番外編4*異世界とポ〇キーと桃
今日は十一月十一日。ポ○キーの日です! なんとこの世界にもあるんですよ!! キラさんから貰いました!!!
「その……ポ○キーの日って……意味あるの?」
「いえ。ただ、こうやって並べたら1111なので、そう呼ばれてるだけです」
「モモ、食べ物で遊ぶな」
「ふんきゃ、ごめんなさい」
庭園のテーブルにポ○キーを縦に並べていると、グレイお義兄ちゃんに怒られ手に取る。そのまま椅子に座り、見つめていたルアさんの口にポ○キーを差し込んだ。
「はい、ルアさん」
「ん……ありが……?」
ルアさんのポ○キーのクッキー部分をわたしもパクリすると、ポキポキ食べていく。その行動にルアさんは咥えたまま青水晶の瞳を何度もパチクリ。止まったままの彼の唇とわたしの唇が徐々に近付き、あと数センチでちゅ──前に、ルアさんが飛んで行った。お義兄ちゃんの蹴りで。
「ルルルルアさん!? おおおお義兄ちゃん!!?」
薔薇の中に頭を突っ込んだルアさんと、荒い息を吐くお義兄ちゃんを青褪めた顔で交互に見る。すると、お義兄ちゃんの両手がわたしの肩に乗り、極限まで上がった眉と怖い顔が寄せられた。
「モモ……いま、忌まわしい場面を見そうだったんだが……なんだ?」
「ポ、ポ〇キーゲームです」
「ゲーム……?」
冷や汗をダラダラ流しながら説明。
頭に葉っぱをいっぱい乗せて戻ってきたルアさんも一緒に聞くが、二人して首を傾げた。
「「それって、離さなかったらキスしないか?」」
「ふんきゃ、そういう遊びですから。ちゅーした時はしたあああルアさあああん!!!」
言い終える前にまたお義兄ちゃんの足でルアさんが飛ぶ。
なぜにルアさんが飛ぶのでしょうか!? ルアさんとしちゃダメだったんですか!!? キラさんともしたのに!!!
「「したのか!!?」」
「ふんきゃ!!?」
考えが漏れていたのか、お義兄ちゃんと飛んで行ったはずのルアさんが青褪めた顔で迫る。恐怖を感じながらも頷いた。
「し、しました……途中でキラさんの方が折れましたけど」
二人は安堵のような息をついた。ふんきゃ?
ちなみにジュリさんとケルビーさんにも教えたところ早速はじめたのですが、ジュリさんがバキリと開始早々真っ二つに折って終了。ナナさんとムーさんにも教えたところナナさんは顔を真っ赤にしながらノーマさんほにゃらかと言い、ムーさんは遠い目をしてました。
ノーマさんにも教えたら『若いなー』と苦笑されましたね。
「良かった……他の連中とはしてなくて……」
「ともかく後でキラ男を吊るす……!」
「あ、あと、お義兄ちゃんとですね!」
「「え?」」
背伸びをし、お義兄ちゃんの口元にポ○キーを寄せるが届かずジャンプする。
「お、お義兄ちゃん屈んでください! できないです!!」
「いや、モモ……私は」
「うん……モモカ、俺が抱っこしてあげる」
「んきゃ、ルアさんありがとうございます!」
「ちょっ! 待て貴様!! そのニヤニヤはなんだ!!?」
楽しそうに後ろに回ったルアさんに抱き上げられると、お義兄ちゃんとの距離が近くなる。お義兄ちゃんはなんだか焦っていますが、わたしはその口にポ○キーを入れた。
「お義兄ちゃん、ポ〇キーゲームです!」
「──っ!!!」
笑顔で口を開け、ポ○キーの端を咥える──前に、自身の口からポ○キーを抜いたお義兄ちゃんに、そのポ○キーを口に入れられた。
パキパキと甘いチョコが口内を巡り、ごっきゅん。ごちそうさまでした。
わたしを抱えるルアさんは溜め息をつくと、荒い息を吐くお義兄ちゃんを見つめる。
「グレイ……俺、どこにツッコミ入れればいいの」
「や、やかましい……はあはあ」
「ふんきゃ……お義兄ちゃん……わたしとキスになったら嫌だったんですかね」
「っ!」
しょげるわたしに、眼鏡を外したお義兄ちゃんは片手で顔を覆う。その姿にルアさんと二人、顔を見合わせると頬ずりされた。
「あんなヤツ放っておいて……俺とまたしよ」
「ふんきゃ!」
わたしは元気に手を上げたが、またお義兄ちゃんの蹴りがルアさんのお腹にヒット。地面に倒れたルアさんとは反対に、わたしはお義兄ちゃんに抱きしめられ胸板に収まる。その顔は見えず、しばらく胸板に顔を埋めたままになり、ポ○キーも取り上げられてしまった。
お義兄ちゃんはポ○キゲームが嫌いなようで残念です――――。