……ルアさんダメぇ」
「ああ……グレイが邪魔するから……手の置き場に困って……ね」
「貴様、それ以上いったら本気で吊るし上げるぞ」
「それ……俺の台詞なんだけど」

 

 股間を撫でるルアさんの瞳が鋭くなるのは、お義兄ちゃんの手が胸を揉んでいるからだろう。隠れている先端を突くように、愛撫するように、大きな手の中で胸が形を変える。

 

「やあぁ……恥ずかし……」
「恥ずかしいって……義兄(こいつ)がやるとただの変態だろ」

 溜め息交じりに呟いたルアさんを、お義兄ちゃんが睨む。
 当然痛くも痒くもないといった顔をしたルアさんは、あろうことかパジャマズボンの中に手を入れ、ショーツの底を擦った。

 

「ああぁ……待って、待っああ……」
「俺としては……この変態(シスコン)が、どこまで手を出してるか……なんだけどね」

 

 淡々と、そしてどこか冷ややかな声。
 すぐ反論しそうなお義兄ちゃんはなぜか睨みを鋭くしているだけで、青水晶と灰青の瞳がぶつかる。それだけで寒気が走るが、胸もショーツも同時に攻められると何も考えられなくなった。

 

「は、ああぁん……あ、ぁんん……」
「モモカ……感度良いね……やっぱり、この変態に何かされた?」

 

 くすりと笑うルアさんの顔が近付くと唇を塞がれる。
 柔らかいものが唇を覆い、小さな舌先が上と下唇を撫でた。股間より普通のことかもしれないのに、とてもゾクゾクする。ちゅ、ちゅ、と、リップ音を鳴らしながら唇が離れた時は寂しくなってしまって、じっとルアさんを見つめた。僅かに頬を赤く染めた彼は額に口付けると囁く。

 

「モモカ……かわいい」
「ルア……あっ!」

 

 甘い声と微笑にわたしも頬が熱くなる。けれど、顎にそえられた手に反対を向かされた。目先の義兄はとても不機嫌そうで、一瞬で顔が真っ青になる。

 

「お、お義兄ちゃ……」
「私とあろう者がいながら……いけない子だな」

 

 冷ややかな笑みと共に唇を塞がれる。ルアさんのとは違い、性急で奪うような荒々しい口付け。僅かに開いていた隙間からは熱い舌が差し込まれるが、のけ反っても、後頭部を押さえこまれて離れることができない。
 さらにルアさんの手がショーツを割って、自分も殆ど触れることはない秘芽を擦った。

 

「んっンンン!」
「濡れてる……この意味をモモカは……知らないか」

 

 肩を落とすような声の真意を知りたくとも、ガッシリと抱きしめ口付けるお義兄ちゃんに囚われた身体は動かない。何より、眼鏡越しに見える灰色の瞳はわたしだけを映し、唇が離れた。

 

「モモは私だけを見ていればいい」

 

 艶やかな笑みを浮かべる口元に、灰青の宝石が光る指輪が寄せられる。その上に口付けが落ちると、胸元に顔を寄せたルアさんが上目遣いにわたしを見た。

 

「グレイから……奪い取ってあげるよ」

 

 挑戦、挑発的に口角を上げた彼は胸元で揺れる青薔薇に口付ける。
 いったい何を言われたのか、どういう意味なのかわからないわたしは何かを返したいのに頭がぼーとしていて考えられない。それがわかっているのか、二人はまた唇に頬に首筋に胸元に口付け、乳房を揉み、蜜が零れる神聖な場所を擦り、気持ちを、快楽を高ぶらせる。

 

「は、あ、あぁぁ……ルアさ……お義兄ちゃぁんんっ!」

 

 乱れれば乱れるほど二人の息も上がり、耳元で恥ずかしいほど甘い言葉を囁かれた。男としての言葉を──。

 


 気付けば寝てしまい、目覚めれば新年。
 暖かな陽射しを受けながらルアさんとお義兄ちゃんと三人で寝ていました。上半身裸で。羞恥の悲鳴を上げながら昨夜のことを聞いても『夢だろ』と言われ終了。

 んきゃ、あれが初夢ですか────?

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